自民党は「責任あるAI推進基本法(仮)」を立案
責任あるAI推進基本法(仮称)の骨子(塩崎彰久衆議院議員のnoteより)
さらに、AI関連では、別に立法案が動いています。自民党から出てきている「責任あるAI推進基本法(仮)」です。3月18日に共同通信が報じた「政府がAI法規制を検討」はこのことですが、実際は厳しい法規制を新たに作るというタイプのものではありません。2023年末に、自民党の「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」が提案したもので、AI推進のために動いている平将明衆議院議員などが推進しています。立法趣旨には「生成AIのリスクを最小化し、利益を最大化する」とされていますが、平氏は、3月23日に渋谷で開かれた「東京AI祭」のパネルディスカッションに参加しており、法案の意図を次のように解説しました。
「あまりEUっぽい(厳しい)法律を作るつもりはない。ホワイトハウスと米大手IT企業とが結んでいる自主規制のようなもの。すごい生成AIが出てきたときに報告義務を求める。OpenAIなどは日本に本社がないので、何かトラブルが起きた時に、アメリカ政府には報告があるが、日本にはないということになるのでハードロー(裏付けとなる法律)が必要」(平氏)
そして、「残りは専門家などと議論して、アジャイルに(状況の変化に対して素早く対応するように)。巨大な先端的AIを作るところには強めの規制が入るが、それ以外は気にしなくてもいいもの」と話しました。
これは2023年11月の英AIセーフティサミット後の合意を下敷きのひとつとした議論で、アメリカとイギリスでトラブルが起きたときは法的な裏付けを持って連絡をとれるようにというものですね。一応罰則は持って、トラブルが起きたときに国もコントロールできるようにすることで安全保障上の課題を解決できるようにしておくと。根本的なことが変わるわけではなく、トラブルが起きないようにすることで、自由に開発が進められる環境を整えていくというものですね。日米英で、共同歩調を取ろうという意図があるようで、法規制の側面はあるとは言え、推進色の強い法案です。
12月に朝日新聞が報じたところでは、現在開かれている通常国会での成立を目指していたようですが、間に合わなかったようです。現在は6月の骨太方針案への明記を目指しているとのことなので、成立は秋の臨時国会か、来年の通常国会になると考えられます。
AI政策は“成果”が問われる段階に
AIがどのように発展し、社会の中に定着していくのかまだまだ不透明です。AIの登場は、省庁の枠組みを超えた連携を求められてきましたが、まずは最初の段階の実現に近づきつつあります。AI政策は、一般の国民に理解が進み、より豊かに、より便利にという形の成果が出せるかという、次の段階へと移ろうとしています。

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