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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第763回

FDD/HDDをつなぐため急速に普及したSASI 消え去ったI/F史

2024年03月18日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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信号ピンは19本しかないがコスト的な問題で
当時普及していた25ピンないし50ピンコネクターを使用

 信号ピンは合計19本しかない。ただ実際には25ピンないし50ピンのコネクターが利用された。

SACIの信号ピン仕様
ピン 信号
BSY BUSY:SASIバスが利用中であることを示す
SEL 自分がInitiator(ホスト側)かTarget(デバイス側)かを示す
C/D Control/Data:デバイス側が、制御信号とデータのどちらを送受信するかを示す
I/O Input/Output:デバイス側が、送信と受信のどちらを行うかを示す
MSG Message:デバイス側が、メッセージ送信中であることを示す
REQ Request:デバイス側が、ACK信号と併せてハンドシェイクのために利用する
ACK Acknowledge:ホスト側が、REQ信号と併せてハンドシェイクのために利用する
ATN Attention:ホスト側が、Attentionコンディションをデバイスに伝えるために利用する
RST デバイスリセット中であることを示す
SPARE Spare:将来の利用のための予約。結局なにも使われなかった
DB0-7+P DB0~7がデータ(8bit)。奇数パリティ(DBP)が付加される

 25ピンないし50ピンのコネクターが利用されたのはなぜか? というとそう規定されているためである。

これはカードエッジの片面だけに信号線が来て、裏側にはなにも信号線が通っていない場合の設定。25本のうち中央6本は未接続になっている

Differentialの信号もサポートされており、この場合前述のSA1403/SA1403DというSASI HDDコントローラーの2倍の信号線となる。あと両端(1~2/49~50)はGNDになっており、未使用ピンが4×2の8ピンとなっている

 D-Subの25ピン、あるいは50ピンのRibbonコントローラーはこの規格が制定された1980年代に普通に入手できたので、これを流用するのがコスト的にも優れていると判断されたというあたりであろう。

 ところでこれを見ても、複数台のFDDやHDDを接続する場合に、どう区別するのかがわからない。SASIはこの後出てくるSCSIと同じく(SASIを元にSCSIが作られたので、SCSIがSASIの仕様を引き継いだというのが正確だが)、機器ごとにIDを持っており、このIDで区別する仕組みとなっている。

 ホストコントローラーはSASIバスの初期化の際に、それぞれのデバイスのIDを取得し、以後はこのバスIDを指定してデータを送受信する仕組みだ。このデバイスIDを取得するシーケンスは、Bus Arbitrationの機能が実装されているか否かで異なるが、そこまで細かい話も不要と思われるので割愛する。

 デバイスのIDを取得するため、SASIの機器側には自分のIDを設定するためのスイッチ(ジャンパーだったりロータリースイッチだったり)が搭載されているのが普通である。ここで、他のデバイスのIDと重ならないように設定するのは利用者の仕事となる。なおこのデバイスのIDの事を、LUN(Logical Unit Number)と称する。

 このSASI、信号レベルとしてはSingle Endedが最小2.5V/最大5.25V、Differentialは最小2.0V/最大5.25Vとなっており、5Vを利用するのが一般的だった。ケーブル長はSingle Endedの場合は最大6mで、Bus Stub(SASIのコネクターから、SASI/機器のコントローラーまでの配線)長は0.1m、Differentialではケーブル長が最大15m、Bus stub長は0.2mと規定されていた。

 ケーブルそのものは50ピンのフラットケーブル、ないしねじった「より対線」を利用することとされ、コネクターは3MのScotchflex #3425-3000が推奨されている。

 ただこのScotchflex #3425-3000は、カードエッジに刺すタイプのコネクターで、ケースの内部の配線はともかくとしてケース外の配線に使うには強度的に心もとない(ちょっと引っ張ると抜けてしまう)こともあり、外部接続の周辺機器には初期のSCSIと同じくロック付きの50ピンアンフェノールコネクターが使われることが多かった。

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