連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第122回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 2月10日~2月16日
コンサル委託業務の3割はAIで代替可能に?、ロー/ノーコード開発市場の伸び、若手社員が「3年以内に退職したい」理由、ほか
2024年02月19日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2月10日~2月16日)は、コンサルティングサービス市場の拡大とAIによる代替可能性、国内ローコード/ノーコード市場の成長、データセンターの電力キャパシティ、高価格帯スマートフォンが好調だった2023年の家電小売市場動向、若手社員の勤続/退職意向の背景についてのデータを紹介します。
[AI]国内コンサルサービス市場は拡大、だが2029年までにコンサル委託業務の30%がAIで代替可能に(ガートナージャパン、2月14日)
・国内コンサルサービス市場は2022年に前年比19%、23年に同10%拡大
・現在ITコンサルへ委託している業務の30%は2029年までにAIが代替可能に
・コンサルサービスには、さらに高度な価値が求められるように
2021~23年、国内コンサルベンダーの人員・売上高は急拡大しているものの、「質」を疑問視する声も高まりつつあるという。企業のAI利用は広がっており、顧客対応や品質管理など既存プロセスの問題点の洗い出しなどをAIから得ようとする試みも見られる。今後5年のうちに、情報整理、理想像とのギャップ分析などの大部分がAIに置き換わると予想する。AIをビジネスに取り入れる能力、コンサルへの委託を適正に行う能力が、企業の市場競争力を左右するようになるとしている。
[開発]ローコード/ノーコード開発市場は2022年度、16%成長(アイ・ティ・アール、2月13日)
・2022年度のローコード/ノーコード開発市場は709億円、前年度比16%増
・2027年までの年平均成長率(CAGR)は14%、2025年には1000億円規模を予想
・DXや業務改革推進のための導入拡大が見込まれる
国内のローコード/ノーコード開発市場規模は2022年度、前年度比16%増加の709億4000万円となった。自社データの利活用促進や新しい業務アプリを迅速に開発するためのツールとして認知度が向上しており、上位ベンダーを含む6割超のベンダーが2桁以上の伸びとなった。今後もDXや業務改革推進のための導入拡大が見込まれるという。中でも中堅・中小など未導入企業での導入が期待されるとしている。
[データセンター]国内データセンターのITロード(IT電力容量)は2028年まで年11%で増加(IDC Japan、2月15日)
・データセンターのIT機器稼動のための電力容量(ITロード)は2023年末は2021メガVA、2028年には3470メガVAを予想
・ITロードは2028年までCAGR11%で増加
・AI向けサーバーの導入がデータセンター電力キャパ増加の要因に
国内に設置される事業者データセンター(DC)のキャパシティ予測。IT機器稼動のために提供される電力容量(ITロード)は、2023年末時の2021メガVAから2028年末には3470.9メガVAへ増加する見込み。クラウドサービス拠点としてデータセンターの建設需要が急拡大しており、生成AIへの関心の高まりによりAIサーバーの導入も進んでいる。DC投資は「加熱気味」で、今後は供給過剰リスクが高まり「建設投資延期の可能性もある」とする。こうした状況を考慮し、IDCでは2023年10月予測から予測値を若干引き下げた。
[消費者][家電]カメラや高価格帯スマホは好調、2023年の家電小売市場(GfK Japan、2月15日)
・2023年の家電小売市場は前年比1.4%減の6.9兆円
・パソコンとタブレット端末市場も縮小、前年比6%マイナスの1810万台
・携帯電話は前年比5%減の2730万台、だが高価格帯製品は同78%増と好調
2023年の家電およびIT市場の販売動向。家電小売市場は、コロナ禍の巣篭もり需要などがあった2020年をピークに縮小傾向にあり、2023年も前年比1.4%減の6.9兆円となった。前年の販売金額を上回った分野は「カメラ関連製品」、「電話関連製品(スマートフォンなど)」。「AV関連製品」や「IT関連製品」は前年の販売金額を下回った。カメラ関連製品は旅行/イベントの再開が、高価格帯スマホは製品ラインの拡大と2023年末の端末割引規制強化による駆け込み需要が、それぞれ追い風となった。デジカメは前年比7%増の120万台、端末価格12万円以上(税抜)のスマホの販売台数は同78%増となった。
[仕事]若手社員の2人に1人が3年以内に退職意向、勤続意欲が高い若手社員は「男性」「売上高10億円以上」など(リスクモンスター、2月14日)
・若手社員の2人に1人が「3年以内に退職」、4人に1人が「1年以内の退職」を検討
・勤続意欲が高い若手社員は「男性」「新卒入社1年目」「売上高10億円以上の企業」 ・入社前のイメージと入社後の実態にギャップを感じる若手社員は勤続意欲が低い
新卒入社1~3年目の男女600人を対象に行った「第7回 若手社員の仕事・会社に対する満足度」調査より。今後3年間の勤続意欲については「3年後も勤務し続けていると思う(勤続)」は55%、「勤務し続けていないと思う(退職)」は45%となった。「3年後も勤続する」とした理由は「福利厚生」(30.9%)、「勤務時間や休日」(27.3%)、「給料」(24.5%)、一方で「3年以内に退職する」とした理由は「給料」(36.7%)、「仕事へのやりがい」(17.4%)、「転職前提で入社」(16.3%)が多い。調査では「入社理由」と「勤続理由」の上位3項目が一致していることから、入社時の期待が入社後に満たされていることが勤続意欲の維持に影響する、と分析している。
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