日本市場ではセキュリティ領域とDatadogを“使い倒す”ためのパートナー強化に注力
オブザーバビリティ市場の淘汰が進む中、Datadogが成長を続ける理由
2023年12月26日 08時00分更新
日本市場の注力分野は“セキュリティ領域”と“パートナーの強化”
日本市場では2018年に拠点を設け、はや6年が経とうとしている。支払い方法も整備されていなかった頃にSmartNewsが初めてDatadogを導入して以降、グローバル同様に成長を続け、エンタープライズユーザーにもビジネスを拡大している。ユーザードリブンな姿勢も同様で、2023年6月には国内データセンターを設立。データプライバシーやガバナンスにセンシティブな業界のニーズにも対応している。
「私が就任したときは、Datadogもオブザーバビリティの三本柱をうたっていなかった。開発と運用の部隊は別なため、お互いの領域を侵さないといったカルチャーもあったが、ここにきて変わってきている」と国本氏。テクノロジーにより変化が激しくなった市場で生き残れるよう、今までの静的な環境、ウォーターフォールな環境からクラウドにシフトする企業が増えてきており、それがDatadogの追い風になっているという。
特に、BtoCのユーザー企業は先進的といい、例えばNTTドコモは、ユーザーエクスペリエンスの監視領域でDatadogを活用する。同社の規模になるとコンバージョンレートが0.1%変わるだけでものすごい利益を生むという。これをDatadogのオブザーバビリティにより、モバイルアプリやウェブアプリ上のエンドユーザーのビヘイビアを分析して、デザインを変えていく。バラバラなツールでは修正の影響を調べるのに時間を要するが、Datadogの「リアルユーザーモニタリング」で一気通貫に、ビジネスユーザーでも把握できるようにしている。
また、今後日本市場で注力していくのが、「セキュリティ領域」と「パートナーの強化」だ。
セキュリティ領域、特にエンタープライズユーザーはセキュリティのチームが別れているため、どう導入してもらうかは、グローバル含めて課題だという。一方で、セキュリティ担当者が豊富にいない中堅企業においては、開発部門から巻き取っていく動きが出てきていると国本氏。
例えば、ECサイトでキャンペーンを始める際に開発チームからセキュリティチームに相談しても、会社全体のセキュリティの優先順位が高く、なかなか相手にしてもらえない。そこにチャンスがあり、セキュリティチームもポリシーが合ってさえいれば製品やサービスのレビューをしなくても良いと思っているという。「新しいアプリケーションをクラウドネイティブで構築するタイミングでDatadogを検討してもらう」と国本氏。
もうひとつの日本市場の課題が、Datadogが多機能過ぎるところによるものだ。「Datadogは、つくりはシンプルで、色々な機能をいち早く開発して、それをすぐユーザーに届けてきたが、ユーザー側からするとやれることが盛りだくさんすぎて、キャッチアップするのが大変。デジタルネイティブなユーザーが中心だった頃にはこの問題は発生しなかった」と国本氏。そこで、Datadogを使い倒すためにアドバイスしてくれる“パートナーの強化”が急務だという。
2022年には、ポストセールスのトレーニングやガイダンスなどを提供するテクニカルアカウントマネージャー(TAM)とテクニカルエニーブルマネージャー(TEM)を開始。それから1年が経つが、引き合いは多いという。「社内でエキスパートを採用して、育成して、直販でサービス展開するのに加えて、今後はパートナーに対するイネーブルメントに力を入れる。ポストセールスにおけるパートナーエコシステムを構築しないとスケールに限界がきてしまう」(国本氏)。
Datadogは、パブリッククラウドであるかどうかは関係なしに、新しいテクノロジーを起こしたいと実践するユーザーに対して、100%フィットすると国本氏。同社の脅威は、他ベンダーよりも、新しいテクノロジーを使ってイノベーションを起こそうとする企業が減ってしまうことだという。日本企業のモダン移行の支援にも、パートナー企業と手を組み注力していく意向だ。