◆Mモデルのツーリングがやっと日本に来た
BMWの「X5」や「X6」にスポーツモデルの「M」が登場して優に10年以上の時間が経過したことを考えると、「M3」のツーリングはありそうでなかった存在と言えます。これまで「M5」にツーリングが存在したことはありましたが、日本への導入はありませんでした。つまり今回試乗したM3ツーリング(2023年1月から導入)が、日本市場にとって初めてのMモデルツーリングということになります。
◆FR(後輪駆動)じゃないM3
M3というネーミングを聞くと、昔からのクルマ好きは「FRスポーツのお手本」というイメージを思い浮かべるかもしれません。しかし、今やM3/M4(旧M3クーペ)ファミリーのほとんどは4WDシステム「M xDrive」を採用しています。唯一純粋なFRとなるのは、標準のM4のみ、今回試乗したM3ツーリングコンペティションを始め、M3ファミリーとM4のコンペティションは4WDとなっています。
しかしながら、このM3ツーリングを始め「M xDrive」が採用されるMモデルは、完全なるRWD(後輪駆動)とすることが可能となっています。角度や距離などのドリフト走行の解析ができる「ドリフトアナライザー」という機能も備わっていてビックリ。このような特徴からも「4WDありきではなく、あくまでもフロントの駆動はアシストであり、FRらしい走りがBMWの真骨頂だ」そんな開発陣の意思表示が伝わってきます。このあたりはどう走りに現れるか楽しみです。
◆ワイドになった外観と優れたコンフォート性能
ノーマルの3シリーズツーリングから全幅が80mmワイドになったボディーには、専用のエアロパーツが装着され、ツーリングワゴンのボディーながらハイパフォーマンスモデルであることがガッツリと伝わってきます。そして、それはシートに座ればより確実なものへと変化します。ツーリングワゴンでありながら、座った瞬間に「低っ」と感じたシートポジションは、確実にスポーツモデルであることをドライバーにファーストコンタクトとして与えます。
今や希少となった直列6気筒エンジンを始動させ、一般道を運転し始めると快適性がかなり高いことに驚かされます。乗り心地もコンフォートなセダンやツーリングに比べればハードですが、不快感がある訳ではなく同乗者からも不満は出ないだろうといった印象。
また、直6エンジンは振動が少なく回転バランスに優れるのが長所ですが、その良さはこの街乗りでも感じられました。今やエンジンの振動がどうとか感じるモデルはほぼありませんが、低速域で回転が上下しストップ&ゴーを繰り返すシチュエーションでも、エンジンがスムーズに回り高いレベルで振動が少なく、街乗りが想像以上に快適だと感じました。

この連載の記事
-
第588回
自動車
都市型SUVの新定番! マツダ「CX-30」がもたらす新感覚ドライブ -
第587回
自動車
死角ナシの万能SUV! マイチェン版トヨタ「カローラ クロス」に乗ってわかった“しっとり快適”の正体 -
第586回
自動車
今しか選べない“熱き”ガソリンSUV!マセラティ「グレカーレ」の真髄を体感する -
第585回
自動車
カッコいいワゴンは健在! アウディの新型「A5 Avant」は流麗なデザインと広々ラゲッジでアウディらしさを継承する -
第584回
自動車
「VEZEL e:HEV RS」は後出しズルい! と言いたくなるほどイイクルマだった -
第583回
自動車
採点方式が激変の2025年「日本カー・オブ・ザ・イヤー」最終決戦! 10ベストカー試乗会レポ -
第582回
自動車
BMW「X2 M35i」はカジュアルさとBMWらしさが高次元にバランスした日本にピッタリなSUV -
第581回
自動車
フォルクスワーゲン「ゴルフ GTI」はオトナになったボーイズたちに勧めたいぜいたくな1台 -
第580回
自動車
プジョーの新SUV「3008」はデザインでの購入者が大半! リゾートホテルのような内装とクーペフォルムが牽引する -
第579回
自動車
新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ! -
第578回
自動車
クラウン・エステートで車中泊体験! 「おもてなし」シートで過ごすぜいたくなドライブ体験 - この連載の一覧へ
























