「AI開発の権利クリア」作業員行動データセット1万6000枚

　FastLabelは12月4日より、AI機械学習用途に権利クリアな作業員行動分類データセットおよそ1万6000枚を販売している。

データセット販売開始の背景

　同社は、2020年1月の創業以来、教師データ作成代行やアノテーションツールの提供を主力事業として展開。現在ではデータセントリックなAI開発プロセス全体を包括的に支援するサービス（業務代行及びコンサルティング）およびシステム（各種ツール）を提供している。大手企業を中心とした数百社の支援をする中で、AI開発プロセスにおける「データ収集」に関する課題が多く寄せられた。

　OpenAI「GPT-4」のほか、大規模言語モデルが公開されたことを受け、コンテンツを生成することが可能な生成AI（Generative AI）技術が急速に発展している。併せて、Stability AIの「Stable Diffusion」を代表として画像に関する生成AIも登場し、活用の可能性が期待されると同時に、AI倫理の観点から被写体からAI開発への利用承諾を得ていることがAIに使用するデータとしての利用条件となるケースが増えている。

　これらを背景として、既存のデータセットの権利の透明性を見直す動きが大手企業を中心として進んでいるが、AI開発に必要となる多量のデータを権利クリアに収集することは容易ではない。

　そこで、AI倫理を遵守しながら、AI開発の高速化も実現できる短納期でのデータ提供を可能とするため、今回の権利クリアな作業員行動分類データセットを販売するに至った。

同社が販売するデータセットの特徴

　データセットの特徴は以下の3点。

・権利クリアであること
データ取得およびAI開発への利用に関する同意書を「すべての被写体」から取得

・データの利用用途に合わせて、データを加工した上で納品が可能であること
これまで同社が支援してきた実績とAI開発への深い知見を活かした、利用用途に合わせたトリミング処理や印象分類、アノテーション等のオプションも提案可能

・各業界の実際の開発要件に沿って収集しているデータであること
AI開発をしている利用客の要望に沿って収集したデータであるため、実際のAI開発に活用しやすい撮影要件となる

作業員行動分類データセットの内容

　作業服を着用した日本人モデルに対して、データ取得およびAI開発への利用に関する同意を得た上で、人物を俯瞰する形でカメラを設置し撮影を実施した。

　データセットの詳細は以下のとおり。

キャスト：
・人数 10人
・性別 男
・年代 20代
・国籍 日本人
・体格 中肉中背

撮影条件：
・撮影場所 屋内・屋外
・照度 500ルクス程度
・内容 うずくまり・寄り掛かりなど作業者不調動作検知用、指差し確認動作検知用、喫煙動作検知用、ヘルメット着用検知用、人物検出用
・構図 2.5m、5.0mの高さからの俯瞰、キャストを取り囲むように複数カメラを配置
・総ファイル数 およそ1万6000ファイル
・サイズ 1920×1080px

付与済アノテーション：
・種別 矩形、セグメンテーション、キーポイント

データセットの購入およびサンプル画像の確認方法

　購入または見積り、サンプル画像の確認や新規撮り下ろしを希望する人は、以下のメールアドレス宛に問い合わせ。

　今回販売を開始する作業員行動分類データセットに希望の要件のデータがない場合は、要件に応じた新規撮り下ろし対応も可能。

問い合わせ：info@fastlabel.ai

　以下のURLより、同社が提供しているAIデータプラットフォーム・FastLabelに簡易登録することで、プラットフォーム上でもサンプル画像の確認が可能。

URL：https://app.fastlabel.ai/

同社のデータセット事業について

　同社は、データセットの販売のみならず、以下に対応したデータ収集代行サービスを展開している。

・画像（人物撮り下ろし、帳票データ収集 他）
・動画（スポーツ動画撮影、走行車両撮影 他）
・音声（スクリプト発話、ノイズ収音 他）
・テキスト（会話コーパス 他）※LLM開発用途含む

　データ収集代行サービスの取り組みの事例は以下のとおり。

ソニーネットワークコミュニケーションズ：https://fastlabel.ai/casestudy/snc
AWL：https://fastlabel.ai/casestudy/awl