◆三菱自動車の代表車と言えば?
軽トールワゴンは自動車市場の激戦区。その中において個性を際立たせているのが、今春発売したデリカミニ。どんなクルマか、タレントの新 唯(あらた・ゆい)さんとチェックしてみましょう。
三菱自動車といえば本格クロスカントリーの「パジェロ」、ラリーを席巻した「ランサー・エボリューション」、そしてオールラウンドミニバン「デリカ」が頭に思い浮かぶかもしれません。あとは4WDセダンの「ギャラン」、最強4駆スポーツ「GTO」、国産初の空冷式インタークーラーを採用し、かのジャッキー・チェンも乗っていた「スタリオン」、石原プロの刑事ドラマや映画「ワイルドスピード」で活躍した「エクリプス」といった名も……。
その中で、現在も販売しているクルマはデリカのみ。強いて言うなら「エクリプスクロス」というクルマもありますが、スポーツカーからSUVへと形を大きく変えています。ともあれ、実に悲しい状況で、三菱には頑張ってほしいと思わずにはいられません。
そんな三菱の代表作である「デリカ」の名前を冠した軽自動車が「デリカミニ」です。実にわかりやすく、実に三菱らしいではありませんか。記憶をたどればパジェロの軽自動車「パジェロミニ」というクルマもありましたから、そのネーミングの付け方も三菱らしくて、実にイイではありませんか。
筆者は三菱の関係者に会う度に「ジムニーが売れまくっているから、パジェロミニを出せばいいのに」と、口酸っぱく言っていたのですが、その度に「パジェロまで行くと、ジムニーのようにラダーフレームにしないと……」と考えていらっしゃるご様子。確かにパジェロの名を冠したら、道なき道に挑まれる可能性が出てくるので、「パジェロのクセに悪路を走れないとは何事だ!」と怒られてしまうのでしょう。ですがデリカの名なら、パジェロほどはガンガン攻めないでしょうし、元がワゴンですからミニ化しやすいのかもしれません。
◆現行デリカとは違うデザイン
というわけで、現行のデリカ D:5とデリカミニを並べてみると、似ている部分はほとんどなく。というのも、デリカミニは2018年まで発売されていたデリカ D:5のフェイスに寄せているから。そのフェイスは、半円のLEDヘッドライトとボディーサイズも相まって、どこか小動物のような可愛さ。
横を見ると、「どこかで見たことあるゾ」というもの。それは2020年に登場した「 eKクロススペース」「eKスペース」、さらに言えば兄弟車である日産「ルークス」そのもの。実はアウトドア志向の強いeKクロススペースを生まれ変わらせたのが、このデリカミニというわけです。ちなみに、eKスペースは継続販売されています。
◆三菱だけど日産初の軽自動車用エンジンを搭載
エンジンは新興国向けに日産アライアンスが製造している799cc直列3気筒のBR08系をベースに、ボアを69.0mmから62.7mmに縮小して659ccとしたBR06系。日産として初の軽自動車用エンジンで、世界で初めて実用化したという、1気筒あたり2本の燃料噴射ノズルを持つデュアルインジェクターが特徴です。最高出力は自然吸気仕様で52PS、過給器付きで64PSを誇ります。
それぞれに最高出力2.7PS/最大トルク40N・mのモーターを使ったマイルドハイブリッド機構が組み合わされています。二輪駆動モデルと四輪駆動モデルが用意されているのは、 eKクロススペースと同じです。
「なんだ、フロントマスクを変えただけなのか」というと、それは違っていて、悪路走行のための「グリップコントロール」「ヒルディセントコントロール」に新制御を追加。さらに四駆モデルは足回りのセッティング(バネレートなど)を変更。デリカの名に恥じないクルマに仕上げられています。このあたり、三菱の本気を感じます。
◆上位グレードにはステアリングヒーターも搭載
シート表皮には、通気性に優れたはっ水素材を採用。外板色にかかわらず、内装色はブラックのみと、かなりシックな印象へと変更。eKクロススペースの場合、エントリーグレードではウレタンのステアリングホイール、そのほかのグレードでブラック、もしくはブラウンの本革巻でしたが、デリカミニは全車ブラックの本革巻のステアリングホイールを採用しています。さらに上位グレードになると、ステアリングヒーターが付きます。ステアリングヒーターは、eKクロススペースには設定されていなかった装備ですので、寒冷地の方にはうれしいのでは?
安全面では、プレミアムグレードでデジタルルームミラーやマルチアラウンドモニターが標準装備されたのが大きな違い。ちなみに標準グレードでもリアビューモニター付ルームミラーが設けられています。運転支援のMi-PILOTなどは継承。メーターパネルには少し意匠が加わった程度で、大きな変更はありません。
320mmのリアシートスライド量を設けた荷室は従来と同様。全体的に汚れに強い素材が用いられており、ガンガン荷物を入れたり、少し汚れた服のまま乗っても大丈夫そう。
◆お値段抑えめでかなり売れているデリカミニ
お値段ですが、180万4000円(FF車・G)~223万8500円(4WD車・Tプレミア)と、価格差は結構あったり。ですが、すでにかなり売れているそうで、三菱自動車の軽自動車売上の半分を、デリカミニが占めているのだとか。アウトドアにピッタリの1台、ぜひチェックしてみてはいかがでしょう。

この連載の記事
-
第590回
自動車
【アメ車ってどうよ?】キャデラック「XT4」は思いのほかスポーティーで楽しいクルマでした -
第589回
自動車
アイドルがレクサスLMの“アメイジング”後席体験! 家超えの超豪華空間に大興奮 -
第588回
自動車
都市型SUVの新定番! マツダ「CX-30」がもたらす新感覚ドライブ -
第587回
自動車
死角ナシの万能SUV! マイチェン版トヨタ「カローラ クロス」に乗ってわかった“しっとり快適”の正体 -
第586回
自動車
今しか選べない“熱き”ガソリンSUV!マセラティ「グレカーレ」の真髄を体感する -
第585回
自動車
カッコいいワゴンは健在! アウディの新型「A5 Avant」は流麗なデザインと広々ラゲッジでアウディらしさを継承する -
第584回
自動車
「VEZEL e:HEV RS」は後出しズルい! と言いたくなるほどイイクルマだった -
第583回
自動車
採点方式が激変の2025年「日本カー・オブ・ザ・イヤー」最終決戦! 10ベストカー試乗会レポ -
第582回
自動車
BMW「X2 M35i」はカジュアルさとBMWらしさが高次元にバランスした日本にピッタリなSUV -
第581回
自動車
フォルクスワーゲン「ゴルフ GTI」はオトナになったボーイズたちに勧めたいぜいたくな1台 -
第580回
自動車
プジョーの新SUV「3008」はデザインでの購入者が大半! リゾートホテルのような内装とクーペフォルムが牽引する - この連載の一覧へ







































