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仕事に差がつく!阿久津良和「Microsoft 365のスゴ技」 第57回

ファイル共有ハブへと進化するOneDrive 3.0

2023年11月21日 09時00分更新

文● 阿久津良和 福澤/TECH.ASCII.jp

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 本連載は、マイクロソフトの「Microsoft 365」に含まれるSaaS型デスクトップ&Webアプリケーション「Microsoft 365 Apps(Office 365)」について、仕事の生産性を高める便利機能や新機能、チームコラボレーションを促進する使い方などのTipsを紹介する。今回は新たな「OneDrive for Business」に注目した。

第三世代を迎えたOneDrive ― Homeページも一新

 Microsoftは、2023年10月3日(米国時間)、次世代のOneDrive(for Business)を紹介するオンラインイベントを開催した。Microsoft 365 roadmapはもちろんOneDriveの公式ブログでも、たびたび新機能に触れてきたが、ローンチタイミングが見えてきたことから同イベントが開かれたのだろう。メインスピーカーを務めたMicrosoftのPresident of Collaborative Apps and PlatformsであるJeff Teper氏は、OneDriveの登場直後を第一世代、Microsoft 365 Appsの共同作業追加やセキュリティ強化を第二世代、そして今回のOneDrive for Businessの刷新を第三世代と称している。

 海外のIT系ニュースサイトでは「OneDrive 3.0」という呼称を用いることが多いのもTeper氏の発言を由来にしているのか。本稿も慣例に沿って同じ名称を用いるが、同氏はOneDrive 3.0の特徴を「ファイル共有ハブへと進化」したと述べている。

Microsoft President of Collaborative Apps and Platforms Jeff Teper氏

 まず、OneDrive 3.0では、Web UIを一新している。「Home(ホーム)」には「For you(自分用)」「Recent(最近)」が並び、ファイルアクセスの容易化や可読性を向上させている。左ペインには共有済みファイルにアクセスする「Shared(共有済み)」や以前のUIに類似する「My files(自分のファイル)」が並ぶ。

 括弧内の名称は筆者のテナントで確認したものだが、個人的にはRecentのフィルター機能が便利だった。筆者は古い人間なのでOneDriveのローカルフォルダー内に案件ごとのフォルダーを作成し、エクスプローラーでアクセスするのが常なのだが、それでもファイルを見失ってしまうことがある。前提としてOneDriveのローカルフォルダー内に保存する必要があるが、資料となるPDFやWordなどを見付ける際にフィルター機能は有用だ。

OneDrive 3.0のHomeページ

 Homeページのトップに並ぶ「Add New(新規追加)」は文字どおりOneDrive 3.0上でファイルを作成する機能だ。ファイルやフォルダーのアップロードに加えて、WordやExcel、PowerPoint、OneNote、Visio、Clipchampの各ドキュメントファイルやWebページのリンクを追加できる。選択時はテンプレートの推奨機能が動作し、各アプリのWeb版よりも直感的に操作できる。なお、イベントではMicrosoft LoopやMicrosoft Listも追加可能と説明していたが、筆者のテナントでは確認できなかった。

OneDrive 3.0のファイル作成機能

 ファイルの絞り込み機能は他にもある。「Browse files by(ファイルの参照方法)」では「People(ユーザー)」「Meetings(会議)」「Media」で条件に沿ったファイルを横断的に表示する。MicrosoftのPrincipal Group Product ManagerであるArwa Tyebkhan氏は、「新しいPeopleビューは、一緒に仕事をしている人々に焦点を当て、一緒に取り組んでいるファイルをすばやく発見できる。サムネイルとアクティビティのプレビューは最新情報の把握に役立つだろう」と述べている。

 筆者テナントでMediaは未確認だが、「多くの要望があった機能。近日中に導入する予定だ」(Tyebkhan氏)とのこと。国内のMicrosoft 365でも順次展開が始まるのだろう。

Browse byのMeetings。任意のオンライン会議に関連するファイルを列挙する

ファイル共有ハブとしての実力は

 "ファイル共有ハブ"を目指すOneDrive 3.0はファイル共有UIやアクセス権限の管理も刷新している。特に後者は「Manage Access(アクセスの管理)」でファイルにアクセスできるユーザーの個別選択や事前に作成したグループ単位で管理する。以前と同じくURLベースの管理も可能だが、共有結果を示すUIを用意した方が便利だろう。他にも組織の共有ポリシーを踏まえつつも外部の関係者とファイル共有するUIの最適化も図った。

Manage Accessのダイアログ

 OneDrive 3.0と各アプリの親和性向上も注目点の一つ。非Microsoft 365 Appsドキュメントにも対応し、PDFやCADファイル、Illustratorファイルなど任意のファイル形式をWebから開き、デスクトップアプリの起動と連携する。

 TeamsやOutlookなどとの直接連携もさることながら、気になるのはエクスプローラーである。直近のWindows 11はナビゲーションウィンドウに「ホーム」を追加し、本稿執筆時点ではクイックアクセスやお気に入りファイルが並ぶ程度にとどまるが、今後はOneDrive 3.0のHomeに類似するデザインを採用し、「Recommended」にはAIベースの推奨ファイルが並ぶようだ。詳細ウィンドウにはファイルの活動や関連ファイル、チャット履歴なども確認できる。なお、Microsoftは9月28日(米国時間)に同期機能の強化を公式ブログで表明した。

Microsoft Teamsから呼び出したOneDrive 3.0

エクスプローラー上のOneDrive 3.0

 他にもPowerShellベースながらもテナント間でOneDriveアカウントを移動可能にし、PCがオフライン環境でもWebの編集をネットワーク接続時に同期するオフラインモード、Microsoft 365 Copilot for OneDriveによる検索機能を披露している。

 すべての機能は2023年内や2024年から提供を開始するものも含んでいるが、OneDrive 3.0の全容を知りたい方はイベント内容をまとめた公式ブログとMicrosoft 365 RoadmapのOneDriveセクションをご覧いただきたい。

OneDrive 3.0のCopilot機能

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