ソフトバンク宮川社長「2兆円投資してもつながらないと言われた」
宮川社長は「10年で1万局、500億円の投資はさすがにできるとは思わない」と語り、さらに「ソフトバンクは900MHzが欲しい欲しいと大騒ぎして、3年間で2兆円を投資して頑張ってもつながらないとい言われ続けた。そこから細かなチューニングを続けて10年かけて、ようやくここまでのインフラになった」と振り返った。
基地局を建設するには、アンテナや無線機などの機材のほかに、設置する場所を確保するという課題が発生する。運良く借りられる場所を見つけた際、地主に対して毎月、賃貸料を支払い続ける必要が出てくる。
さらにKDDIの髙橋誠社長は「楽天モバイルの鉄塔はギリギリ(の高さ)で作ってこられている。同じ鉄塔にプラチナバンドの設備を積むのは苦しいだろう。新たな鉄塔が必要ではないか」と推測する。
当然のことながら、プラチナバンドは楽天モバイルが持つ1.7GHz帯よりも遠くに飛ぶというメリットがある。既存3社の基地局を見ると、特に地方などではかなり高い位置にアンテナを設置することで、電波を遠くに飛ばし、一気にエリアカバーを広げている。
他社からすれば「楽天モバイルがプラチナバンドを生かすならば、今よりも高い鉄塔が必要なはずだ」と見ているようだ。
楽天モバイル三木谷会長「544億円で十分、おつりがくる」
そんな競合他社からのツッコミに対して、徹底的に反論してきたのが三木谷浩史楽天モバイル会長だ。
設備投資額に対しては「544億円で十分、お釣りが来る」と主張。これまで培ってきた完全仮想化技術により、新たにかかるコストはかなり抑えられるというわけだ。
アンテナに関しても、従来の1.7GHz帯の基地局に新たに700MHz帯の無線機器を貼り付けるような手法をとると明らかにされた。
これまでの1.7GHzで使っていたアンテナは、700MHzも利用できるマルチなアンテナに付け替える必要がありそうだが、三木谷会長は「我々のアンテナは業界内でも1、2を争うパワーだと思っている。小さいが高性能であり、大きければいいというものではない」と業界内の懸念を一蹴した。
決算会見で明らかになった無線機器のイメージ図を見る限り、1.7GHzと同じ場所にプラチナバンドのアンテナが収容されるようで、プラチナバンドの特性を生かすため、設置位置を高くするといった手法はとらないようだ。
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