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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ 第376回

アイドルがスピンを体験! Hondaの交通教育センターで危険回避を安全に学ぶ

2023年11月11日 12時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) モデル●寺坂ユミ(@129Ym_afilia)編集●ASCII

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安全運転

万が一の時の運転を対処方法を学びに交通教育センターもてぎへ

 ASCII.jpの自動車取材でおなじみのゆみちぃ部長こと、アイドルユニット「純情のアフィリア」の寺坂ユミさん。連載開始の頃はペーパードライバーでしたが、今ではクルマの運転はお手のものです。ですが、慣れてきた頃がイチバン危ない時ですし、昨今はゲリラ豪雨などで、突然路面が滑りやすくなる場合も。

 そこで今回は、今一度運転技術の見直しと、万が一の時の対処方法などを習得すべく、モビリティリゾートもてぎにある「交通教育センターもてぎ」にお邪魔してきました。

◆なぜHondaが安全運転教育をするのか

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Honda安全運転普及の歩み

 交通教育センターもてぎは、Hondaが50年以上前から行なっている安全運転教育の一施設。なぜHondaがそういう事をやっているの? というと、我が国の交通事故死者数が年間1万人を超えていた1960年代にさかのぼります。「交通戦争」と呼ばれていた時代に、Hondaは「交通機関を扱っている企業としてどうあるべきか」「バイクを、クルマをつくり、売るだけでよいのか」と、パーソナルモビリティを世の中に提供するメーカーの果たすべき役割を真剣に考えたそうです。

 そして安全運転教育というソフトウエアを通じて、交通事故死者の増加に歯止めをかける必要性があるとの結論に達し、1964年、鈴鹿サーキット内に安全運転講習所を開設しました。

 ほぼ時を同じくして名神高速道路が開通し、日本のモータリゼーションは新しい時代を迎えようとしていました。そこで中部管区の白バイ隊長は、隊員たちの技術向上の必要性を感じて安全運転講習所に相談。それを受けて1964年10月から白バイ隊への教育もスタートしたのだそうです。翌年からは官公庁に向けた、運転免許保有者向けの安全教育も受け付けるようになりました。

 その後、本田技研工業は1970年に安全運転普及本部を発足。全国に交通教育センターを設置して、企業だけでなく個人も含めた、乗り物を運転するすべての人を対象とする安全運転教育を行なうようになりました。

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自動車試乗取材前、レインボーモータースクール和光に通っていた寺坂ユミさん。こちらもHondaの安全運転普及本部と関わりがある施設

 ちなみに、ゆみちぃ部長が以前ペーパードライバー教習を受けた「レインボーモータースクール和光」も、安全運転普及本部と関わりがあるのだとか。Hondaはハードとソフトの両面から、モビリティの安全性向上を目指しているというわけです。実際、この取材した日は、某企業の社員がこちらで安全運転研修を受けていらっしゃいました。

◆安全に危険回避を学べる交通教育センター

 今回は「一般道で起こり得る危険を、安全に体験する」ことをテーマにした、クルマの限界を超えた挙動を体験するリスク&セーフティコースを受講することにしました。クルマの限界を超えたというと、ものすごいスピードを出して……と思いがちですが、そういうことはありませんのでご安心ください。

 そのほか同施設では、ペーパードライバーに適した車庫入れや車幅感覚の練習に徹したものや、パイロンスラロームなどで運転の習熟度を上げたり運転のクセを見直す中級コースも用意されています。

 さらに、シビック TYPE Rオーナー(FK8型、FL5型)に向けた、ヒール&トゥーを含めたコーナーリングの練習のほか、最後にはサーキット走行(先導車あり)もするスポーツドライビングのスペシャルプログラムも! もてぎのコースをマイカーで安全に走る、実に魅力的なプログラムです!

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ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京を体験する寺坂ユミさん

 「クルマのスクール」を受講すると聞いたゆみちぃ部長は、以前取材した「ポルシェ・エクスペリエンスセンター」のレッスンを思い出したようです。濡れた路面でドリフトしたり、ニュルブルクリンク北コースの名物コーナー「カルーセル」を再現したアップダウンのあるロードコースを走行するそれは、とても楽しいものでした。

 ですが、あちらは「ポルシェのパフォーマンスを安全に体験する」ことを目的としているため、エンターテインメント性が高い反面、マイカーで走ることはできません。一方、交通教育センターもてぎは、日常運転における技術の向上等を目指すもので、カーレンタルはありますが、基本的にはマイカーで受講します。もちろんHonda以外のクルマでもOKなのは言うまでもありません。

 目的も違えば時間と料金も大きく異なります。ポルシェ・エクスペリエンスセンターは、マンツーマンの1レッスン90分で、値段は車種にもよりますが、5万円から。Hondaの場合、今回受講したコースは、お昼休憩込の10~16時までミッチリなのに、受講料は1万6000円(車両持込みの場合は2000円引き)。共通するのは受講してよかったと思える満足感と、施設内のアメニティが充実しているので、受講者は運転の練習、同伴者は施設内で楽しい時間を過ごす、ということができます。

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交通教育センターもてぎの施設の一部

 施設にお邪魔すると、普通の自動車教習所ならHonda「グレース」とかが並ぶところ、ここでは先代の「FIT RS」がズラズラリ。そのほか先代の「シビック TYPE R」に名車「S2000」や新旧「NSX」の姿まで! 「これは乗れないんですか?」とゆみちぃ部長。今日はFIT RSでお願いします。

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右肩がシートについた状態で左手側に手が届くのが良いポジションとのこと。これに合わせてハンドルの前後上下調整をします

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きちんとブレーキが奥深くまで踏める位置までシートを前に出します

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運転に適したポジション

 プログラムは朝10時のオリエンテーションから始まって、最初は車両の点検整備や運転姿勢から。まるで教習所の1限目を思い出すのですが、教習所と違うのは「かなり細かく実践的」でいて「丁寧でわかりやすい」というところ。というのも、教習所と違って「危険回避行動をする」から。それが結果的に「万が一の時に、自分の身を守る」こと、極言すれば「命を落とさないこと」につながるのです。この考えがスクール全体を通して徹底しているように感じました。

 スクールのメニューは大きくわけて3つ。まずはABS(Anti-lock Breake System)体験から。ABSは急ブレーキをかけた時などにタイヤがロック(回転が止まること)するのを防ぐ機構で、一般道を走っていてその機能が働くことはほぼないでしょう。ABSが動作すると、ドライバーに動作していることを伝えるべく、メーターに表示されるほか、ペダルから強い振動と動作音がするので、初めての人は驚いてペダルを緩めてしまいがちです。ブレーキペダルから足を離せば、当然クルマは止まりません。ですので、安全な場所でABS動作を体験することで、万が一使うシチュエーションに遭遇しても、少し心に余裕が生まれるというわけです。

 内容は40km/hまで加速し一気にフルブレーキする、バイク教習の「急制動」に似たもの。「最初、ペダルからガッガッという振動や音が聞こえて驚きました。知らなかったら緩めちゃいますね」とゆみちぃ部長。「これを一般道で実験するのは危ないですからね。体験できてよかったです」。

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スリッパリーコーナリング体験のコース

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スリッパリーコーナリング体験コースの路面。タイルのようなものの上に水が撒かれている

 続いてスリッパリーコーナリング体験。聞き慣れない言葉ですが、これは水を濡らしたタイルのような滑りやすいS字の道を低速で走行し車両コントロールを養うもの。たとえば冬の凍った道で走る時に役立つ技術を磨きます。速度としては20km/h程度なのですが、ラフなアクセル操作をすれば滑ってコースアウトに。「なら慎重に走ればよい」と思いきや、タイム計測をするので、そうはいかず。

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濡れた路面でギリギリのコントロール

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オーバースピードでコースアウトしても、セーフティーエリアが広いので安心

 最初は「20km/h程度ですか?」と不満げ部長でしたが、これがやってみると相当難しいではありませんか! コントロールできるギリギリの速度でクルマを進めるゆみちぃ部長。体でクルマの状態を感じながら、クルマを走らせていきます。

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