このページの本文へ

5つの重点領域と技術課題、最新のソリューション―「Dell Technologies Forum Japan」基調講演

イノベーションをはばむ日本企業の技術課題、その解消に挑むデル

2023年10月17日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

解決が容易ではないテクノロジー課題、「だからこそ“チャンス”」

 続いて登壇したジョン・ローズ氏も、この5つの領域にこそ「われわれが改善し、変革していくべきテクノロジー課題」があると説明したうえで、それぞれに対するデルのビジョンと最新ソリューション群を紹介した。

 まずAI領域の具体的なソリューションとして、NVIDIAとの提携による「Dell Validated Design for Generative AI」を紹介した。これは、生成AIを開発/実行するためのオンプレミスインフラソリューションであり、NVIDIA GPU搭載のコンピューティング(サーバー)、ストレージ、ネットワーキング、生成AI開発ソフトウェア(フレームワーク)、サービスにより構成される。

 「生成AIソリューションは単一の製品だけでは実現できず、なおかつ非常に大規模、そして複雑な構成になる。そこでまずわれわれはは、サーバーやストレージ、ネットワーク、データ保護といったコンポーネント群が、スケールおよび機能の面で生成AIの要求を満たすようにした。さらに重要な取り組みとして、これらのコンポーネントを集め、システムとして一体化して機能するようにした」「個別の(コンポーネントの)テクノロジーだけでなく、一体化されたエコシステム、そしてリファレンスソリューションをAs-a-Serviceのかたちで提供する」(ローズ氏)

 さらにローズ氏は、デルが提供するのは“プライベートAIソリューション”であり、外部のクラウドサービスには持ち出せないビジネスクリティカルなデータ、センシティブなデータを使ってAIをトレーニングできるため、「顧客企業のユニークなバリューを引き出せる」と説明した。

生成AI開発/実行のためのインフラソリューション「Dell Validated Design for Generative AI」

 続いてマルチクラウド領域では、包括的なAs-a-Serviceソリューション「Dell APEX」からいくつかの新しいサービスを紹介した。エンタープライズストレージサービスをパブリッククラウド(AWS、Azure)上で展開する「APEX Storage for Public Cloud」、バックアップストレージサービスの「APEX Protection Storage for Public Cloud」、Azure Stack/Red Hat OpenShift/VMwareのクラウドプラットフォームをオンプレミスに展開する「APEX Cloud Platform」、マルチクラウド+オンプレミス+エッジ環境に対する単一のコントロールプレーン(管理コンソール)となる「APEX Navigator」、ベアメタルコンピュートリソースを提供する「APEX Compute」などだ。

 「デルでは5年前に、すべてのオファリングを『製品』と『As-a-Service』で提供するというビジョンでDell APEXをスタートさせたが、それがほぼ達成された。今後も新たなテクノロジーを投入する際には、製品としてもAs-a-Serviceとしても利用できる選択肢を提供していく」(ローズ氏)

デルではAPEXのポートフォリオを急拡大させている

 エッジ領域についてはまず、56%の企業が「エッジでのイノベーションよりも複雑なデバイス管理にほとんどの時間を費やしている」という調査結果を示した。その理由についてローズ氏は、「エッジにおいて複数のワークロードを統合管理するエッジプラットフォームが存在せず、運用が複雑になってしまう」という現状の課題を指摘する。

 ここでは、エッジ向けのソフトウェアプラットフォーム「Dell NativeEdge」を紹介した。現場へのゼロタッチ導入と多数のエッジに対するアプリケーション導入や管理の一元化、工場出荷時からのゼロトラストセキュリティ、さらにマルチクラウド接続を可能にするソリューションだ。

エッジプラットフォーム「Dell NativeEdge」を紹介

 さらに、働き方領域ではビジネス向けクライアントPCの最新ポートフォリオを、セキュリティ領域では、検証済みのエンドトゥエンドゼロトラストソリューションを30社以上のエコシステムで開発する「Project Fort Zero」を、それぞれ紹介した。

 ローズ氏は「これら5つのテクノロジー課題を解決することは容易ではない。しかし、だからこそ、デルはこれを“チャンス”だととらえている」と語る。

 「われわれには(理想とする)ビジョンがあり、その実現のために課題を解決していく。たとえばすべてのクラウドが協調し、一つのプラットフォームとして使えたら。そのプラットフォームが、AIの力でビジネスの変革を助けてくれたら。データセンターにとどまらず、データとデジタルの存在するあらゆる場所、つまりエッジでも変化が起こせたら。デジタルインフラの変革によって、新しい働き方が実現したら。これらのことすべてをセキュアに実現するために、ゼロトラストの世界を作り出せたら――。こうしたものすべてが、デルのビジョンだ」(ローズ氏)

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード