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オンプレミス/マルチクラウド環境の共通プラットフォーム化推進、エッジの完全ゼロタッチ導入「NativeEdge」も

サーバー/HCIもas-a-Service化、デルが「Dell Technologies World」最新発表を説明

2023年06月26日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 デル・テクノロジーズは2023年6月23日、5月下旬に米国で開催された「Dell Technologies World 2023(DTW 2023)」で強化された「Dell Technologies APEX」ポートフォリオ、および「Dell NativeEdge」「Project Fort Zero」「Project Helix」などの新製品/新プロジェクトを日本のメディア向けに紹介する説明会を開催した。

「Dell Technologies World 2023」の主要アナウンスメント

デル・テクノロジーズ 上席執行役員 システムズ・エンジニアリング統括本部長の藤森綾子氏、同社 APEX事業推進部 ビジネス開発マネージャーの木村紳也氏、同社 システムズ・エンジニアリング統括本部 通信統括部 部長の雨堤政昭氏

全体総括:昨年のアイデアを具現化した新製品、パートナー協業を多数発表

 冒頭、DTW 2023に現地参加したデル・テクノロジーズ 上席執行役員 システムズエンジニアリング統括本部長の藤森綾子氏が、まず今年の主要なポイントを総括した。

 DTW 2023は5月22日から25日まで、米ラスベガスのマンダレイ・ベイ・リゾートで開催された。全体登録者はおよそ1万人で、日本からも150名以上の顧客、パートナーが参加した。

「DTWは昨年からハイブリッド開催になっているが、今年は本格的にオンサイトの参加者が戻ってきたという印象」(藤森氏)

 今年のDTWでは「アイデアをより早くイノベーションに(Transform ideas into innovation faster)」というイベントテーマが掲げられた。藤森氏は、このテーマには「顧客やパートナーがアイデアをイノベーションに転換できるよう支援する」という意味に加えて、「デル・テクノロジーズ自身がアイデアをイノベーションに変えてきたことを実証する、という意味もあったのではないか」という。昨年、開発中であることを明らかにした「Project Alpine」「Project Frontier」を、今回のイベントでは具体的な製品として発表したからだ(両製品の詳細は後述する)。

 2日間の基調講演で特に注目されたのは、Dell Technologiesが注力する「5つの柱」(Future of Work、マルチクラウド、AIを中心としたモダンデータインフラ、エッジ、セキュリティ)に関連して、多数の大手パートナーが登壇したことだ。藤森氏は「5つの柱を進めていくうえでは、パートナーエコシステムがかなり重要であり、今回はそれを戦略的に発表した」と説明した。

今年のDTWでは、マイクロソフト、レッドハット、NVIDIA、データブリックスの各社との協業製品や新プロジェクトを発表

APEX:ベアメタルやプライベートクラウドインフラもas-a-Serviceオファーに

 続いてデル・テクノロジーズ APEX事業推進部 ビジネス開発マネージャーの木村紳也氏が、今回発表されたAPEXの新サービス群を紹介した。「包括的なas-a-Serviceポートフォリオ」の提供を目指すAPEXでは、多数の新サービスが発表され、そのカバー領域を一気に拡大している。

「Dell Technologies APEX」のポートフォリオ。今回のDTWではオレンジ枠(一部緑枠も含む)の製品群が新たに発表された

 木村氏はまず、APEXで提供するサービス群を大きく3種類に分類した。オンプレミス環境にクラウド体験をもたらす「aaS(as-a-Service)オファー」、オンプレミス製品の高度な技術をSoftware-Defined化してパブリッククラウドで利用可能にする「Ground to Cloud」、その逆に、パブリッククラウドのソフトウェアスタックをオンプレミス環境で利用可能にする「Cloud to Ground」の3種類だ。

全体像。三角形の底辺が「AAS(as-a-Service)オファー」、左辺が「Ground to Cloud」、右辺が「Cloud to Ground」にあたる

 aaSオファーの領域では今回、データセンター/コロケーション施設/エッジ環境でベアメタルのコンピュートリソースを利用できる「APEX Compute」が追加された。これまでストレージのaaS「APEX Data Storage Services」を提供してきたが、同様のサービスをサーバーにも拡大する。

 APEX Computeでは、調達/契約管理コンソール「APEX Console」からセルフサービスで、必要なコンピュートリソースを指定(ノードタイプ、GPU、契約期間、デプロイ方法など)することで、Dell Technologiesが所有/管理する「PowerEdgeサーバー」などを利用できるサービス。ベアメタルサーバーのため任意のOSやハイパーバイザをインストールすることが可能であり、「リードタイムも早く(短く)提供できる」(木村氏)という。

 また新発表ではないが、日本市場で新たに投入されることになったのが「APEX Private Cloud」だ。これはデルがヴイエムウェアと共同開発するHCI「VxRail」をセルフサービスで構成/調達/利用できるサービス。コンピュート/ストレージリソースを個別に拡張できるため、コスト最適化にもつながるとしている。

 さらに、クライアントPCや周辺機器の調達、展開、管理、サポートなどをas-a-Service化する「APEX PC-as-a-Service(PCaaS)」も発表されている(日本の販売開始時期は未定)。

新たに追加された「APEX Compute」、日本で提供開始となった「APEX Private Cloud」の概要

APEX:デルストレージをクラウドで、クラウドコンテナ環境をオンプレミスで

 Ground to Cloud領域では、まず「Dell APEX Storage for Public Cloud」シリーズが紹介された。これはデルのオンプレミスストレージをSoftware-Defined化し、パブリッククラウド上に実装することで、ハイブリッド環境におけるワークロードの柔軟な配置や一貫した管理性などを実現するもの。昨年のDTWで“Project Alpine”としてアナウンスしていたものを具現化したサービスとなる。

 今回は、「PowerFlex」ベースのブロックストレージ(AWS、Azure対応)、「PowerScale」ベースのファイルストレージ(AWS対応)、「PowerProtect DD」ベースのバックアップストレージ(AWS、Azure、Google Cloud、Alibaba Cloud対応)の各サービスが発表されている(一部を除いて提供開始済み)。

新発表「Dell APEX Storage for Public Cloud」シリーズの概要

 一方でCloud to Ground領域では、パブリッククラウド上の仮想化/コンテナプラットフォームと共通のものをオンプレミスにも配置し、データとアプリケーションの柔軟な配置が可能なハイブリッドクラウド環境を実現する「APEX Cloud Platforms」が発表された(提供開始予定は2023年後半)。デルのハードウェア、ライフサイクル管理ツールと、ソフトウェアスタックが統合済みで提供されるターンキー型ソリューションになるという。

 対応する仮想化/コンテナプラットフォームは「Azure Arc / Azure Kubernetes Service(AKS)」「Red Hat OpenShift」「VMware Cloud / VMware Tanzu」。前述したAPEX Storage for Public Cloudのブロックストレージと組み合わせることで、パブリッククラウドとオンプレミスの間でアプリケーション/データをシームレスに移動させることができるとしている。

新発表「APEX Cloud Platforms」の概要

 上述した新サービス群の追加に基づいて、APEXユーザーの管理コンソールである「APEX Console」でも新たに2つの管理機能「APEX Navigator」が加わった。APEX Storage for Public Cloudのデプロイや管理を行う「APEX Navigator for Multicloud Storage」、マルチクラウドのKubernetesストレージやクラスタを管理する「APEX Navigator for Kubernetes」だ(各サービスの提供開始に合わせ順次展開)。

エッジ:ゼロタッチ、ゼロトラストの運用を実現する「NativeEdge」

 最後に、デル・テクノロジーズ システムズ・エンジニアリング統括本部 通信統括部 部長の雨堤政昭氏が、新しいエッジソリューションとして発表されたソフトウェアプラットフォーム「Dell NativeEdge」を紹介した。

 雨堤氏はエッジ環境を運用するうえでの独特の課題として、「現地にITサポート人材がいない」「セキュリティホールになりうる」「分散数(展開拠点数)がケタ違いに多い」「多様なスペックのハードウェアが存在する」「コネクティビティに制約がある」といった点を挙げる。こうした課題の解消を狙うのが、今回のNativeEdgeだという。

 NativeEdgeでは大きく3つ、大規模エッジの管理の簡素化、エッジ投資の最適化、ゼロトラストセキュリティの実装という特徴をアピールしている。

新発表のエッジオペレーティングソフトウェアプラットフォーム「Dell NativeEdge」

 NativeEdge対応のエッジデバイスは、ゼロタッチで現場への導入が可能であり、電源を入れると自動的にユーザーの管理下に組み込まれる。アプリケーションは「NativeEdge Orchestrator」で構成されたブループリントに基づいて自動配布されるほか、カタログからの導入も可能だ。エッジデバイスが多拠点に展開配置されていてもコンソールから一元管理できるほか、インターネット非接続のクローズドなネットワーク環境でも運用可能だという。

 デルの委託を受けたGLG Resarchの推定によると、NativeEdgeの導入によって、エッジのライフサイクル管理で22倍、セキュリティ管理で11倍の効率化が図られるという。雨堤氏は、日本の場合はISVやSIerによるソリューション導入や運用が多いが、そうしたサービスにもNativeEdgeが活用できるだろうと述べた。

NativeEdgeのコンソールからデバイス、アプリケーションを一元管理できる。ゼロタッチでのオンボーディング、プロビジョニングが可能

 なお雨堤氏は、エッジデバイスのサプライチェーンにおいてもゼロトラストセキュリティが実装されていることを強調した。NativeEdge対応デバイスは、デルの工場において顧客指定の設定などを施したうえで出荷されるが、その際に「バウチャー」と呼ばれる公開鍵のようなデータも発行する。顧客拠点でオンボーディングされた際に、このバウチャーを使ってデバイスやソフトウェアに改竄がないことを自動で検証する仕組みだ。

 「したがってエッジが導入される現場では、デルから届いたデバイスを接続して電源を入れれば、一切管理作業をする必要がない。たとえば工場の生産管理部の方など、現場のオペレーターの方でも導入が可能になる」(雨堤氏)

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