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GPU搭載サーバーやワークステーション、生成AI特化サービスなどで構成「Dell Generative AI Solutions」

デル、NVIDIAとの提携で生成AI環境構築ソリューション提供開始

2023年08月01日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 米Dell Technologiesは2023年7月31日、生成AIの開発/実行環境をオンプレミスに構築可能にするソリューション「Dell Generative AI Solutions」を発表した。NVIDIA GPU搭載の生成AIインフラ、生成AIの課題に特化したプロフェッショナルサービス、ワークステーションを包含するエンドトゥエンドのソリューションで、顧客が生成AIプロジェクトを迅速に立ち上げ、成功させることを支援するとしている。

 Dell Technologies インフラストラクチャーソリューショングループ(ISG)でクロスポートフォリオソフトウェア&ソリューション担当VPを務めるキャロル・ワイルダー氏が、日本を含むアジア太平洋の記者向けに説明した。

フルスタック、エンドトゥエンドの生成AI環境構築ソリューション「Dell Generative AI Solutions」を発表

Dell Technologies インフラストラクチャーソリューショングループ(ISG) クロスポートフォリオソフトウェア&ソリューション担当VPのキャロル・ワイルダー(Carol Wilder)氏

NVIDIAとの“Project Helix”をソリューションとして具現化

 Dell Generative AI Solutionsは、今年5月に米ラスベガスで開催された「Dell Technologies World 2023」で発表された「Project Helix」をソリューションとして具現化したもの。Project HelixではNVIDIAと提携し、NVIDIA製GPU搭載のPowerEdgeサーバーや大容量ストレージ、AIフレームワークなどを検証済み設計で提供し、企業が自社データセンターで迅速に生成AI開発/実行環境を展開できるようにすることを目指すとしていた。

 今回発表されたソリューションは、検証済み設計のインフラ「Dell Validated Design(DVD) for Generative AI with NVIDIA」に、「Dell Professional Services for Generative AI」「Dell Precisionワークステーション」を組み合わせた構成となっている。このうち、DVD for Generative AI with NVIDIAとDell Professional ServicesはNVIDIAとの提携に基づき提供される。

 DVD for Generative AI with NVIDIAは、前述したDell Technologies Worldで発表された生成AI向けインフラであり、サーバー、ストレージ、ネットワーキング、AI開発ソフトウェア、サービスで構成される。サーバーとしては「NVIDIA H100」GPU搭載の「Dell PowerEdge XE9680」など、ストレージとしては「Dell PowerScale」や「Dell ECS」などがラインアップされている。

「NVIDIA H100 Tensor Core GPU」×8基搭載の「PowerEdge XE9680」サーバー(Dell Technologies Worldの展示より)

 AI開発向けソフトウェアはモデル、ツール、管理機能などを含むもので、生成AIのプロセスを高速に構築できるという。具体的には、NVIDIAの「NeMo」など100以上のフレームワーク、事前トレーニング済みモデル、開発ツールを含む「NVIDIA AI Enterprise」、Dellサーバー/ストレージ向けのオブザーバビリティ機能「Dell CloudIQ」「Dell OpenManage Enterprise」なども含まれる。

 なおこれらのインフラは「Dell APEX」のアズ・ア・サービスモデルで提供され、顧客はオンプレミス環境でインフラを利用しながらクラウドライクな消費モデルと管理体験を得られる。また、Dellのハードウェア向けセキュリティビジョン「Intrinsic Security」によりリスクを削減し、データへの不正アクセスを防ぐという。

 DVD for Generative AI with NVIDIAは、日本を含むグローバルで同日から提供を開始した。サービスの部分は、日本/APJでは2023年後半からの提供開始予定。

 説明の中でワイルダー氏が強調したのが「推論(Inference)」だ。トレーニング済みモデルを使って実際のデータに予測を行ったり応答を生成したりするのが推論処理だが、「これまでリアルタイムで(推論の)結果を得るためには、LLMのサポートやスケールに課題があった」とする。

「顧客の成熟度段階に合わせてソリューションを提供する」

 2つ目のDell Professional Services for Generative AIは、顧客が抱える生成AI固有の課題を支援するためのプロフェッショナルサービスだ。「顧客の多くが、解決したい問題については明確なプロセスを持っているが、生成AIで具体的にやりたいことについては検討すべき点が多い」とワイルダー氏。そこで、生成AI活用に関する戦略立案から、実装、適用、スケールまで、成熟度段階に合わせた支援を用意するという。

 Dell Professional Services for Generative AIは一部の国で提供を開始する。

 3つ目の構成要素であるDell Precisionワークステーション(7960 Tower、7865 Tower、5860 Tower)は、「NVIDIA RTX 6000」GPUを最大4基搭載し、生成AIフレームワークの実行を80%高速化(前世代比)できるという。AIソフトウェア「Dell Optimizer」を内蔵し、消費電力を抑えつつ高性能を実現するという。生成AI向けDell Precisionは、8月初旬からグローバルで提供を開始する。

 生成AIソリューションにおけるワークステーションの用途についてワイルダー氏は、「開発者やデータサイエンティストは、生成AIモデルを大規模展開する前に生成AIモデルのチューニングをローカルで行うことができる」と説明する。

 ワイルダー氏は最後に、Dellの生成AIソリューションが「エンドツーエンド」を強調しながら、「顧客により成熟度が異なり、どのような成果を得たいのかも異なる。Dellはそれぞれに合わせたソリューションを提供する。AIを顧客のデータに導入するのを支援する」と述べた。

シンプル、自社固有、セキュアという特徴で、生成AIの取り組みをコントロール可能にすると説明

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