連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第103回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 9月30日~10月6日
IT子会社は「待ちの姿勢」が課題、「無駄な作業が多い」日本の生産性向上に生成AIへの期待、ほか
2023年10月10日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2023年9月30日~10月6日)は、IT子会社に対する評価と課題、2023年上半期のサイバー攻撃トレンド、世界最低レベルの日本の労働生産性向上に向けた生成AIへの期待、薄型TV/スマホ/PCの販売動向と予測についてのデータを紹介します。
■[経営]IT子会社の喫緊の課題は「待ちの姿勢」「IT戦略立案の能力不足」(ガートナージャパン、10月5日)
・IT子会社を設立する理由は「人件費」「開発コスト」「運用コスト」の抑制
・IT子会社の業務遂行は「期待通り」「期待未満」ともに49%
・課題は「親会社の経営課題・戦略を反映したIT戦略立案能力不足」がトップ
従業員500人以上、年商1000億円以上の企業(有効回答数300社)の幹部を対象に実施した調査。38%がIT子会社を有しており、その設立理由は「コスト抑制」に関するものが上位3つを占めた。IT子会社に委託した業務遂行、目的達成の評価は「期待通り」と「期待未満」がいずれも49.2%。喫緊の課題としては「親会社の経営課題・戦略を反映したIT戦略を立案する能力の不足」が16.2%で最多、「待ちの姿勢、言われたことをやる姿勢で、積極的な提案を行う姿勢が見られない」などが続く。ガートナーでは、IT子会社の戦略転換の検討は親会社、子会社の双方にとって重要な課題になっている、とコメントしている。
■[セキュリティ]2023年上半期、1組織あたりサイバー攻撃は前年同期比6%増、週平均1119件(チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ、9月29日)
・2023年上半期、日本では1組織の週平均1119件のサイバー攻撃、前年同期比6%増
・2023年第2四半期の週間サイバー攻撃数は8%増加、過去2年で最大の前年比増加率
・「Lockbit3」など活動が活発な48グループの被害は2200件以上、前年同期比20%増
2023年上半期(1~6月期)に発生したサイバー攻撃をまとめた「サイバー攻撃トレンド 2023年中間レポート」より。世界では2023年第2四半期、週間サイバー攻撃数は8%増、この2年で最も著しい増加率となった。日本における1組織あたり週間攻撃数の平均値は1119件、前年同期から6%増加。「Lockbit3」など、同時期に活動が活発だった48のランサムウェアグループによって発生した被害者は2200件以上で、前年同期比20%の増加。「Hive」などのRaaS(Ransomware-as-a-Service)活動終了に伴い、「Royal」「Play」といった新しいグループが出現しているという。
■[生産性][生成AI][経営]日本の労働生産性の低迷に危機感があるのは経営層、生産性が低い原因は「無駄な作業」がトップ(日本生産性本部、10月3日)
・国際的に低迷する日本の労働生産性に「危機感がある」経営層は37%
・「従来採用できたレベルの人材が採用できない」は全役職・産業共通で3割越え
・生産性が低い原因は「無駄な作業・業務」がトップ
従業員300人以上の組織で働くビジネスパーソン2804人を対象に、労働生産性について尋ねた「生産性課題に関するビジネスパーソンの意識調査」第2回調査。国際的にみて日本の労働生産性が低迷している現状に「かなり危機感がある」との回答は経営層がトップ(37.7%)。役職が下がるにつれて「わからない」の割合が増え、企業内でも温度差があることがわかった。生産性が低い原因としては「無駄な作業・業務が多い」(非管理職で45.7%、経営層で34.6%)が最多。生成AIについては「無駄な作業が減る」が最多で、「自分の仕事が代替される脅威を感じる」を上回った。
日本の労働生産性が2021年にG7最下位、OECD 27位に落ち込んだことについて、どう考えるかを聞いた(出典:日本生産性本部)
労働生産性が低い原因と考えるもののうち、「働き方と業務プロセス」にまつわるものを2つ選択してもらった(出典:日本生産性本部)
「生成AIなどに仕事が置き換えられる可能性が高まっているが、これからどうなると考えるか」という問いに対しては「無駄な作業が減る」ことへの期待が高い(出典:日本生産性本部)
■[消費者]薄型TV、スマホ、PCともに7月の販売台数は前年比マイナス、2023年通年もマイナス予想(GfK Japan、10月5日)
・薄型TVの2023年7月の販売台数は前年比2%減、買い替え主体の成熟市場が低迷
・7月のスマホ販売台数は前年比3%減、10月-12月期は前四半期比プラス見込み
・2023年のスマホ販売台数(予想)は前年比4%減、PCは同7%減
2023年7月の薄型TV(液晶TV、有機EL TVの合計)、スマートフォン、PCの販売動向と2023通年の予測。薄型TVは前年比2.3%減となり、4~6月の前年比横ばいから下落した。2023年通年の販売台数は前年比2.8%減の予想。スマホは7月は前年比3.7%減、4-6月の前年比7.7%減から下げ幅は縮小した。10-12月はiPhone 15などの影響から前四半期比プラスを見込む。PCは7月、前年比4.6%減。物価高、コロナ期の特需反動、貯蓄や生活必需品・レジャーへの支出が優先されるためPCの購買意欲が低い状態が続き、通年では前年比7.5%減と予想している。

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