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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第102回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 9月23日~9月29日

5年後の国内生成AI市場は786億円規模に、メインフレームのモダン化動向、Z世代が「日本の未来に期待が持てない」理由、ほか

2023年10月02日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2023年9月23日~9月29日)は、AIシステム市場/生成AIユースケース市場の最新予測、メインフレームのモダナイズ状況と成果、ビジネスパーソンが感じている「ストレス」の実態、ワークプレイス管理市場、「日本の未来」に対するZ世代や若年層の意識、についてのデータを紹介します。

■[生成AI]AIシステム市場は2023年6837億円、生成AIユースケース市場は今後5年で780億円規模へ(IDC Japan、9月26日)
・AIシステム市場のグローバルの支出規模は2023年1665億ドル、前年比29%増
・日本国内は6837億円、前年比31%増
・国内AIシステムにおける生成AIユースケース市場は2027年786億円を予想

 19業界/42のAIユースケース分析を含む、AIシステム市場における産業分野別/ユースケース別の最新予測を発表した。AIシステム市場のグローバル支出額市場規模は2023年、前年比29.3%増の1665億米ドルに、また日本国内は前年比31.4%増の6837億円に達すると予測。中でも生成AIはビジネス活用に対する期待感が拡大しており、日本国内の「生成AIユースケース市場」は2022年~27年の期間、年平均成長率(CAGR)194.7%で成長し、2027年には786億9400万円に達すると見込む。

国内AIシステム市場 ユースケーストップ5の予測。製造のデジタル支援、金融の不正行為分析などが並んでいる(出典:IDC Japan)

■[DX]95%がメインフレームのモダン化に着手、アプローチに関係なくコスト削減や利益増のメリット(キンドリル、9月25日)
・95%がメインフレームのモダン化に着手
・移行したワークロードの割合は平均37%、完全移行は1%
・モダン化により企業が削減できるコストは年平均2500万ドル

 ビジネスリーダーとITリーダー500人を対象に、メインフレームモダナイゼーションの現状と展望について聞いた。回答者の95%が、少なくとも一部のメインフレームアプリケーションをクラウド/分散型プラットフォームに移行していると回答した。移行したワークロードの割合は平均37%で、全ワークロードを完全移行すると答えた調査対象者は1%だった。どのようなアプローチでモダナイズしたかに関係なく、コスト削減、9~11%の利益増加が報告されており、企業ごとの年平均コスト削減額は2500万ドルだった。

■[生活]ビジネスパーソンのストレス要因は3年連続で「給与・賞与」(チューリッヒ生命、9月28日)
・ビジネスパーソンのストレス要因トップ、3回連続で「給与・賞与」
・コロナ禍ではじめたストレス発散は「身体を動かす」がトップ
・55%が「ウェルビーイング」という言葉を知らない

 ビジネスパーソン1000人を対象とした「ストレス」についての年次調査。今年で6回目となる。勤務先でストレスを感じる1番の要因は、3年連続で「給与・賞与(金銭面)」となった。2020年、2021年の調査結果と比較したところ、「仕事内容」「上司・部下以外の社内の人間関係」「上司との関係」「仕事環境」と同じ項目が3回連続でトップ5に入った。ストレス発散はこれまで「美味しい物を食べる」がトップだったが、新型コロナが5類に変更した後にも行なっている発散方法として、それまで2位の「睡眠・休息をとる」が1位に。新たに始めたもので最も多かったのは、「身体を動かす」だった。

仕事をする上で最もストレスを感じるものは、3年連続で「給与・賞与」だった(出典:チューリッヒ生命)

新型コロナ感染症が5類に引き下げられた後、ストレスに感じているものは「人混み」がトップ(出典:チューリッヒ生命)

コロナ流行前から行っていたストレス発散方法(青)、コロナ流行後から始めたストレス発散方法(緑)、現在のストレス発散方法(ピンク)(出典:チューリッヒ生命)

■[働き方]フリーアドレス化などが後押し、ワークプレイス管理市場は前年比32%増の20億1000万円(アイ・ティ・アール、9月26日)
・ワークプレイス管理市場は2022年、前年度比32%増の20億1000万円
・2023年は前年度比33%増加の見込み
・フリーアドレス化の拡大などが成長要因、2022~27年のCAGRは22%

 国内ワークプレイス管理の市場規模推移および予測。2022年の市場規模は20億1000万円で前年度から32.2%増加した。一部売り上げ規模が2倍以上成長するベンダーなど、全ベンダーが好調に売り上げを伸ばしたという。原因として、フリーアドレス化によるチーム・グループ単位での座席確保や在席情報の可視化、部署の枠を超えた交流促進など社内コミュニケーションの活性化などを目的とした導入も増えているとのこと。2022~27年のCAGRは22.5%、2025年には2022年の約2倍の市場規模になると予想している。

ワークプレイス管理市場規模の推移、および予測(出典:ITR)

■[生活]日本の未来に希望を感じるZ世代は25%、感じないは30%、理由は「政府に期待が持てない」がトップ(ビッグローブ、9月25日)
・日本社会の未来に「希望を感じる」Z世代は25%、「感じない」は30%
・希望を感じない理由トップは「政治に期待が持てない」(56%)
・「日本社会は不公平」と感じているZ世代は74%

 18歳~24歳までのZ世代350人を含む、男女1000人を対象に調べた「若年層の意識調査」第1弾。「日本社会の未来に希望を感じるか」という質問に対して、Z世代の25.5%が「感じる」、74.4%が「感じない」と回答、同様に25~29歳も「感じる」32.8%、「感じない」67.2%だった。ただし、Z世代や25~29歳の「希望を感じる」割合は上の世代よりも高く、逆に、希望を最も「感じない」とした世代は30代(43%)。希望を感じない理由としては「政治に期待できない」(56.7%)、「少子高齢化」(42.1%)が多かった。「不公平だと感じること」のトップは「経済格差」(64.1%)。また「年上の世代に不満を感じている」層は30代が最多(63%)。Z世代に不満の内容を聞いたところ「前時代的な価値観の押し付け」が62%でトップ、続いて「経済成長の停滞」37%が続いた。

Z世代は日本社会の未来に希望を「感じない」が「感じる」を上回っている(出典:ビッグローブ)

日本社会を「不公平と感じる」Z世代は74%(出典:ビッグローブ)

日本社会で不公平と感じることは、「経済格差」「社会的地位による格差」「ルッキズム」などが挙がった(出典:ビッグローブ)

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