このページの本文へ

連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第76回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 3月25日~3月31日

AIシステム市場の成長率、データ分析の組織貢献度、遅れるスマート家電のセキュリティ対策、ほか

2023年04月03日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2023年3月25日~3月31日)は、AIシステムの市場規模と成長率、データ分析担当者の意識、中小企業ビジネスへのエネルギー価格高騰の影響、国内のブランド価値トップ100、スマート家電に対するセキュリティ対策の現状についてのデータを紹介します。

■[AI]AIシステム市場、2023年は前年比26%増の4931億円の予測(IDC Japan、3月28日)
・2023年のAIシステム市場、世界・国内ともに前年比26%増、国内は4931億円に
・ユースケーストップ5は小売の「スマートビジネスオートメーション」、銀行「詐欺分析」など
・業務自動化/高精度化から顧客サービス高度化に応用が拡大

 IDCが定義する19の産業分野/36のAIユースケースに基づき、今後5年のAIシステム市場予測をまとめた。2023年は世界/日本ともに前年比26.9%成長し、世界は1530億ドル、日本は4931億円規模に達する見込み。ユースケースで先行するのは、小売業の「スマートビジネスオートメーション」「エキスパートショッピング」、組立製造業の「品質管理」、銀行業の「詐欺分析調査」など。現在は「業務自動化」や「高精度化」から「顧客サービス高度化」への応用が進んでいるという。

国内AIシステム市場のユースケーストップ5予測。バブルの大きさは2022年の市場規模を示す(出典:IDC Japan)

■[アナリティクス]「組織に価値を提供している」と考えるデータ分析チームは44%にとどまる(ガートナージャパン、3月28日)
・「組織に価値を提供している」と考えるデータアナリティクスチームは44%
・成功している最高データ/アナリティクス責任者(CDAO)の43%が「能力開発に時間を割く」
・CDAOの職責が拡大、「D&A戦略の定義と実施」(60%)「データ・ドリブンな組織文化変革」(54%)など

 世界のデータとアナリティクス(D&A)リーダー566人を対象に行った2022年9月~11月の調査より。自分たちが「組織に価値を提供している」と考えるチームは44%と半数に満たない。実績のある最高データ/アナリティクス責任者(CDAO)のうち43%、実績が低いCDAOの19%が「自身の能力開発に時間を割くことが有効」と回答した。ガートナーでは「存在感、実績、粘り強さ」が求められていると助言する。またデータアナリティクスの職責拡大とともに、企業の投資も拡大していることも報告している。

データとアナリティクス(D&A)の取り組みにおける成功の阻害要因。1位選択および上位3位選択合計(出典:ガートナージャパン)

■[経営]エネルギーコスト上昇にあえぐ中小・小規模事業者、90%が「価格転嫁できない」(全国商工会連合会、3月28日)
・エネルギー価格高騰によるコスト増、79%の事業者が前年同月比で売上増だが利益減
・利益確保に向けた取り組みは「価格転嫁」(42%)、「経費削減」(37%)
・価格転嫁ができない理由は「消費者の低価格・節約志向」(65%)

 2023年2~3月に実施された、エネルギー価格高騰が中小規模事業者に与える影響についての調査。製造業、建設業などの491事業者が対象。売上はコロナ禍前の水準に戻りつつあるが、エネルギーコストの上昇によって利益が確保しにくい状況が浮き彫りに。コスト増要因は「電気料金」が最大で66.5%、「ガソリン・灯油」が26.6%。利益確保の取り組みとして「価格転嫁」(42.1%)、「経費削減」(37.7%)などが挙がる。一方で、価格転嫁できない割合は90.9%にのぼり、その理由として「消費者の低価格・節約志向」(65.9%)、「競合」(46.3%)などが挙がった。

2022年2月と2023年2月を比較すると、中小規模事業者の79.4%が「売上増、利益減」となった(出典:全国商工会連合会)

利益確保に向けた取り組みで42.1%が「価格転嫁」を挙げたが、90.9%は「価格転嫁できていない」と回答している(出典:全国商工会連合会)

■[ブランド][生活]ブランド価値評価「ブランド・ジャパン2023」でUSJが初のトップへ(日経BPコンサルティング、3月24日)
・総合力ランキングで「USJ」が初の首位、90.7ポイント
・2位は「Google」、3位は「ユニクロ」
・前回トップ10外の「ディズニー」が4位にランクイン

 国内1000ブランドを、一般生活者とビジネスパーソンが評価する年次調査。今年で23回目となる。「フレンドリー(親近性)」「コンビニエント(利便性)」「アウトスタンディング(卓越性)」「イノベーティブ(革新性)」の4指標から「総合力」を算出した。初の総合トップのUSJは、人気コンテンツのコラボ、魅力的なキャンペーンなどが奏功、イノベーティブとアウトスタンディングの評価が高いという。全体では「タキイ種苗」「メルカリ」など生活娯楽関連、「日清食品」などSDGs企業活動認知度の高いブランドが目立ったという。

「ブランド・ジャパン2023」トップ100(出典:日経BPコンサルティング)

■[セキュリティ]スマート家電、セキュリティ不安があっても「対策がよくわからない」?(デジオン、3月28日)
・スマート家電に「セキュリティ不安がある」は46%
・不安がある所有者の75%がセキュリティ対策を「特にしていない」
・対策をしない理由トップは「どのような対策ができるのか知らない」(59%)

 警視庁発表の「家庭用ルーターの不正利用に関する注意喚起」を受け、家庭にあるスマート家電のセキュリティ対策について、1055人に聞いた。スマート家電を所有する人は72%、そのうち46.1%がスマート家電で「ウイルス感染や個人情報漏洩などのセキュリティ不安がある」と認めた。不安があるものの、セキュリティ対策をしている人はわずか24.2%にとどまった。セキュリティ対策を講じない理由は、「どのような対策ができるか知らない」(59.8%)が最多だった。

スマート家電のセキュリティに「不安」と回答した所有者の4人に3人が、セキュリティ対策を導入していない(出典:デジオン)

セキュリティ対策をしない理由を聞いたところ、約6割が「どのような対策ができるか知らない」と回答(出典:デジオン)

カテゴリートップへ

この連載の記事