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スピーディー末岡のMobile&Mobility最速最前線 第5回

高性能化するスマホカメラ、みんな使いこなしてる?

2023年08月29日 12時00分更新

文● スピーディー末岡

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■いつでもどこでも簡単に写真が撮れる
■スマホカメラの進化の恩恵は大きい

 旅行先でパシャパシャ、取材先でパシャパシャ、メモ代わりにパシャパシャ。いつでもどこでもハイクオリティーな写真が撮れるようになったのは、スマホカメラの進化のおかげです。今やスマホカメラの性能は、スマホを買う理由のひとつに挙げられます。昨今、いろんなモノが値上げしており、スマホも例に漏れず価格が上昇。ハイエンドモデルは20万円超えが当たり前の世界です。そんな高いお金を出して買うのだから、スマホカメラに高性能を求めるのは当たり前。エントリーからミドルレンジのスマホも、ハード的にもソフト的にもカメラ性能が上がっています。

エントリーからハイエンドまで、スマホカメラは大きく進化している

 いまや高性能スマホカメラの筆頭であるiPhoneも、初代(2007年、日本未発売)は200万画素でインカメラがありませんでした。また、スマホで2眼カメラと搭載したのは「HTC J butterfly HTL23」(2014年)、「HUAWEI Honor6 Plus」(2015年)などがありましたが、2眼ブームが始まったのは「HUAWEI P9」や「iPhone 7 Plus」が登場した2016年からだと考えます。いろんなメーカーが2眼スマホを出して完成度が高まり、3眼や4眼に繋がったのでしょう。今となっては単眼カメラのほうが少数派なくらいですね。

 1インチセンサー搭載で単眼の「AQUOS R8 pro」のような特殊な例はありますが、海外を見渡せば5眼カメラなんてモデルもありましたし、Meitu「V7」にいたってはインカメラが3眼でセルフィースマホを謳っていました。

「HUAWEI P9」(2016年)。2眼になってからボケを活かしたポートレート撮影がしやすくなった。スマホカメラの分水嶺と言える

 2億画素、1インチセンサー、高感度センサー、光学手ぶれ補正、超広角、100倍望遠、マクロ、シネマモード、ポートレート、夜景などなど、カメラの進化は挙げればキリがありません。スマホの発表会も、いつしかカメラの発表会かというくらいカメラの紹介に時間を割くようになりました。

“カメラフォン”とも言える「Xperia」シリーズ

コンセプトモデルだがレンズの取り外しが可能な「Xiaomi 12S Ultra Concept」

 誰もが綺麗に思い出を残せる。良い時代になったと思いませんか? 筆者は昔からカメラが苦手で、1眼レフでピンボケや画角がズレた写真を撮ってきては上司に怒られていたものです。それが、最新のスマホで撮影すればしっかりピンを合わせてくれるし、AIがいろいろと補正してくれるので、何も考えずに撮影してもクオリティーが高い写真になります。

 メーカーによってカメラの特徴も違い、iPhoneは「見たまま」の色味で撮影できてAFも速いとか、中華系スマホはビビッドな色合いを好むとか、PixelシリーズはAIの処理が優秀とか、一概にどれが秀でているとは言いづらい状況です。みんな違って、みんな良いのです。

iPhoneは良くも悪くも「見たまま」撮れるので、編集アプリでの加工がしやすい

■明らかにオーバースペックなカメラ
■その機能使います?

 これだけの性能のカメラ、使いこなしてますか? 仕事柄、スマホで写真を撮る人に多く会うのですが(RQとかアイドルとか)、だいたい編集アプリでの加工が前提で、あまり機能を使いこなしている人はいないイメージです。それどころか、どんな機能があるのかすら知らない人もいます。

 最近は写真を撮るときに美肌とか編集とかできるようになっているのに、アプリのほうがいいフィルターがあるからと、素の状態で撮影している人が大半でした(筆者の身の回り調べ)。たとえば、動画にしてもiPhoneのシネマティックモードとか使っている人に会ったことがありません。

 たしかにカメラは高性能になってきていますが、ほとんどのユーザーはそこまで求めてないのでは、と筆者は考えます。これだけカメラがスゴくなった! とプレゼンされても、置いてきぼり感(蚊帳の外感)があるのです。プレゼンの作例はプロが撮影した超ハイクオリティーのもの。高性能なカメラを使ってプロが撮ったら、そりゃ綺麗になりますわなと。

 個人的にスマホカメラで一番大事なのは、筆者のような写真下手が撮影しても、ある程度のクオリティーの仕上がりになることだと思います。誰がどう撮っても、綺麗な思い出を残せる。そして場所も時間も問わず撮りたいときに撮れる。マニュアルで細かく設定して三脚を使って、なんて手間もなく、構えてタップでパシャ! この機動力もスマホカメラならではの魅力です。

何もしなくてもAIが夜景と判別し、明るすぎず、しかしハッキリとした夜景写真を撮れるようになった

 もちろん、写真にこだわるユーザーもいますから、「なんでもできる」というのは大事です。筆者はスペック厨なので、使いこなせないけどいろんな機能がほしい派だったりします。いつか、その機能が必要になって「この機能は搭載されてないじゃん!」というよりは「この機能も使えるから買って良かったこのスマホ」となったほうが幸せになれると考えているからです。

 ですが、いろんな機能はほしいけど、写真にそれほどこだわらない派でもあるので、ぶっちゃけブレない写真が撮れればいいのです。少し欲を言えば、筆者は編集アプリを使わないので(面倒くさがりです)、多少盛ったりする機能は欲しいところです。おそらく、筆者と同意見の人は結構いるんじゃないでしょうか。

自撮りやポートレートの加工を標準のカメラアプリでできるようになり、画像加工の手間が減ったように思えるが、盛られすぎる、自分の好みじゃないなどの理由で使っていない人も多い

 メーカーがカメラ機能にチカラを入れる理由もわかります。いまやスマホカメラはそのメーカーの技術力の象徴と言ってもいいからです。SoCがどうの、ディスプレーのリフレッシュレートがどうのというよりも、カメラ機能のスゴさは一般の人に伝わりやすいですからね。ユーザーも自分が使うかどうかは別にして「へー、そんな機能あるんだ」と興味を抱きますし、それだけスゴいならと価格が高いのも納得できます。

 これからもスマホはカメラの進化を前面に押し出していくでしょう(バッテリーのブレイクスルーが起きるかもしれませんが)。しかし、使わなそうな機能を省いてもっとシンプルにしてもいいんじゃないかと思う今日この頃です。

 それでは最初の質問に戻りたいと思います。

 そのカメラ、使いこなしてますか?

筆者紹介───スピーディー末岡

 アスキースマホ総研主席研究部員。速いものが好きなスペック厨で、スマホ選びはスペックの数字が優先。なので使うスマホは基本的にハイエンドメイン。クルマはスポーツカーが大好き、音楽はヘビーメタルが大好きと、全方位で速いものを好む傾向にある。スマホ以外では乗り物記事全般を担当している。

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