32kbps、20%パケットロスでも内容を聞き取れた
LC3plusについてはデモを聴くことができた。
接続安定性(ロバストネス)を示す会話のデモでは、LC3plusだけでなくmSBCとLC3を比べて試すことができた。
mSBCはBluetoothのHFP(ハンズフリー・プロファイル)で採用されているSBCをベースにしたコーデックだ。このデモでは10%パケットロスの状態で、mSBC(60kbps)とLC3(32kbps)は同じくらい聞き取りにくいが、かろうじて理解はできる。ほぼ同じくらいのクリアさだがLC3の方が32kbpsとより低いビットレートでの比較なので、これはやはりLC3の方が優れていると言える。
これがLC3plusになると、32kbpsとかなり低いビットレートでも明瞭に言葉を聞き取ることができた。
さらに20%パケットロス(圏外付近の相当厳しい状態)では、mSBC(60kbps)とLC3(32kbps)はほぼ内容を聞き取ることができない。しかし、LC3plusはLC3と同じ32kbpsでも内容を聞き取ることができる。
ハイレゾ音質でも試聴してみた。オリジナル音源と、LC3plusで圧縮された500kbps、200kbps、128kbps(それぞれ両チャンネル)の音源を比べてみたが、確かにかなり音質は良い。そして、128kbpsでもあまり音質が低下していないことに驚いてしまう。オリジナルとの音質差がかなり少ないように感じられる。
Bluetoothにおけるハイレゾコーデックは既にいくつかあるが、それらと直に比べた場合のLC3plusの実力はまだ試せていない。しかし、LC3plusは今後主流となって行くであろうLE Audioでの動作が保証されているという強みを持つ。今後が期待されるハイレゾコーデックだと言える。
この連載の記事
-
第300回
AV
インド発の密閉型/静電式ヘッドホン? オーディオ勢力図の変化を感じた「INOX」 -
第299回
AV
夏のヘッドフォン祭 mini 2024レポート、突然のfinal新ヘッドホンに会場がわく! -
第298回
AV
ポタフェス2024冬の注目製品をチェック、佐々木喜洋 -
第297回
AV
なんか懐かしい気分、あなたのApple WatchをiPodにする「tinyPod」が登場 -
第296回
AV
逆相の音波で音漏れを防げる? 耳を塞がないヘッドホン「nwm ONE」──NTTソノリティ -
第295回
AV
NUARLのMEMS搭載完全ワイヤレス「Inovatör」(旧X878)の秘密とは? -
第294回
AV
AirPodsで使用者の動きからBPMを認識、それを何かに応用できる特許 -
第293回
AV
次世代AirPodsにはカメラが付くらしい、じゃあ何に使う?(ヒント:Vision Pro) -
第292回
AV
OTOTEN発、LinkPlayの多機能ネット再生機「WiiM」とSHANLINGの「EC Smart」を聴く -
第291回
AV
ビクターの新機軸、シルク配合振動板の魅力とは? HA-FX550Tを聴く -
第290回
AV
HDTracksがMQA技術を使ったストリーミング配信開始へ - この連載の一覧へ