日本オーディオ協会が定める、ワイヤレス機器向けの"Hi-Res AUDIO WIRELESS"ロゴの認証取得可能なコーデックに、MQAの「SCL6」とフラウンホーファーIISの「LC3plus」の2つが追加された。それではこの「SCL6」と「LC3plus」とはどういうものだろうか?
ワイヤレスでも音源の空気感を届ける
まず、SCL6は「MQair」として展開していくとのことだ。つまりコーデックとしての技術的な名称はSCL6だが、製品に応用する際にはMQairという一般に馴染みやすいブランド名を用いるわけだ。
イギリスMQAの発表によると、このMQair(SCL6)は、MQAとPCMオーディオを384kHzまでサポートするとある。リリースにも「MQairは人間がハイレゾの音を聞く際の決定的要素である時間軸に焦点を当てた」とあり、MQAの技術が応用されているか、あるいはMQAそのものであることが伺える。
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新たに発表されたMQair
エンコード時のデータレートは、200kbpsから20Mbpsまでを可変的にカバーすることで、伝送経路はBluetoothのみならず、Ultra-Wideband(UWB)やWi-Fiリンクまでをカバーするとある。またMQair(SCL6)には低遅延、高効率という特徴があり、電池寿命を延ばせるということだ。
MQAの創設者でCTOを務めるボブ・スチュワート氏は「ハイレゾリューションとは、必ずしも大上段から定義されるようなものではなく、詳細な音楽情報、セパレーション、カラー、そして空間表現といったほんの小さな要素から定義されるものです。私たちがtransparency(透明性)として大切にしているものは、まさに空気そのものです。」とMQairという名称の意味を語っている。
使用帯域を抑えハイレゾ相当の情報を届けるMQAの特徴を生かすのか
MQair(SCL6)については、まだ製品が出ていないのであまりコメントができない。ただし、従来のMQAと同じ仕組みであれば、受信側の機器がMQAデコーダーを持つ場合に大きなアドバンテージが生まれるコーデックということになる。ただし、MQAというフォーマット自体が一般的なPCMと互換性を持つので、MQAデコーダーがない機器でも再生はできるはずだ。
別の可能性として、受信側の機器情報を調べてMQAまたはPCMで伝送するのかもしれない。MQAについては、折りたたんだハイレゾサンプリングデータの格納先として、ビット深度の一部を使用することから「真のロスレスではない」という批判が一部にある。PCMも同時にサポートして、完全なロスレスが必要な場合にPCMデータを渡す仕様だとすると、MQAのワイヤレス版というよりも、MQAの拡張版と捉えた方がよいが、このあたりは筆者の憶測に過ぎないので、詳細が明らかになったときにフォローした方が良いだろう。
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