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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第94回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 7月29日~8月4日

「日本製」高品質神話に異変、生成AI準備済み企業は3割、スマホと恋人の乗り換えは似ている? ほか

2023年08月07日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2023年7月29日~8月4日)は、企業の生成AI活用意向と活用準備、ランサムウェア配布経路の変化、日本の製造業における品質意識、スマホ買い換えサイクルの短い人/長い人の傾向についてのデータを紹介します。

■[生成AI]生成AIを活用すると8割が予想、だが準備ができている企業は30%(テラデータ、8月2日)
・56%が生成AIを今後6~12ヶ月で活用する大きなプレッシャーを感じている
・生成AIを活用する準備が「しっかりできている」は30%
・85%がデータの複雑性が今後2年間続く・大きくなると予想

 米国、欧州、アジアの経営幹部約900人を対象に、テラデータとIDCが2023年3月に実施した調査より。10人中9人が生成AIによるメリットや可能性を理解しており、80%近くが「将来自社のサービスや業務に活用されると確信している」と回答した。また56%が「生成AIを今後6~12ヶ月で活用することについて強いプレッシャーを感じている」としている。その一方で「生成AIを導入するための環境が整っている」という回答は30%にとどまったほか、57%が「生成AIの関心は時間が経過すると薄れる」と予想していることも明らかになった。

「生成AIを活用する準備がしっかりできている」という回答は30%、「今後6~12ヶ月で生成AIを活用しなければならないという大きなプレッシャーを感じる」という回答は56%だった(出典:テラデータ)

85%が「データの複雑性は今後2年間で横ばい/増加する」と回答、3人に2人が「この2年でデータの複雑性が増した」と述べた(出典:テラデータ)

■[セキュリティ]ランサムウェアの配布経路はウェブ閲覧が77%、メール添付を上回り主流に(パロアルトネットワークス、8月2日)
・ランサムウェアの配布方法は「URLまたはWebブラウジング(Web閲覧)」が76%で主流に
・ランサムウェアファミリーは「Lazy」と「Virlock」が50%以上を占める
・最も悪用されているパブリックホスティング

 同社の脅威インテリジェンスチーム“Unit 42”のランサムウェア調査。ランサムウェアの主たる配布方法は、2021年は「電子メールの添付ファイル」が最多だったが、2022年は「URLまたはWebブラウンジング(Web閲覧)」が76.5%を占め、主流となった。「同じランサムウェアをホストする際、異なるURLをローテーションして使う」という行動も観測されているという。最も悪用の多いTDL(トップ・レベル・ドメイン)は「.com」、次が「.net」だった。

2022年、ランサムウェア配布で使用された着信プロトコルは「Web閲覧」76.5%が最多だった(出典:パロアルトネットワークス)

検出したランサムウェアで最も多いのは「Lazy」、続いて「Virlock」。この2種で過半数を占めた(出典:パロアルトネットワークス)

■[ビジネス][製造]日本企業の高品質神話に異変? 製造業従事者の3割が品質と国際競争力が低下と認識(JMAR:日本能率協会総合研究所、7月28日)
・現場の従業員の約3割が、日本企業の品質と国際競争力は「低下」と認識
・過去5年間で勤務先で品質問題を体験した従業員は51%
・26%が、今後、勤務先で品質問題が発生すると懸念

 製造業の上場企業の生産・製造部門、開発部門に勤務する係長と一般社員を対象にした「従業員の品質意識」アンケート調査より。調査期間は6月22日、23日。最近5年の変化として、日本企業の品質が「低下している」は28.2%、日本企業の国際的な品質競争力が「低下している」は33%となり、ともに「向上している」という回答を上回った。実際に、過去5年間に品質問題が発生したかを尋ねたところ、自社で51.6%、勤務先・取引先で40.4%という結果だった。

最近5年間の変化として、日本企業の品質が「低下」は28.2%、品質の国際競争力も「低下」が33%となった(出典:JMAR)

過去5年間で勤務先で品質問題が発生したという回答は51.6%、顧客や取引先、同業他社のいずれかが「ある」は60.3%にも達した(出典:JMAR)

今後の品質問題の発生について、26%が懸念を示した(「会社では絶対に起こらないと思う」に対して「違う」と回答)(出典:JMAR)

■[モバイル][生活]スマホの買い替えサイクルが短い人は恋愛期間も短い? 買い替える理由は「流行に遅れたくない」(Warranty technology、7月31日)
・スマホの利用時間のトップ、毎年買い替える派は「1時間以内」(28%)3年以上は「4時間越え」(26%)
・買い替える理由トップは、「流行に遅れたくない」(毎年)「バッテリ/本体の寿命」(3年以上)
・最も長い交際期間のボリュームゾーンは、毎年買い替える派は「1年未満」(27%)、3年以上は「3年未満」(15%)

 スマートフォン(スマホ)を毎年買い替える人111人、3年以上使用している人106人、合計217人を対象にスマホの買い替えについて比較調査した。期間は7月19日、20日。1日のスマホ利用時間は、毎年買い替え派は「1時間以内」が最多で28.8%、3年以上は「4時間越え」(26.4%)となった。買い替える理由は、毎年買い替え派は「流行に乗り遅れたくない」「新しいスマホを持ちたい」が多く、3年以上は「バッテリー/本体の寿命」(72.6%)がトップだった。

1日のスマホ利用時間は、毎年買い替える人のほうが短く(「1時間以内」が28.8%で最多)、3年以上は長い(「4時間越え」が26.4%、「3時間以内」が24.5%)(出典:Warranty technology)

スマホを買い替える理由。毎年買い替える人は「流行に乗り遅れたくない」、3年以上は「バッテリー/本体の寿命」がそれぞれ最も多い(出典:Warranty technology)

交際期間との比較。スマホ交換「3年以上派」のほうが交際期間も長い傾向にある(出典:Warranty technology)

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