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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第93回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 7月22日~7月28日

ネット炎上“火元”の半分はTwitter、国内の潜在デジタル人材は36%、オンライン会議の定着度、ほか

2023年07月31日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2023年7月22日~7月28日)は、「効率の良い働き方」に対する労働者の意識、ユニファイドエンドポイント管理(UEM)市場、デジタル人材育成施策や育成が待たれる「潜在デジタル人材」、2023年上半期「ネット炎上」の傾向についてのデータを紹介します。

■[働き方]テレワーク実施は東京が最多、28%が効率の良い働き方は「業務に合わせて出社を調整できること」(アドビ、レノボ・ジャパン、7月27日)
・テレワーク制度がある企業は7都道府県平均で42%、東京は62%で最多
・実施者も東京都が48%で最多、北海道は14%で最少
・1日1回以上のオンライン会議利用が42%、コロナ禍の最中(46%)より減少

 アドビ、レノボ・ジャパンが共同で今年4月、東京都、愛知県、大阪府など7都道府県に勤務するビジネスパーソン2100人を対象に実施した「デジタルワークに関する調査」より。「テレワーク制度がある」「テレワーク実施中」の両方で東京が最多(制度62.3%、実施者48%)、北海道が最少(同30.7%、14%)となった。全国平均では「テレワーク非実施」が74.4%と、4分の3を占める。オンライン会議の利用頻度は「1日1回以上」が42.2%。コロナ禍の最中の46%よりは減少しているが、コロナ前の22.1%のおよそ2倍であり、利用が定着していることがうかがえる。

最も効率的と感じる働き方として「自分の業務内容に合わせて、出勤日を柔軟に調整できる働き方」を望んでいることがわかった(出典:アドビ、レノボ・ジャパン)

テレワーク実施中の人の54.8%が「引き続き在宅勤務の継続」を望んでいる(出典:アドビ、レノボ・ジャパン)

■[UEM]ユニファイド・エンドポイント管理は2022年、前年比25%増の417.3億円へ(アイ・ティ・アール、7月27日)
・2022年度のUEM市場規模は417億3000万円、前年度比25%増
・2023年度は前年度比22%増を予測
・大企業からSMBへと導入拡大、2022年から2027年までCAGR11%で成長

 ユニファイド・エンドポイント管理(UEM)市場の2022年度売上金額は417億3000万円で、前年度比25.9%増の大きな伸びとなった。シェア1位と2位のベンダーが売上を伸ばしたことが成長に寄与した。2023年度も同じ傾向が見込まれ、22.2%の成長予測。 大企業は導入一巡し、今後はSMB向けを強化するなどの販売活動を展開すると予想、2022年から2027年までCAGR11.7%で成長し、2027年度には700億円規模に達すると見ている。

国内ユニファイド・エンドポイント管理市場の推移および予測(出典:ITR)

■[人材][スキル]「潜在デジタル人材」は36%、企業の人材研修・育成実施は46%(デロイト トーマツ コンサルティング、7月25日)
・非デジタル人材における潜在デジタル人材は36%
・デジタル人材の育成・研修の実施率はDX先行企業で87%、一般企業46%
・学びを活かす「実践機会の提供」が課題

 企業252社(うちDX銘柄/DX認定企業=「DX先行企業」が49社、それ以外を「一般企業」と分類)と、個人(うちデジタル人材4103人、非デジタル人材2284人)を対象とした「デジタル人材育成に関する実態調査2023」より。企業におけるデジタル人材育成・研修の実施率は、一般企業で46%、DX先行企業で87%。スキル習得の動機づけについては、学びを促進する「コミュニケーション」18%、「人事制度の整備」8%など、着手できていない企業が多いことがわかった。課題としては「実践機会の提供」(DX先行企業が53%、一般企業は37%)、「人材ニーズの定義」(同53%、65%)などが挙がる。

デジタル人材の育成に関する施策の実施率(出典:デロイト トーマツ コンサルティング)

非デジタル人材における「潜在デジタル人材」の割合は36%と算出(出典:デロイト トーマツ コンサルティング)

リスキリングの意向。デジタル人材の方が高いが、非デジタル人材も32%が「意向あり」だ(出典:デロイト トーマツ コンサルティング)

■[生活]ネット炎上の51%がTwitterで発生、「顧客クレーム・批判」「不適切発言・行為・失言」が火種になりやすい(ネクストリンク、7月25日)
・2023年上半期の「ネット炎上」は132件
・メディア別ではTwitter(現X)が51%で最多
・炎上区分では「顧客クレーム・批判」が最多、「不適切発言・行為・失言」が続く

 風評被害・誹謗中傷を解決するサービスを提供するネクストリンクが、2023年上半期(1月1日~6月30日)の「ネット炎上事例」をメディア別に集計した。同期の炎上事例は132件。このペースで進むと2023年は264件となり、2022年の286件よりやや少なくなる。メディア別では「Twitter」(51%)、「TV」(22%)、「YouTube」(17%)の順。Twitterは利用者が多いこと、テキストベースで投稿できて手軽であることなどが要因と分析している。炎上しやすいのは芸能人、著名人、YouTuberなど娯楽業の個人が最多で、続いて企業・法人。炎上を防ぐためには、正確でクリアなコミュニケーションと情報の透明性が重要とアドバイスしている。

炎上が発生したメディアはTwitterが最多で51%を占めた(出典:ネクストリンク)

炎上した業種は「娯楽業」が圧倒的に多い(出典:ネクストリンク)

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