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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第31回

収入がAIに減らされる ハリウッドで悲鳴

2023年07月31日 10時00分更新

文● 新清士 編集●ASCII

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俳優たちによる「AI対抗」の動き、日本でも

 一方、日本では、約60年の活動の歴史を持つ日本俳優連合が6月13日に「生成系AI技術の活用に関する提言」を発表しています。生成系AIとはなっているものの、機械学習を含む「AI技術」を指しているとは文頭で説明されています。

 連合では5つの提言をしています。「人間の代替としてのAIによる表現をしてはならない」など、AI利用についてより厳しい条件が含まれています。「業界内でのガイドライン作り、国としての法律制定、ひいては国際的な枠組みでのルール構築を切に望みます」としており、映画会社といったところを対象にしているというより、より国レベルでの広い範囲のルール策定を目標にしているようです。

日本俳優連合の提言ページより

 ただ、日本ではこうした活動を通じての政策実現には限界があり、なかなか実現のハードルは高いように思われます。

 人間の仕事と、AI技術とが、直接ぶつかる範囲は目に見える形で広がってきています。今回のハリウッドでのストは、どのような決着をつくのかは予想がつきませんが、その妥結の文言は、今後の人間とAIとの関わり方に大きく影響を与えることになりそうな予感はしています。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社AI Frog Interactive代表。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。現在は、新作のインディゲームの開発をしている。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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