このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 次へ

新清士の「メタバース・プレゼンス」 第161回

わずか3日で停止された新AI「Claude Fable 5」は何がすごかったのか

2026年06月15日 07時00分更新

文● 新清士

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 9日、Anthropicが突然、新モデル「Claude Fable 5」をリリースしました。過去最高クラスの知性を持ち、サイバーセキュリティ能力を備えた「Mythos」に安全フィルターを施した一般向けモデルです。しかし、13日には、米国政府の安全保障上の懸念を理由に、アクセスが一時停止され、まだ再開のめどは立っていません。実際、性能は高いのでしょうか。リリースから3日間触った印象では、これまでのLLMモデルと比べて、たしかに段違いの性能を感じさせるものでした。ゲーム・小説・映像の作例を通じて、エンタメ分野にどんな影響を与えそうかを探ってみました。

ゲームの表現力は圧倒的

 Fable 5の性能の高さを最もわかりやすく実感したのは、ゲームを作らせたときでした。これまでも、メジャーモデルが登場するたびに「インベーダーとギャラクシアンを混ぜたゲーム」を作らせてきましたが、間違いなくダントツで完成度の高いプレイアブルなゲームを生成してきました。

 Claude系は、まず計画を作成させた上で、実装させるほうが品質の高い結果を出す傾向があります。その経験則に従い、今回も同じ方式を取りました。Fable 5は計画を数分で作り上げ、実装に入りました。計画は約4分で、実装を開始して、ゲームがウェブ用のプレイアブルなアプリとして出力されるまでには約19分かかりました。

<プロンプト>

インベーダーとギャラクシアンをまぜたようなシューティングゲームを作りたい。Geo風のサイバー風のもので、エフェクトが派手であること、5面構成でボス戦があること、パワーアップ概念があり、武器がどんどん強力になること。敵にはバリエーションがあり、様々な攻撃方法で実現してくること、最後に大きなボスがでてきて、複雑な攻撃をしてくること。弾幕が重要だけど、クリアできるぐらいであること、ボムが入ること。といった条件で、計画を立ててくれる?

 出てきたゲームは、最初から相当高い完成度に達していました。プロンプトを広めに解釈したのか、5面分の展開が用意され、それぞれの面に、違った特性のボスが配置されていました。

 ゲームは実際にかなり面白いものになっています。8種類の敵にはそれぞれ個性があり、武器の切り替えなど、レベルアップの概念も用意されています。ボス戦もそれなりに考える必要があります。バランス調整のために何度か注文をつけて修正していますが、大きなバグもなく普通に動作しました。

「NEON SWARM」の画面。左が通常パートで、右が1面のボス

△「NEON SWARM」の1面のプレイ動画

https://neon-swarm-teal.vercel.app/

△「NEON SWARM」は、こちらからPCブラウザでプレイ可能です

 これまでも、2025年6月に「Claude Opus 4」で同じように一晩でシューティングゲームを作らせていますが、最初に出力されたバージョンはバグだらけで、またバランス調整なども含めて時間がかかっていました(参考:AI丸投げのゲーム開発が超楽しい 誰もがプログラムを作る時代は確実に来る)。その後、2026年5月に、Codexで「ChatGPT-5.5」を使ってシューティングを作り、15分ほどで作ることができました(参考:AIだけでゲームは作れるのか? Codexに7本作らせて見えた実力と限界)。ところが、Codex版はあまり面白くなく、一度プレイしたら二度と遊ばないと思えるものでした。

 一方、「NEON SWARM」は明らかに面白いんです。5面まで通してプレイすると、それなりに時間がかかりますが、それでも最後まで遊びたいと思わせる粘りがあります。

 なぜ、ゲームの面白さを作り出す能力を、Fable 5が獲得できたのかは、まだ筆者もうまく説明することができません。しかし、これまでのLLMとは何かレベルが違うと感じさせるには十分でした。

前へ 1 2 3 4 5 次へ

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
ピックアップ