Google Cloud Day基調講演レポ パートナープログラムやユーザー事例も披露
DXに必要なデータ活用、内製化、コラボレーションをジェネレーティブAIで支援
日本企業の半数以上が内製化を推進 Cloud Workstationsで開発を容易に
2つめの「内製化」では、市場背景を「市場の変化に対応するスピードを、より一層速めるには、システムを自社で内製化する動きが注目されている。日本企業の54%が内製化を推進しており、内製化によって、コスト削減、開発や運用の迅速化、変革の社内理解の拡大につなげることができると考えている。Google Cloudは、内製化を加速することができる」(平手氏)と説明した。
クラスター管理が不要なフルマネージドサービスであるGKE(Google Kubernetes Engine)Autopilotでは、コンテナ化されたアプリケーションのデプロイを最大2.6倍高速化。コンテナ化されたジョブをサーバーレスで実行できるCloud Runジョブでは、開発ライフサイクル全体のデプロイを50%高速化できるほか、Cloud DeployではDevOpsタスクの実行を2.4倍高速化できることを示した。さらに、Google I/O 2023で発表した「Duet AI for Google Cloud」では、コードを自動生成して開発者を支援。必要な機能をコメントするだけでコードブロックを自動で生成し、コードのエラーや脆弱性の修正も提案することができるという。
グーグル・クラウド・ジャパン 技術部長(インフラ、アプリケーション開発)の安原稔貴氏は、「Google Cloudのアプリケーション実行基盤は、複雑な初期構築や管理が不要であり、簡単に始めることができ、内製化をスタートしやすい。管理に手をかけることなく、開発に集中できるマネージド、複雑な構成をすることなく、使い始めることができるシンプルを追求しているのが特徴である」と発言。さらに、東京リージョンを通じて新たに提供するCloud Workstationsでは、ブラウザ経由でアクセス可能なマネージドの開発環境を実現。セキュアで、ハイスペックに統一化された開発環境により、既存のPC環境のままでも、開発を開始することができ、内製化を進める企業にとっては最適なサービスになることを強調した。
加えて、2022年9月から、アプリケーション開発支援プログラムのTech Acceleration Program(TAP)を提供。ソフト開発の知識を持たない人たちが、内製化に取り組むための支援プログラムと位置づけており、開発ナレッジの提供やプロトタイピング開発への伴走、データやAIサービスの活用支援も行なう。「すでに多くの企業がTAPを活用している」と述べた。さらに、TAPのバージョンアップとして、TAP Red Carpet Programを開始。社内への内製化体制の確立やカルチャー変革などを視野に入れた中長期のサポートブログラムと位置づけている。
また、内製支援パートナーによるサポートプログラムも用意しており、よりきめ細かなサポートを行なうほか、データ分析分野での内製化も支援。「データ活用のノウハウを持っていない企業に対しても、パートナーとの連携により支援を行なうことができる」とした。
30億のユーザーが使うGoogle Workspace ジェネレーティブAI機能が実装
3つめの「コラボレーション」においては、「リモート、オフィスに関わらず、人を中心とした働き方の在り方が議論されているなかで、組織の壁を越えたコラボレーションはイノベーションの創出にもつながると考えている。Google Workspaceは、世界30億人のユーザーが利用しており、有償顧客数は800万人に達している。これまでにないコラボレーションを実現できる環境を提供している」(平手氏)と語った。
Google Workspace上のあらゆる情報を集約するスマートキャンバスでは、Googleドキュメントのコメントの利用率を上回るほど活用されていることを紹介したほか、新たに発表したDuet AI for Google Workspaceでは、ジェネレーティブAIを活用して文書作成や画像の自動生成、ランダムなデータ整理、会議の議事録作成、プレゼンテーションの準備などを支援。Duet AI for AppSheetでは、チャットを通じて、作りたいアプリの概要をリクエストすると、AIが要望にあわせたアプリを提示し、市民開発を促進できるという。
グーグル・クラウド・ジャパン Google Workspace事業本部ソリューション営業部 営業部長の津谷由里氏は、「ともにアイデアを生み出し、創りあげ、育てようとする人びとの力になることがGoogle Workspaceのミッションである。今後、ジェネレーティブAIの機能は、すべてのGoogle Workspaceに実装される。AIとのコラボレーションが進む一方で、人とのつながりを意識した働き方にフォーカスすることも支援できる。Google Workspaceは、日本で最も人気が高い生産性プラットフォームのひとつである」とした。
教育分野におけるGIGAスクール構想においては、半数以上の自治体でGoogle Workspaceを利用しており、「将来の組織の戦力となるデジタルネイティブ世代は、Google Workspaceのユーザーである」と語った。