セールスフォース・ジャパンは3月29日、日本のビジネスリーダー1000人以上を対象とした調査「Untapped Data Research」の結果を発表した。
本調査では、ビジネスリーダーは、データ活用がビジネスにとって重要であると認識しているものの、大多数がより良い意思決定とビジネスの成果を得るためにその力を活用できていないことが明らかになったという。
企業はデータの潜在能力を引き出せていない
日本企業は、ビジネスリーダーの84%が、自社の意思決定においてデータが重要であると回答。55%が、ビジネス上の会話において、データが不確実性を減らし、より正確な意思決定を行なうのに役立つと回答した。
企業がデータ活用のメリットについて同意している一方で、利用実態とは明らかな乖離がある。例えば、大多数の企業は、重要なビジネス上の意思決定を行なうために、実際にはデータを利用していない。ビジネスリーダーの84%は、インフレなどの経済状況に合わせた価格設定を決定するためにデータを利用していない。また、新規市場参入時の戦略立案にデータを活用している企業は、わずか22%に過ぎないという。
また、データを活用して企業価値を高める機会も逸している。10人中およそ9人(88%)のビジネスリーダーが、組織のダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包括性)関連の方針について、データを活用しておらず、気候変動の目標策定の指針としてデータを活用しているビジネスリーダーはわずか4%だった。
不確実性の中で効率と信頼を生み出すデータ
データを正しく統合し活用すれば、顧客と従業員の双方に効率と信頼をもたらす可能性が広がると同社は指摘する。
ビジネスリーダーの半数以上(51%)がデータにより人々はビジネスに関連する重要な事項に集中できると考えており、61%はデータが意思決定の促進に役立つと考えている。また、半数以上(53%)が、データはビジネス上の会話において信頼を築くと考えており、およそ半数(46%)が、データはビジネス上の会話における個人的な意見やエゴの影響を最小化するのに役立つと考えている。
データ価値を実現するために、企業はデジタルスキルのギャップを解消する必要がある
日本のビジネスリーダーは、流入するデータ、その最適な運用方法に関する知識、そして今後の戦略的投資に向けたデータの活用方法について苦心しているという。
ビジネスリーダーのおよそ3分の1(31%)がデータに関する理解不足を指摘し、その原因を複雑なデータや不十分なアクセスとしている。また、ビジネスリーダーの4分の1以上(28%)が、データからインサイトを生み出す能力の欠如を指摘。およそ4分の1(23%)は、2026年までに2倍以上に増えると予想されるデータ量の対処に課題を抱えている。
これらの懸念に対処するため、およそ半数(48%)の企業が、従業員向けのデータスキル開発および研修への支出を継続または増額する予定であると回答している。