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LINE WORKS DAY 23で聞いた中小企業の経営者パネル

コミュニケーションの密度を上げ、働き手不足に立ち向かう2社の挑戦

2023年03月29日 10時30分更新

文● 指田昌夫 編集●MOVIEW 清水

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コミュニケーションの課題を持っていた2社が登壇

 2023年2月に都内で開催された「LINE WORKS DAY 23」で、企業経営者2名が登壇し、「経営者に聞く、成果の解像度を上げるチーム論」と題したパネルディスカッションを実施した。パネラーはネクスト代表取締役の田所大氏と、モルツウェルの専務取締役の野津昭子氏で、モデレーターをLINE WORKSアンバサダーの高橋朋恵氏が務めた。

 ネクストは、電気工事、電気通信工事の施工、管理を行なっている会社。モットーは、人々の記憶に残る仕事をして、顧客と自社自身を次世代につなぐことである。本社は東京で、仙台と名古屋に支社を構える。

 またモルツウェルは、島根県松江市に本社を置く、高齢者施設向けの調理済み食品を製造販売する会社である。介護施設を厨房から改善することを目的に、全国300の施設に、真空調理によって真空パックにした食事を届けている。人員不足や材料費の高騰に苦しむ施設を支援するために、2年前からソフトウェア開発も行なっている。

 モデレーターの高橋氏は最初に、「成果の解像度を上げる」という言葉の意味について説明した。「解像度を上げるとは、仕事を改善する取り組みの結果、ぼんやりしていた効果をはっきりわかるようにすること。それがわかれば、一つひとつ実感して、前に進むことができる。両社の成果を聞けば、イメージがつかめると思う」

LINE WORKSアンバサダー 高橋朋恵氏

 登壇した両社とも、LINE WORKSを導入したことで、業務改善の効果を確認している。このセッションでは、モルツウェルは「生産性向上」、ネクストは「若手の定着、採用の向上」というテーマを中心に、それぞれの導入経緯と成果を話した。

 まず、モルツウェルが抱えていた課題は、社員とのコミュニケーションだった。同社の社員数は140名で、18歳からパートの82歳まで、幅広い年齢の人が働く。また障がい者や外国人など、多様なメンバーが集まっており、社員の声をうまく拾い、素早くレスポンスすることが課題だった。

 さらに、社員は本社の製造工場をはじめ、取引先企業の厨房に常駐したり、在宅高齢者向けの7台の営業車両が稼働するなど、働く場所も分散していた。そのため、情報伝達にタイムラグが生じ、情報の伝達がうまくいかない場合もあった。

 コミュニケーションの改善にあたり、現場で起きている問題をどうやってタイムリーに収集していくのか。またその対策を、どうスムーズに伝えていくのかがポイントだった。

 同社ではパート社員がLINEを使っており、業務連絡にも一部使っていたが、全員が使っているわけではないことと、プライベートと業務の情報が混在することになるため、定着は難しかった。LINEのように使いやすく、かつ業務でも使えるツールを探していたところ、地元の商工会議所のセミナーでLINE WORKSがあることを知り、すぐに採用を決めた。

 高橋氏は「LINEは便利なので仕事でも使い始めて、その後で『これでいいのかな』と感じることがあると話す企業が多い。そういう企業にもLINE WORKSは支持されている」と話す。

モルツウェル専務取締役 野津昭子氏

技術を引き継ぐ若い社員が不可欠

 一方、ネクストの課題は、工事業界が昔から「3K」と言われるように、担い手不足が大きな問題だった。「現在の社員のレベルが高くても、それを引き継ぐ者がいなければ、技術が途絶えてしまう。そのため若手の採用、育成と定着にはこだわっている」と田所氏は言う。

 解決の糸口は、「若者は家の電話を取らない」という事実を知ったことだった。田所氏は年に2、3度、若手社員との食事会を設定している。その場で、入社間もない社員が、自分は家に電話がかかってきても取らないと話した。なぜかと聞くと、「用事があれば携帯にかかってくるから」と答えた。田所氏は正直ビックリしたが、会社の電話は出るのかと聞いてみると、入社3年目ぐらいまでの社員はみな、(もちろん仕事なので出るのだが、本音は)「出たくない」と言うのだ。いまどきの若者の常識を自分は知らないことを痛感した。

 次に、仕事でわからないことを先輩に直接聞けるかと聞いてみた。これもかなり厳しいようで、聞いていいタイミングをはかるのが難しいという。どういう方法なら聞けるのかというと、LINEなら不特定多数に聞くことができるのでとっつきやすいと答えた。

ネクスト代表取締役 田所大氏

 ただ、モルツウェルの場合と同様、LINEをそのまま使うと仕事とプライベートの境目がなくなる。そこですぐに、LINE WORKS(ワークスモバイルジャパン)に連絡をとり、導入を決めた。

 両社とも、LINE WORKSを知ってから導入を検討したのでなく、仕事のコミュニケーションでLINEのように使えるツールがあればいいと思っていて、LINE WORKSを知ったという流れは共通である。

「若手社員にとって、電話のハードルは年々高くなっている。また、社内の空気を読むのは難しい。適切なツールを使わなければ、コミュニケーションが停滞することになる」と高橋氏は指摘する。

 状況は違うが、両社に共通する課題は社員間のコミュニケーションにある。その解決策として選んだのが、慣れ親しんだLINEと共通のインターフェースを持つLINE WORKSだった。

LINE WORKSでコミュニケーションの密度を上げる

 次に、両社はそれぞれ、LINE WORKSをどのように使っているのか、どこにメリットがあるのかを説明した。

 ネクストでは、LINE WORKSの掲示板機能を活用している。以前から、田所氏は社員に向けて月に1回メッセージを配信していたが、それが読まれているのかどうかが全くわからなかった。掲示板を使うことで、どれだけ読まれているかがリアルタイムにわかるようになった。

 また、社員が工事の安全表彰を受けたときなど、よい行動があれば掲示板に書き込んでシェアしている。「当社には『サンクスカード』という制度がある。これは、社員同士が感謝を伝えるために送り合うものだが、当事者以外の社員からは、経緯がわからないという声が挙がっていた。そこでLINE WORKSの掲示板の中に、サンクスカードが贈られた理由を書き込むことにした」(田所氏)

 さらに、電気工事士をはじめ、業務に必要な資格の取得(試験に合格)についての情報も掲示板に投稿し、「ほめることをシェアする」運用を開始した。同社のLINE WORKSは社内だけでなく、協力会社ともつないでおり、社外とのコミュニケーションにも一役買っている。

ネクストでは、社員同士で感謝を伝えるための「サンクスカード」制度は社外ともつなげている

 他方、モルツウェルでは、LINE WORKSのアンケート機能を活用している。献立メニューの検討時に、社内にアンケートを配信したり、社内セミナーの日程調整に利用している。

 また、製造現場と品質管理室の間の連絡は、従来は製造現場の社員が白衣を脱いで出向く必要があった。LINE WORKSを使うことで、現場を離れずに写真付きで詳しく伝えることができるようになった。「発達障害のため直接会話がしづらい社員もいるが、LINE WORKSを使うことで正確なコミュニケーションが可能になっている。また、コロナの濃厚接触者で出社できなくなったときも、スムーズに連絡が取れた」(野津氏)

 両社が共通して感じているLINE WORKSのメリットは、日常使っているLINEの延長線上で、仕事に使えるツールだということだ。導入時に社員の警戒感がなく、操作を教える手間が省けることも助かるという。

LINE WORKSは効果をクリアに実感することができるツール

 高橋氏は、「両社の取り組みの成果を聞いて、情報の密度が上がると、受けた側の理解が深まることがわかる。また、情報の感度が上がると、次に何をしたらいいかがクリアになり、次にとるべき行動が明確になる。結果として、成果の解像度が上がると、働き方の進化につながる」と語った。

成果の解像度が上がると働き方の進化につながる

 最後に両社から、経営者の視点で社内コミュニケーションについてのアドバイスがあった。

 田所氏は、「当社は高卒の新卒採用に力を入れている。学校訪問すると、必ずLINE WORKSを使っていることを話す。なぜかというと、今、学校の先生と生徒との連絡手段にLINEを使っているところが多い。そのため、就職してもLINE WORKSが使えることはポジティブな材料になるからだ。入社後も、コミュニケーションのプラットフォームとしてLINE WORKSが活用されていて、社員の定着にもつながっており、若返りが着実に進んでいる」と話した。

 また野津氏は、「島根県の高齢化率は35%。これは2040年に予想される日本全体の高齢化率と同じだ。つまり島根は日本の高齢化を先取りしている。当社同様、地方の企業は人材不足が深刻だと思う。しかし、高齢者、障がい者、外国人など、みなが同じように働ける環境を用意すれば、働くことができる人は身近にたくさんいる。LINE WORKSを使い始めて、それに気づいた。これからも、多様な人が活躍できる職場に向け改善を進めたい」と語った。

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