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CESはどこに向かうのか? FutuRocket美谷広海氏の「CES 2023」レポート前編――モビリティ関連やスタートアップにフォーカス
展示会場では見られなかった話題のロレアルの眉毛プリンター
フランスの化粧品メーカーであるロレアルは、額にあててなぞるだけで眉毛をプリントすることができるBrow Magicという製品でCES Innovation Awardを受賞しており、CESで登場したユニークな製品として多くのメディアで紹介されている。
ロレアルはCESの前夜祭的に開催されるメディア向けイベントであるCES Unveiledで展示をしていたものの、CESの会場自体での展示はなく、ベネチアンホテルの2部屋をおそらく商談向けに、そして一部メディア向けとして確保をしていた。
ただ、このように展示会場ではなく、周辺のクローズドな場でのみ商談が行われるようになっていくと、展示会にはどのような会社が展示を続けていくのか、どのような人が訪れ続けるのか、が問われていくことになるだろう。
コロナ禍からかなり人が戻ってきたように感じたとはいえ、バイヤー以外にも筆者が減少しているように感じたのがメディア関係者だ。筆者は前職で4年、起業してからも4年、出展社としてCESに参加している。今年もCES Unveiledでは知人のスタートアップのスタッフとして出展側として参加し、9回目のCES参加となったが、2016-2018年頃をピークに、以前よりもテレビ局など大手メディアの参加が減っており、コロナ禍開けでも戻ってきていないように感じている。
テレビ局に関していえば、テレビを取り巻く環境が大きく変化していることが影響しているのかもしれない。コロナ禍により出張取材そのものが減少して、それがまだ以前のように戻っていないということもあるだろう。しかし仮説として、NetflixやPrime Video、YouTubeなどの視聴の増加により、世界中で以前のように多くの人がテレビのニュース番組を情報収集や娯楽の手段として視聴しなくなり、最近の広告不況などの影響もあり、費用と人数をかけて足を運んでの取材を行わなくなってきているのではないかとも考えている。
またわかりやすく目に見える変化として、以前はCES会場内には、TechCrunchによるスタートアップのプレゼンイベントのためのブースや、CNETによる取材ブースなどが設けられていたが、今年はメディア企業によるブースはみられず、CTAによる取材ブースが設置されているのを確認できただけだった。これも、企業による広告出稿が減っていたり、広告費がメディアへの出稿からGoogleやFacebookなどの広告プラットフォームを持つ企業や、インフルエンサーへとシフトしている影響が少なからずあるのかもしれない。