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イタルデザインのEVデロリアンも ソニー、ホンダ、BMWがCESで魅せたモビリティ

CESはどこに向かうのか? FutuRocket美谷広海氏の「CES 2023」レポート前編――モビリティ関連やスタートアップにフォーカス

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 2023年1月5日から8日まで、アメリカのネバダ州ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2023」。2022年まではコロナ禍の影響を受けてきたが、今年は来場者もかなり回復して盛り上がりを見せていた。

CESの会場のひとつであるLVCCの中央ホール。CES開催前日、メディア向けのイベント日に撮影をしたため、この時点ではそれほど来客はいない

もっとデザインを攻めてほしかった?
ソニー・ホンダモビリティのEVプロトタイプ

 ここ数年のCESのトレンドとして自動車関連の企業やVR・AR関連など家電関連の企業ではなく、新たにCESに出展するようになった企業の展示が話題となっているが、逆に長年家電を中心に展示してきたソニーの展示で話題を集めていたのがAscii.jpのCESレポートでも紹介されたソニー・ホンダモビリティから発表された新ブランド「AFEELA(アフィーラ)」のプロトタイプだ。

「ソニー・ホンダモビリティの第1弾EVは「AFEELA(アフィーラ)」クアルコムも協業」(関連記事)
https://ascii.jp/elem/000/004/119/4119665/

左が今年のCES登場の「AFEELA」のプロトタイプ。右が昨年のCESのVision Sのプロトタイプ

 リアルとバーチャルとの融合というコンセプトとメディア向けのプレゼン内容は興味深いものであったが、せっかくのコンセプトカーなのだからもっと攻めたデザインにしてほしかったところだ。

 ホンダとの協業ということもあり、限られたスケジュールの中での調整が難しいということもあったのだろうが、シンプルな「AFEELA」のデザインは無個性であるがずいぶん前の時代の、90年代、あるいは2000年代に思い描かれたような未来のクルマのイメージようにも感じる。ソニーとしてはセンサーやAI関連のソフトウェアなどを中心に取り組んでいくということかもしれないが、プロダクトデザインに定評のあるソニーだからこそ尖ったデザインのクルマが見たかったし、そうした期待値を持っていた人も多いだろう。

 また車体フロント部分の「メディアバー」という名称の領域の照明が変化することにより、周囲とのコミュニケーションをとるという機能については、多くのコンセプトカーによって提示されてきたものでもあり、いまさら目新しさを感じないところでもある。

これぞ未来!? イタルデザインのEVデロリアン

イタルデザインのデロリアンのコンセプトモデル

 ソニーとは対照的に、デザインで圧倒的な未来感を醸し出していたのがイタルデザインのブースで展示されていたデロリアンのコンセプトモックだ。

 2022年8月に発表されたEVのデロリアン「アルファ5」を設計したイタルデザインは、そのデザインをさらに推し進めた実物大コンセプトカーを展示していた。流線型デザインで、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で有名な直線によるデザインが主体のデロリアンとはかなり形状が異なるしガル・ウィングもないが、全体的なシルエットがそうさせるのか、不思議とデロリアンらしさがある。前方の突起した照明部分のパーツは近づいてみてみると単にアクリル板を切っただけのものであることがすぐに分かってしまうのだけれども。

インスタ映え間違いなし!? BMWの色が変化する自動車

 同様に多くの来場者の注目が集めていたのが、外装をカラー電子ペーパーで覆ったBMWのコンセプトカー。2022年はモノクロの電子ペーパーで車体の模様が変化する車体を展示していたが、それをカラーでさらに発展させた格好だ。

昨年のモノクロからフルカラーにバージョンアップしたBMWのコンセプトカー

 もっとも、こうしたメディア受けする、いわばインスタ映えする要素よりも、「AFEELA」のような製品そのもののコンセプトのほうがより大事だという意見もあるだろう。

 BMWの展示もこうした目を引くもの以外に、最新車両をテストドライブできるようになってもいたが、CESは来客の目を引くPRのための場としての性質が強くなってきていると感じる。より短期的なビジネスとしての実利を求める商談会として残っていくのか、何を軸とした展示会としてCESが発展していくのかということにおいて、揺れ動いているように思う。

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