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サイボウズが2022年度の決算・事業説明会を開催

kintoneの売上髙がいよいよ100億円超え エコシステムに強み

2023年03月01日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

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 サイボウズは、2022年度連結業績を発表。kintoneの売上高が100億円を突破し、契約者数が2万7500社、そのうち非IT部門での導入が93%を占めていることなどを明らかにした。kintoneの売上高を公開するのは今回が初めてであり、ノーコードツール、企業や自治体の現場に浸透していることを浮き彫りにする内容となった。

サイボウズの青野慶久社長

単一の製品で売上高100億円を突破

 2022年12月期決算・事業説明会に登壇したサイボウズの青野社長によると、kintoneの売上高は、前年比32.4%増の104億1400万円。「日本のSaaS企業において、ひとつの製品で100億円の事業規模に達しているものは少ない。強い製品に育ってきた」と、kintoneの業績に自信をみせる。

kintoneの売上高は100億円を突破

 kintoneは毎月550社が新たに導入。東証プライム企業の3社に1社がkintoneを採用しているという。「東証プライム企業の採用は前年度には4社に1社だったが、それが大きく進展している。全社で使っている企業は少なく、部門導入が多いが、今後、育てていける土壌があるともいえる。幅広い業種に採用されており、現場に支持される製品になっている」と述べた。

 また、「アナログの業務をデジタルに置き替えることができるアプリケーションをノーコードで開発できるのがkintoneの特徴だが、さらに大きな特徴は拡張性に優れている点である。プラグインにより、サードパーティーから提供される機能を拡張し、外部サービスと接続した連携活用が可能になる。自分たちの手で、簡単に、やりたいことがたくさんできるツールである。さらに、現場の人がアプリケーションを開発するためのリスキリングも支援し、パートナーを通じた教育支援、内製化支援、構築コンサルティングも提供している。ユーザー同士が情報交換を行なうユーザーコミュニティの活動も活性化している」(青野氏)などとした。

2022年はパートナー戦略を加速 地銀や人材会社とのタッグも

 パートナー向けには、オフィシャルパートナー制度や認定制度を実施。コミュニティでは、オンラインで情報共有を行う「キンコミ」、約20社の大手企業が参加する「kintone Enterprise Circle」、自治体向けの「ガブキン」、事例を共有する「kintone hive」、kintoneを学ぶための勉強会である「kintone Café」などがある。

 青野氏は、「kintoneは、単一の製品を指すのではない。拡張ツール、リスキリング支援、パートナー制度、コミュニティを含めたものがkintoneとなる。こうした環境を用意しているからこそ、自分たちの手でDXができるようになる。そこが他社のノーコードツールとは異なる点である」と強調した。

kintoneのエコシステム

 2022年7月には、大手企業などを対象にした「kintoneガバナンスガイドライン」を無料で公開。「便利であるために現場が率先して使う製品は、IT部門による管理が及ばない状況が生まれやすい。だが、規制をかけすぎると現場のノウハウを反映したアプリが開発されなくなってしまう。バランス感が大切であり、それを実現するためのガイドラインを策定した」と述べた。

 また、kintoneにおけるパートナー戦略を加速。「システムイングレータに留まらず、地方銀行もパートナーとしてサイボウズ製品を扱っている。地方の中小企業におけるデジタル化を促進するためには地方銀行と組むのがいいと考えた。すでに全国17行と協業しており、中小企業の業務を理解している銀行員がkintoneを活用してICTコンサルティングを行い、これにより約400社での採用実績が生まれている」という。

 サイボウズでは、銀行員に対するリスキリングを行なうために、「kintone Training CAMP」を開始。地銀によるkintoneのコンサルティング提案スキル向上や、銀行ごとの提案手法、提案スキルを共有するためのコミュニティも運営しているという。

 さらに、パソナとの協業により、派遣登録した社員にkintoneスキルを身のつけてもらうための「kintone認定資格講座」を開講。育成した登録社員を、DX人材として派遣しており、2000人の育成を目指すという。

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