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サイボウズが2022年度の決算・事業説明会を開催

kintoneの売上髙がいよいよ100億円超え エコシステムに強み

2023年03月01日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

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拡大する自治体への導入実績 DX人材を養成する意義も

 kintoneに関するユーザー事例についても紹介した。

 アルペンでは、kintoneをインフラにして、約400店舗の業務システムを効率的に運用するための基盤を構築。購買履歴や接客記録などの顧客カルテシステム、ラケットなどの加工管理システム、アウトドア用品の中古買取システムのほか、受注管理システム、アルバイト採用システムなど、65個の業務アプリをkintoneで開発しているという。「いずれも2週間から2カ月の短期間で構築しており、しかも店舗で勤務した人がIT部門のなかでアプリを開発。現場主導型アプリ開発により、DXを推進している」という。

 また、自治体へのkintoneの導入実績が約190件になったことを示しながら、「自治体はクラウド導入には障壁があったが、コロナ禍を経て、自分たちの手で、システムを作らなくてはいけないという動きが加速し、kintoneへの関心が高まっている」とする。サイボウズでは、自治体を対象にした「kintone 1年間無料キャンペーン」を実施しており、これまでに約50自治体が参加。「全庁規模で導入する場合には、1年間無料で利用したあとに、ライセンス費用を最大60%オフで利用できるようにする。サイボウズにとっては大きな収益にはならないが、日本発の企業として、日本の自治体のDX化を支援することにコミットしたい」と語った。

kintoneによる自治体DXの促進

 中央省庁でもkintoneの導入実績が生まれているほか、2023年4月からは、省庁職員の出向を受け入れ、省庁でのkintone導入拡大に向けた体制を強化。サイボウズでの学びを生かして業務DXを実現するとともに、公共分野でDXを推進する人材を増やすという社会的意義にもつなげる姿勢を示した。

 青野社長は、「kintoneの採用によって、自分たちでDXができるようになり、変化に強い組織に生まれ変わることができる。現場の人たちが主体性を持って変化していける組織になる。アナログな仕事をデジタル化したというだけの話に留まらず、アジャイルに動き、失われた30年を取り戻し、変化に強い組織に進化させていくことが、サイボウズが目指す顧客バリューになる」と述べた。

 kintoneは、2025年度までに約240億円前後の売上規模を想定しており、「簡単な数字ではないが、不可能な数字ではない。そのうち、海外売上比率は10~15%を計画しているが、20%近くを目指したい」(サイボウズ 営業本部・栗山圭太本部長)としている。

 一方、kintone以外の製品別売上高についても公表した。

 中小企業向けグループウェアであるサイボウズOfficeの売上高は前年比5.3%増の50億8800万円となり、導入企業数は7万5000社。中堅大手企業向けのGaroonの売上高は前年比13.1%増の45億6200万円、6800社が導入。メール共有システムのMailwiseは売上高が前年比16.2%増の6億7800万円となり、1万3000社が導入。「クラウドの売上高は前年比23.8%増の186億4900万円となり、サイボウズ全体の84.5%を占めている。すべての製品が成長しており、すべての製品でクラウドが成長している。kintoneとGaroonを併用するユーザーは約47%、kintoneとMailwiseを併用するユーザーは約25%になっている」としている。

製品別の連続売上推移

 セキュリティの強化にも余念がない。サイボウズでは、日本市場向けのクラウドサービスにおいては、独自にデータセンターを借りて、自ら運用し、強固なインフラで、高いサービスレベルを提供している語り、さらに、セキュリティインシデント対応専門チームの設置や、第三者機関によるセキュリティ監査、外部機関との協力体制を敷いて、セキュリティを保護。ISMAPへの登録、ISMSの認証を取得していることも示した。

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