スタートアップ4社が独自技術で取り組むカーボンニュートラル社会の実現
オープンイノベーションピッチ in Central Japan
京都大学発の新素材が生む究極のパワー半導体
株式会社FLOSFIA
株式会社FLOSFIAは京都大学発のスタートアップで、同大学の藤田教授が生み出したミストCVD法を活用して、画期的な新材料「酸化ガリウム」を用いたパワー半導体の開発を行っている。
パワー半導体は発電、送電、電気機器(電力の利用)など電力変換がおこなわれるあらゆる場面で使用される半導体で、省エネのキーデバイスといわれている。電気自動車やロボットなどで非常に大きなマーケットが生まれることが想定されており、世界中で激烈な開発競争が繰り広げられている。
酸化ガリウム半導体は現在主流のシリコンを用いた半導体に比べて、圧倒的な材料物性を持つ。実際に当社でも、電流を流すときの損失が低い、ON/OFFのスイッチングが速い、高温下でも動作する、などの動作実証に成功しており、高性能なパワー半導体を生み出すことが期待されている。
知的財産の獲得にも注力しており、特許出願総数は600件以上、権利化は200件を超えている。過去に新しい材料による半導体を開発したメーカーはいずれも大きく成長しており、FLOSFIAもそれに続く存在を目指して製品開発を進めている。
排熱から回収した電力でエネルギーの地産地消を
株式会社Eサーモジェンテック
石油や天然ガスなど一次エネルギーの60%以上が利用されずに熱として環境中に排出されている。それを電力として効率よく回収する独自のフレキシブル熱電発電モジュール「フレキーナ」と、それを搭載した自立電源の開発・実用化を行っているのが株式会社Eサーモジェンテックだ。
「フレキーナ」は極薄のフレキシブル基板上に熱電素子を実装したモジュールで、従来のセラミック基板タイプの熱電発電モジュールと異なり、高い柔軟性を持っているため配管などに密着して設置することができる。これにより非常に高い熱回収効率を実現することに成功した。
「フレキーナ」を搭載したIoT用、省エネ用自立電源の開発、実用化事例を紹介した。 まず、IoT 化においては、従来の無線センサは電池駆動のため、頻繁な電池交換が必要で、本格導入するには、それが大きな障害となり、普及を阻んでいた。 そこで、Eサーモは、高いコスト性能比のIoT用自立電源を開発、実用化した。例えば、東京ガスとの共同開発を通じ実用化し、現在サンプル販売中の排熱管巻き付け型のIoT用自立電源は、従来製品に比べ桁違いに大きな出力(10ミリワット、180ミリワット)が得られる。これにより、温度センサや振動センサはもとより、圧力センサや流量計などの大消費電力のセンサまで電力を賄うに給電することができるようになった。 これにより、電池交換することなく、高頻度サンプリングの予兆診断などができるようになることから、IoTの普及に大きく寄与することが期待されている。
省エネ用においても、水蒸気や熱水、あるいは排気熱など多様な廃熱源から電力を回収する、高いコスト性能比を特長とする複数タイプの自立電源を開発中で、現在、多くの企業から問い合わせが来ている。 環境中に莫大な量が放出されている低温廃熱から効率よく電力回収することができるEサーモの自立電源は、環境にも人にも優しいまちづくりに貢献してくれるかもしれない。