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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第70回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 2月11日~2月17日

データ管理やDevSecOpsの最優先テーマ、ロスジェネは独立志向が強い? ほか

2023年02月20日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2023年2月11日~2月17日)は、ローコード/ノーコード開発市場、データ管理への投資動向、DevOpsSecのトレンド、「無駄な時間」が多い日本の営業の実態、氷河期世代(ロスジェネ)の独立意識についてのデータを紹介します。

■[ローコード/ノーコード][開発]2021年のローコード/ノーコード市場の売上は611億6000万円、前年度比18%増(アイ・ティ・アール、2月14日)
・2021年度のローコード/ノーコード開発市場の売上は前年度比18%増の611億6000万円に
・2021年~26年のCAGRは16%、2026年度は1300億円越えを予想
・DXと業務改革が追い風、クラウドサービスが特に好調

 国内のローコード/ノーコード開発市場は2021年度、前年度から18.6%増加し、611億6000万円となった。成長要因はDX、業務改革の推進。中でも、クラウド化が進み、ノーコード/ローコードツールもクラウドサービスの需要が高いという。パッケージについても、基幹システム周辺のアプリ開発で需要が高いことから一定の導入が見込まれるとも。2021年度は、市場を構成するベンダーの8割以上が2桁以上で成長した。2021年~26年は年平均16.8%で成長し、2026年には2021年度の2倍以上の1300億円を超える規模になると予想している。

ローコード/ノーコード開発市場規模推移および予測。2026年は2021年度の2倍以上の市場規模となる予想(出典:ITR)

※訂正とおわび:初出時、上掲のグラフが他のグラフに差し替わっておりました。現在は修正済みです。おわびのうえ訂正いたします。(2023年2月20日 11:50 編集部)

■[データ]67%の日本企業がデータ管理への投資を拡大、最大の課題は一元管理(インフォマティカ、2月16日)
・67%が2023年にデータ管理への投資を拡大
・データ戦略の最優先課題、「顧客データの一元管理」(62%)
・62%の企業がクラウドへの投資増加予定

 日本を含む11カ国で、2022年11月に実施した企業のデータ戦略動向のグローバル調査「CDO Insights 2023: How to Empower Data-Led Business Resiliency(2023年度CDO調査: データ主導型のビジネス強化について)」より。データ管理への投資を拡大するという企業は日本67%、世界全体68%にのぼった。1000以上のデータソースを扱っている企業は日本86%、世界は55%。データ戦略の最優先事項として、62%の日本企業が顧客や他事業体に関するデータの包括的かつ一元的な管理、57%が効果的なデータ共有・民主化・活用の実現を挙げるなど、ITインフラが複雑化する中でデータの一元管理が課題となっていることが浮き彫りになった。

世界では2023年のデータ戦略の優先事項として「データとデータ処理におけるガバナンスの強化」となった(出典:インフォマティカ)

■[開発]DevSecOps分野の2023年優先課題は「サプライチェーン保護」「AI/機械学習の活用」など(GitLab、2月14日)
・DevSecOpsの2023年の最優先課題は「サプライチェーン保護」
・セキュリティは組織全体の責任として”シフトレフト”が進む
・51%がコードチェックにおいてAI/機械学習を活用

 同社の「2022 Global DevSecOps Survey」をもとに、2023年のDevSecOpsテクノロジートレンドとして「サプライチェーンの保護が最優先課題」「セキュリティがDevOps教育に入る」「AI/機械学習がソフトウェア開発ライフサイクル全体で活用」など5つの予測を発表。リモート開発の普及とともにソフトウェアサプライチェーンの重要性が高まると予想、ゼロトラストの実践も進むとしている。AIと機械学習では、62%がModelOpsを実践し、51%がコードをチェックに利用しているという。

■[営業]日本の営業の「無駄な時間」は約1兆円規模、無駄な業務はトップは「社内会議」(HubSpot Japan、2月15日)
・日本の営業活動における無駄な時間は約1兆円(9802億円)相当、1年前から1500億円分の増加
・営業で無駄な業務は「社内会議」(51%)と「社内報告業務」(39%)
・テレワークを導入する営業組織は56%、CRM導入は36%

 日本の営業の実態を調べる同社の定期調査「日本の営業に関する意識・実態調査2023」(4回目)より。営業担当者は「働く時間のうち22.37%を無駄だと感じる」ことがわかった。金額に換算すると年間9802億円、2021年12月調査時の8294億円から約1500億円増加した。業務の中で無駄と思うものを尋ねたところ、1位「社内会議」(51.7%)、2位「社内報告業務」(39.5%)と社内のコミュニケーションや情報共有に関するものが上位にあがった。

日本の営業の無駄を計算すると約9802億円、昨年より1500億円分増加した(出典:HubSpot)

営業組織のデジタル化施策、「テレワーク導入」は52%、「CRM導入」は36%など(出典:HubSpot)

■[働き方]氷河期世代は変化に強い? 男性の6割が独立意欲、女性の4割が副業意欲あり(アントレ、2月14日)
・就職氷河期の正社員率、男性は44%、女性は46%
・男性は個人事業主・フリーランス・自由業の割合が23%、全世代中最多
・男性は独立意向が63%と高く、女性は38%が副業に意欲

 アントレが独立・開業志向のある会員のうち、就職氷河期世代(いわゆるロスジェネ)とされる40代(1971年~1980年生まれ)を対象とした実態調査。この世代は新卒時の女性の正社員率が53.8%で、他の世代の女性より28.3ポイント、同世代男性より18.5ポイントそれぞれ低いなど「不遇さが顕著」だが、現在は正社員率が46.2%を占め、他世代女性を逆転。男性では現職の個人事業主・フリーランス・自由業の割合が23.4%と全世代中最多となり、「雇われない生き方」を実現する姿勢が顕著のようだ。全体として、この世代は新卒で正社員一択だった日本において固定概念を払拭し、働き方の選択肢を広げており、コロナ禍の不安定な時代でも働き方の変化を恐れない人材に成長している、とまとめている。

就職氷河期世代の就労実態の変化(出典:アントレ)

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