Tensixコア数を減らしても性能が向上したWormhole
WormholeはTensixコアそのものにも手が入り、よりスループットが向上した。この結果、Tensixコアの数は減ったにも関わらず性能そのものはむしろ向上している。そして上下には100GbEのMAC×16が搭載されている。
この16ポートのイーサネットは、もちろん外部に接続することも可能だが、基本はWormhole同士の接続に利用する。先にも書いたが、Wormholeはチップ1つでAI学習を実施するのではなく、大量のWormholeチップで協調動作を行なってAI学習を行なう方向性であり、その際のチップ間インターコネクトに100Gイーサネットを使うわけだ。
これに加えて、DRAMも上で書いたようにGDDR6 16Gbps 16Gbit品を使うことを前提に構成されており、1つのWormholeあたり384GB/秒の帯域と12GBの容量を利用可能となっている。
また外部I/FとしてPCIe Gen 4 x16を持つほか、4コアプロセッサーが制御用に搭載されている。
この制御プロセッサーはなにをしているのか? という話だが、ここにもあるように個々のTensixコアの動作制御やDVFS(Dynamic Voltage Frequency Scaling:要するにインテルのSpeedStepと同じ技術だ)などを行なう。
Wormholeの場合、ダイに6ヵ所の温度センサーと19ヵ所のプロセスセンサーが配されており、これでダイの温度や電流/動作周波数などを常に監視しており、これとワークロードをベースにDVFSを制御する。
このDVFSの制御も機械学習になっているそうで、この制御はARCベースのクワッドコアCPU+専用回路で実装されている。こうなると、ARCコアでLinuxが動く必要があるのかやや疑問であり、ひょっとすると当初はLinuxベースを想定していたはずだが、実装は異なるかもしれない。
この連載の記事
-
第800回
PC
プロセッサーから直接イーサネット信号を出せるBroadcomのCPO Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第799回
PC
世界最速に躍り出たスパコンEl Capitanはどうやって性能を改善したのか? 周波数は変えずにあるものを落とす -
第798回
PC
日本が開発したAIプロセッサーMN-Core 2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第797回
PC
わずか2年で完成させた韓国FuriosaAIのAIアクセラレーターRNGD Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第796回
PC
Metaが自社開発したAI推論用アクセラレーターMTIA v2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第795回
デジタル
AI性能を引き上げるInstinct MI325XとPensando Salina 400/Pollara 400がサーバーにインパクトをもたらす AMD CPUロードマップ -
第794回
デジタル
第5世代EPYCはMRDIMMをサポートしている? AMD CPUロードマップ -
第793回
PC
5nmの限界に早くもたどり着いてしまったWSE-3 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第792回
PC
大型言語モデルに全振りしたSambaNovaのAIプロセッサーSC40L Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第791回
PC
妙に性能のバランスが悪いマイクロソフトのAI特化型チップMaia 100 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第790回
PC
AI推論用アクセラレーターを搭載するIBMのTelum II Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU - この連載の一覧へ