最新パーツ性能チェック 第401回
第13世代Core“K無し”Core i5~i3の実力を検証
Core i5にEコア革命!Core i5-13500/13400&Core i3-13100レビュー
2023年01月24日 10時00分更新
ゲームでは劇的にCPUパワーが影響する
ここからは実ゲームでの検証となる。前述の通りGPUはGeForce RTX 3080なので、廉価版CPUにはあまり釣り合わないGPUだが、CPUパワーの違いが高性能GPUの性能に対してどこまで影響を及ぼすか見てみよう。
ここでの検証はどのゲームも解像度はすべてフルHDのみ、画質設定はプリセットの一番下の設定とした。ゲーム内ベンチマーク機能の有無に関係なく、フレームレートは「FrameView」で計測している。
最初に試すのは「Overwatch 2」だ。画質“低”、FSR 1はオフとした。マップ“Eichenwalde”におけるBotマッチを観戦中のフレームレートを計測した。
ここまでRaptor Lake-Sの強みを今ひとつ生かし切れていなかったCore i5-13600Kが、ここでは他のCPUを完全に引き離している。同じGPUを使ってもCore i5-13500は13600Kの80%程度のフレームレートしか出せていないのは、Core i5-13600Kのアーキテクチャーやクロックの差に加え、メモリークロックの差も影響していると考えられる。
Core i5-13500より下ではCPUパワーとフレームレートが連動している。Core i5-13500ではMTP無制限でもMTP制限時でもフレームレートはほぼ変化しないが、Core i5-13400より下のCPUではMTPを制限した時のフレームレートが大きく下がる。Core i5-13400と12400の比較では13400のほうがEコアが増えているぶん平均フレームレートが18fps増えているが、Core i3-13100と12100はクロックしか変わっていないため平均フレームレートにほとんど差が出ていない。
ちなみに、Core i5-13500がMTPを絞ってもフレームレートが落ちない点については、TDP 65W版Ryzenレビュー時でも確認されている(この時はGPUが異なる)。
「F1 22」では画質“超低”、異方性フィルタリングは16x、アンチエイリアスは“TAA+FidelityFX”に設定。ゲーム内ベンチマーク(条件は“モナコ”+“ウエット”)再生中のフレームレートを計測した。
ここでもCore i5-13600Kが群を抜いてフレームレートが高く、Core i5-13500〜12400までがほぼフラット。ただし、Core i5-12400はMTPに制限をかけるとフレームレートが下がる。Eコアを持たないCore i5-12400ではMTPを制限するとPコアの処理性能が下がるに従ってゲームの処理も遅くなるが、Core i5-13400/13500ではパワー効率に優れるEコアがバッファーとなって働くためフレームレートに影響が出なかったのではと推察している。
Eコアを持たないCore i3-13100/12100にMTP制限をかけるとフレームレートが下がっている点も、EコアがMTP制限下のパフォーマンスを補完している説を裏付けている。
「Cyberpunk 2077」では画質“低”、FSR 1は無効に設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
このゲームはCPU負荷が高いため、MTP設定がフレームレートに多大な影響を及ぼす。MTP制限下ではフレームレートが低下するが、Core i9-13900/Core i7-13700検証時ほどの落ち込みはない。Overwatch 2やF1 22とはCPUの使われ方が異なるようだ。
「Forza Horizon 5」では画質“最低”、MSAAはx2に設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
MTPを制限してもしなくても、フレームレートにほとんど影響が出ないが、これはCore i9-13900/Core i7-13700検証時とは対照的だ。MTPを無制限に設定するといっても、上位のCore i9やi7とは電力の使われ方が異なるのだ。
ここまで使用してきた4本のゲームベンチ中に、どの程度CPUが電力を使ったかをCPU Package Powerの平均値を使って比較する。
総じてCore i5-13600Kの消費電力が高いが、高フレームレートを維持するためにはそのぶんCPUもゲームの処理を高速で回す必要があるので高くて当然。Core i5-13500以下のCPUは13600Kよりも格段に低い消費電力で動いているが、同時にフレームレートも出ていない。
そこで各ゲームの平均フレームレートをベンチマーク中のCPU Package Powerで割り10倍したもの、即ちCPU Package Power 10Wあたりのフレームレートもチェックしておこう。
前回のCore i9-13900/Core i7-13700の検証ではMTPを絞った時のワットパフォーマンスはMTP無制限時よりもワットパフォーマンスが突出して高くなる結果が得られたが、今回の廉価版CPUでは特に突出するイメージはない。むしろ今回の検証環境では、MTP無制限時のほうがワットパフォーマンスが高い場合もある。
電力を可能な限り消費してパワーを引き出すCore i9/i7と異なり、Core i5のK無しやCore i3は、空冷クーラーでも運用できるようチューニングされているという印象を受けた。
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