このページの本文へ

最新パーツ性能チェック 第401回

第13世代Core“K無し”Core i5~i3の実力を検証

Core i5にEコア革命!Core i5-13500/13400&Core i3-13100レビュー

2023年01月24日 10時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

新旧Core i5&i3で性能比較

 今回入手したCore i5-13500および13400、さらにCore i3-13100の性能を見るために、前世代のCore i5-12400およびCore i3-12100と対決させる。さらに、K付きで一番下のCore i5-13600Kも比較対象に加えているので、前回の記事と合わせて見れば第13世代CoreK無しモデルの全体像が把握できるだろう。この検証は前回の記事の検証と同一時期(2022年末〜23年始)のものであるため、BIOS等の影響は考慮せずに前回の結果と比較することができる。

 検証環境は以下の通りである。Secure Bootやコア分離(VBS)、HDRといった機能はすべて有効化した状態で検証している。

検証環境
CPU インテル「Core i5-13600K」
(14コア/20スレッド、最大5.1GHz)
インテル「Core i5-13500」
(14コア/16スレッド、最大5GHz)、
インテル「Core i5-13400」
(10コア/16スレッド、最大4.6GHz)、
インテル「Core i5-12400」
(6コア/12スレッド、最大4.4GHz)、
インテル「Core i3-13100」
(4コア/8スレッド、最大4.5GHz)、
インテル「Core i3-12100」
(4コア/8スレッド、最大4.3GHz)
CPUクーラー ASUS「ROG RYUJIN II 360」
(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASUS「ROG MAXIMUS Z790 HERO」
(インテルZ790、BIOS 0703)
メモリー G.Skill「F5-6000J3636F16GX2-TZ5NR」
(16GB×2、DDR5-5600/4800動作)
ビデオカード NVIDIA「GeForce RTX 3080 Founders Edition」
ストレージ Corsair「CSSD-F1000GBMP600」
(1TB M.2 SSD、PCIe 4.0、システムドライブ)、
Silicon Power「SP002TBP34A80M28」
(2TB M.2 SSD、PCIe 3.0、ゲーム用ドライブ)
電源ユニット Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」(1000W、80PLUS Platinum)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」(22H2)

 そして前回と同様に、K無しモデルについてはMTP無制限で運用する設定と、MTPを定格に絞って運用する設定の2通りでテストした。以降のグラフにおいて「(MTP ○○W)」と記してあるのは、MTPを定格に絞った場合の性能となる。Core i9-13900やCore i7-13700はMTPを絞った時のパフォーマンス低下が激しかったが、廉価版CPUではどうなのだろうか?

K無しモデル検証では、マザーボードのBIOS設定にある「ASUS Multicore Enhancement」を“Auto”設定と“Disabled”の2通りで計測した。AutoならMTP無制限、DisabledならMTPは定格運用となる

MTPを絞っても差が出ない場合もある

 まずは定番の「CINEBENCH R23」から検証をスタートしよう。Core i9-13900とCore i7-13700では、MTPを絞るとマルチスレッドのスコアーは下がり、1つ下のモデルのMTP無制限より遅くなるという結果が得られたが、廉価版CPUでも同じ傾向が見られるのだろうか?

CINEBENCH R23:スコアー

 同じコア数であっても、Core i5-13600Kと13500の間にはマルチスレッドテストにおいて20%程度の開きがある。Raptor LakeとAlder Lakeの差は無視できない程に大きいといえるが、シングルスレッド性能ではCore i5-13600Kより約8%下にとどまっている。

 そして、MTPを定格(154W)に絞ると、Core i5-13400よりもマルチスレッド性能は下がるが、差は400ポイント程度と僅差である。Core i9-13900やCore i7-13700のMTP制限時に比べると、スコアーの下落率が非常に小さい。

 Core i5-13400より下のモデルでは、MTPを絞っても1ランク下に負けることはないどころか、旧世代のMTP無制限時よりスコアーが高いことが読み取れる。また、Core i3-13100については12100からのスコアーの伸びがほぼ感じられないが、Eコアも増えていない上にクロックしか変わっていないことを考えれば当然の結果といえる。なお、Core i3についてはMTPを絞ろうが限界で回そうが誤差程度の差しか出ていない。

 続いては「Blender Benchmark」での検証だ。Blenderのバージョンはv3.4.0を指定している。

Blender Benchmark:スコアー

 全体傾向はCINEBENCH R23と変わっていない。Core i5-13400より下のCPUでは、MTPを絞っても絞らなくてもパフォーマンスは誤差程度の差しか生まない(微妙に逆転している部分もあるが、これもブレの範囲といえる)。Core i5-12400から13400への差はEコア4基ぶんの差がキッチリ出ている一方で、Eコア非搭載であるCore i3-12100から13100への差はクロック上昇ぶんの差しか出ていない。

 次にPCの総合性能をみる「CrossMark」で検証する。

CrossMark:スコアー

 CPUの性能順に順当なスコアーの伸びが確認できるが、見どころはCore i5-12400よりもCore i3-13100のスコアーのほうが一部テストにおいて高いスコアーを出しているという点だ。

 写真や動画編集などに使われる処理性能を見るCreativityテストでは、Pコアの多いCore i5-12400が高スコアーを出しているが、文書やメール作成等に使われる処理性能を見るProductivity、アプリの起動やファイルオープン等を行うResponsivenessテストではベースクロックの高いCore i3-13100のほうがわずかだが高スコアーを出している。

 Creativityスコアーのおかげで辛うじてCore i5-12400が総合的に上という判断はできるものの、ライトユースではCore i5-12400とCore i3-13100の差はないと言ってよい。この点において、Eコアが4基増えたCore i5-13400はCore i5-12400はもちろんCore i3-13100にもしっかり差を付けており、上位CPUとしての面子を守った形になった。

クリエイティブ系アプリでも同様の傾向

 ここからはクリエイティブ系アプリでのパフォーマンス検証となる。最初に「UL Procyon」の“Photo Editing Benchmark”で検証する。このベンチは「Photoshop」「Lightroom Classic」を実際に運用した際のパフォーマンスをスコアー化するものだ。

UL Procyon:Photo Editing Benchmarkのスコアー

 比較するCPUが多いためわかりづらくなっているが、Core i5-13600KからCPUの型番や世代が1つ下がる毎にスコアーの上限が段々と下がっていく。MTP無制限と制限下のスコアーを比較すると、MTPを絞ったほうがスコアーは下がるが、無制限時から1〜2%程度しか下がっていない。

 続いてはLightroom Classicについて、DNGからJPEGに書き出す処理における検証も行う。100枚の61メガピクセルのDNG画像から、最高画質のJPEGに書き出すが、その際シャープネス(スクリーン用、標準)を付与している。CPU負荷はCINEBENCH R23ほどではないが高い負荷がかかるテストだ。

Lightroom Classic:DNG100枚→JPEG書き出し時間

 第13世代Core初出時のレビューだと第13世代が第12世代を圧倒していたテストだった。だが今回、Core i5-13600K対13500で比較すると、コアの設計がAlder Lake-SベースであるはずのCore i5-13500は13600Kに対しそれほど遅くないな、という印象を受けた。

 さらに、このテストではCore i5-13500のMTP制限下運用がCore i5-13400のMTP無制限より短時間で処理を終えている。第13世代Core上位のK無しモデルよりも今回の下位モデルのほうが、MTPを制限して運用しても性能はあまり変わらないということになる。

 動画エンコードの検証では前回に引き続き「Media Encoder 2023」と「Handbrake」を利用する。

 再生時間約3分の4K動画を「Premiere Pro 2023」上で用意し、これをMedia Encoder 2023上で1本の4K動画に書き出す時間を測定した。ビットレートはVBR 50Mbps、1パスのソフトウェア(CPU)エンコードとし、コーデックはH.265とした。

Media Encoder 2023:H.265による4K動画のエンコード時間

 トップはアーキテクチャーや動作クロックに優位性のあるCore i5-13600Kで、その後はCINEBENCH R23の序列と同じような順で処理時間が長くなってゆく。ここではMTP制限下のCore i5-13500はMTP無制限のCore i5-13400より処理時間が長くなっているが、その差は10秒と短い。Core i5-13400はMTPを絞ってもCore i5-12400より遅くなることはないが、これはEコア4基ぶんの差と考えられる。

 Handbrakeでは再生時間約3分の4K@60fps動画をプリセットの“Super HQ 1080p Surround”でフルHDのMP4形式に書き出す時間を計測した。

Handbrake:Super HQ 1080p Surroundを利用したエンコード時間

 Core i3勢が遅いのは単純にコア数とクロックの問題であり、Core i5-12400と13400もEコアの数だけしっかりと処理時間が短くなっている。全体の傾向はMedia Encoder 2023とほぼ同じだ。

 クリエイティブ系アプリの最後は「Topaz DeNoise AI」を使用する。30枚のJPEG画像(24メガピクセル)を用意し、学習モデル“Severe Noise”を利用してノイズ除去処理をする時間を計測した。

Topaz DeNoise AI:JPEG30枚のノイズ除去処理時間

 Core i9-13900/Core i7-13700の検証では、トップと最下位の差がわずか7秒しか出なかった検証だが、今回のような廉価版CPUでは20秒程度の差に拡大した。とはいえ、Core i5-13600Kと13500、Core i5-13400と12400というように隣り合ったCPUを比較すると差はせいぜい10秒、場合によっては2秒しか違っていない。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

ピックアップ

ASCII.jpメール アキバマガジン

ASCII.jp RSS2.0 配信中