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最新パーツ性能チェック 第398回

DLSS FGでレイトレ+4Kも十分遊べる

DLSSで新世代のパワーを発揮! GeForce RTX 4070 Tiレビュー【後編】

2023年01月05日 21時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

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クリエイティブ系アプリでの性能は?

 ゲーム系が終わったところで最後の悪あがきとばかりにクリエイティブ系アプリでの検証を時間の許す限りやってみた。

 まずは「V-Ray Benchmark」である。CPU以外を使う「V-Ray RTX」と「V-Ray CUDA」の2つのテストを実施した。GeForce系に特化したレンダラーであるため、RX 7900 XTは除外している。

V-Ray Benchmark:APIごとのスコアー

 RTX 4080が圧倒的だが、RTX 4070 Tiもそれなりに速い。しかし、RTX 4080というよりはRTX 3090+α的なポジションである。このあたりはこれまで見てきたベンチマーク結果に通じるものがある。

 「Blender Benchmark」では、バージョン“v.3.4.0”を指定。3つのシーン(monster/ junkshop/ classroom)それぞれのスコアーを計測した。

Blender Benchmark:Blenderのバージョンはv3.4.0を指定

 ここでもCUDAコアの多いRTX 4080が圧倒的、続いてRTX 4070 Tiと続くが、よく見るとjunkshopのスコアーのみRTX 3090>RTX 4070 Tiとなっている点に注目。メモリーバス幅が原因の可能性も考えられるが、本格的なCG作成を考えているなら、少し予算を足してRTX 4080を選ぶほうが幸せになれるだろう。

 最後に試すのは「DaVinci Resolve Studio」だ。RTX 4090レビュー時は専用のβビルドで検証したが、原稿執筆時点での最新バージョン(v1.8.2)ではNVIDIAのAV1エンコーダーに対応済みだ(AMDのAV1には未対応)。

 今回はProRes 422HQを使用した8K動画(約2分)を準備し、ビットレート80Mbpsの8K MP4動画に書き出す時間を計測した。コーデックはAV1およびH.265とし、それぞれのGPUにあわせNVIDIAまたはAMDエンコーダーを使用している。

DaVinci Resolve Studio:8K動画のエンコード時間

 今回の結果からはRTX 4070 Tiのほうがわずかに短い時間で処理が終わったが、120秒の尺に対して3ないし4秒なので誤差レベルだ。今回検証した中では、RX 7900 XTのH.265の処理が飛び抜けて高速であることが再確認できた。DaVinci Resolve StudioがAMDのAV1に対応した時のパフォーマンス検証が楽しみだ。

ゲーム中のTBPはどうなっている?

 ベンチマーク中のTBPやワットパフォーマンスの話は各ゲームの中でしているが、最後に1本のゲームに絞りもう少しだけ深くチェックしたい。

 ここで使用するゲームはTiny Tina's Wonderlandsだ。理由としてはどのGPUでも満遍なくベンチマーク中のTBPが高く、かつシングルプレイ前提のゲームなので放置もしやすいためだ。ゲーム状態で15分程度放置し、その際のTBPをPCAT v2で追跡する。ゲームの解像度は4K、画質“バッドアス”に設定し、マップ“ブライトフーフ”の城前で計測した。

Tiny Tina's Wonderlandsプレイ中のTBP推移。1秒ごとの移動平均でプロットしている

上のグラフから平均・最大値および標準偏差を算出したもの

 これによるとRTX 4070 TiのTBPは平均264W、瞬間的に最大値は302Wまで上昇するという結果が出た。性能ではほぼ同レベルのRTX 3090と比較すると、平均値にして120W弱は減っていることになる。価格的ライバルであるRX 7900 XTに対しても消費電力において大きなアドバンテージがあることが確認できた。

まとめ:値下げしても残る割高感にどう折り合いを付けるか?

 年末年始を目一杯使ってRTX 4070 Tiを触ってきたが、メモリーバス幅192bitというスペックからは想像できなかったパフォーマンスを出した事には驚かされた。RTX 3090よりもVRAM搭載量は少ないが、多くのシチュエーションにおいてRTX 3090を超え、さらにDLSS FGを利用すればフレームレートをもうひと伸びさせることができる。DLSS FGの対応ゲームも着々と増えており、いまRTX 40シリーズに乗り換えるメリットは十分にあると言える。

 しかしながら、こうして比較することでメモリーバス幅192bitのボトルネックを知ってしまうと、RTX 4070 Tiを買って満足できるか? という疑念も出てくる。RTX 3080ユーザーから見るとフルHDなら約5〜36%、4Kなら約9〜46%(DLSS FGは除外)の伸びしろがあり、平均して20%程度上の性能が期待できる。ただこの20%の性能差に最低15万円の出費はできるか? と言われると腰が引けてしまう。特に192bitバスだとかVRAM 12GBだとか、補助電源は変換ケーブルが必要といった情報から入るタイプ(筆者みたいな人のこと)だと、考え込んでしまうだろう。

 ただ、AV1エンコーダーやクリエイティブ系アプリにおけるCUDA対応の強さ、そしてDLSS FG対応ゲーム登場の速さを考慮すれば、買い換えもアリ、といったところか。RTX 3080からの乗り換えは厳しいだろうが、もっと古いTuringやPascal世代の上位モデル(GTX 1080など)からの乗り換えであれば、RTX 4070 Tiに乗り換えることで新しい世界が見えるのではないだろうか。

 我々を取り巻く様々なコストの高騰を考えると簡単に安くなる要素がないし、そもそもGeForceはRX 7000シリーズのようにコストを下げられる構造(チップレットデザイン)でないため、高くなってしまうのは必然。その中でも15万円に納めた関係者の努力には敬服するしかない。しかし、そうは頭でわかっていても、70番台のGeForceが15万円〜という状況さえなければ……と言わざるを得ない。

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