連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第62回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 2022年12月17日~12月23日
動画視聴デバイスとしてテレビが復権、フリーランス収入は前年比アップ、未読メールの平均件数は? ほか
2022年12月26日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(12月17日~12月23日)は、マルウェアの配信ファイル形式の変化、スマホやテレビ、スマートウォッチなどコンシューマーデバイスの普及と用途変化、未読メールなどの「デジタル整理」の現状、フリーランスの収入状況についてのデータを紹介します。
■[セキュリティ]マルウェア配信形式で3年ぶりに「アーカイブファイル」最多、「Officeドキュメント」を上回る(日本HP、12月20日)
・マルウェア配信のファイル形式として「アーカイブ形式」が44%で最多、3年ぶり
・「Officeファイル」を介した配信は32%
・脅威の69%は「電子メール経由」
2022年7月~9月、HP Wolf Security顧客の仮想マシンで匿名収集したデータをもとに作成したセキュリティ調査「HP Wolf Security: 脅威インサイトレポート(2022年第3四半期)」日本語版より。同期、マルウェアの44%がZIPやRPAなどのアーカイブファイル形式で配信された。これは前四半期比11%増で、3年ぶりに最多の形式に。これまで最多だったOfficeファイル(Microsoft Word、Excelなど)を介した配信は32%だった。HPによると、アーカイブファイルと新しいHTMLスマグリング※注を組み合わせて攻撃を仕掛けるキャンペーンが複数特定されたという。
※注:HTMLスマグリング…悪意あるアーカイブファイルをHTMLファイルに埋め込み、電子メールゲートウェイを回避する手法。
マルウェアのファイルタイプ別の推移。アーカイブは33%から44%に増えた(出典:日本HP)
■[生活][トレンド]「スマートウォッチ/ヘルスケアバンド」の普及率は15%に、動画デバイスでは「テレビ」が復活(デロイト トーマツ グループ、12月21日)
・「スマートウォッチ/ヘルスケアバンド」の保有率は15%
・所有者の90%は健康指標をモニタリング
・動画視聴は「テレビ」デバイスに回帰
全世界22ヶ国/地域の合計3万8150人(16~75歳)を対象とした調査をもとに、日本独自の考察を加えた「Digital Consumer Trends 2022 日本版」より。「スマホ」保有率は88%と飽和に近づき、「スマートウオッチ/ヘルスケアバンド」は15%、「音声アシスタントスピーカー」は8%となった。健康指標をモニタリングしている人は、スマートウォッチ/ヘルスケアバンドで90%、スマホで46%に。調査では、用途に応じたデバイスの選択への変化も示唆。動画視聴で最もよく利用するデバイスで、18~24歳を除くすべての世代で「テレビ」が最多となった。
■[生活]平均未読メールは646通、不要アプリ削除に積極的なのはAndroidユーザー(CCleaner、12月20日)
・個人用メールアドレスの「平均未読メール」は646通
・日本のインターネットユーザーの68%は「デジタル端末の整理を行わず」
・不要なアプリをまめに削除するのは、Androidユーザー、Windows PCとiPhoneを上回る
日本の19歳以上の男女1015人に、個人所有のPC、スマホ、タブレットのファイルの整理について調べた「デジタルクリーニングに関する調査」より。Windows PCユーザーのうち、不要な写真やファイルを整理したことがない人は34%。その理由は「面倒」(34%)、「時間がない」(18%)などが挙がった。Windows PCユーザーの54%がPCの動作が遅いと感じており、34%がフリーズやクラッシュを経験していた。未読メール数については、個人のメールアカウントでは平均646通。若い世代は件数が多くなり、34歳以下は1000通以上が未読のまま放置しているという。不要なアプリやプログラムを削除しているというユーザーは、Android(62%)が最も多く、Windows PCは50%、iPhoneは49%だった。
■[生活][働き方]フリーランスの約半数が2022年は前年より収入アップ(GMOクリエイターズネットワーク、12月22日)
・フリーランスの48%が2022年は前年より収入増
・物価高への対応は65.9%が「家計の節約」
・事業の固定費削減でメスが入ったのは「消耗品費」(62%)「接待費」(53%)
同社のフリーランス向け支援サービスの利用者約750人を対象に、お金事情について調べた。期間は2022年11月30日から1週間。2022年の収入について、48%が2021年より増えたと感じていることがわかった。理由として、「努力した」「案件単価が上がった」「副業を始めた」などが挙がった。副業や新事業を始めた人は23.9%、考えている人は50.1%だった。物価高への対応策は、「家計の節約」(65.9%)、「節税」(28.6%)、「事業の固定費削減」「案件単価や受注数の見直し」(共に28.1%)などが挙がった。事業の固定費削減の具体的内容としては、「消耗品費」(62.9%)、「接待費・交際費」(53.8%)、「通信費」(42.4%)が最も多く挙げられている。

この連載の記事
-
第211回
ITトピック
要件定義をAIが支援し「工数を半分以上削減」7割超/“日本独自のAI推進モデル”が判明/AIセキュリティ導入の課題、ほか -
第210回
ITトピック
生成AI普及後も「IT技術者採用は減らない」が約8割/今後5年で倍増のデータセンター電力消費、3分の2は米国・中国、ほか -
第209回
ITトピック
脆弱性のあるVPN機器、6割の企業が「すぐ特定できず」/来年注目の“11のIT戦略テーマ”発表/管理職の半数が「燃え尽き」を経験している、ほか -
第208回
ITトピック
日本のクレカ情報、闇市場では世界一高値で売買/東京が2年連続で世界一、DC建設コスト/誤情報・偽情報への企業対策が加速、ほか -
第207回
ITトピック
人事評価に6割超が自己評価との「ギャップ」感じる/“AIの波”を生き延びるための技術トレンド/AIプロジェクトの6割超がPoC止まり、ほか -
第206回
ITトピック
IT技術者として何歳まで働く? 40代と60代の意見差/年率66%で急成長の「DAP」市場/フリーランス新法施行1年で改善実感の声、ほか -
第205回
ITトピック
ランサム被害企業の3割が「繰り返し被害に遭った」/インフラ技術者の年収アップに効く資格取得/AIに雇用を奪われるのは若手人材? ほか -
第204回
ITトピック
技術学生の大手SIer就職人気が躍進、その理由/成長率37%“急速拡大”の国内AI基盤市場/物価上昇で退職金の実質減少が続く、ほか -
第203回
ITトピック
1件のセキュリティ事故が281社に影響連鎖、恐ろしいサプライチェーンリスク/シニア人材がプロとして働くモチベーションは? ほか -
第202回
ITトピック
ICT求人の8割で「AIスキル」が職務要件に/経営層が熱望するソフトウェア革新/セキュリティのハイプサイクル発表、ほか -
第201回
ITトピック
顧客接点にデジタルヒューマンが浸透/「週休3日」求人はこの5年で5倍に増加/iPhone 16eが期待外れだった理由、ほか - この連載の一覧へ












