インポート/エクスポート機能が大きく変化した
コマンドラインで大きく変化したのは、エクスポート/インポート処理である。ストア版ではWSL2が標準となり、このために、ディストリビューションは、仮想HDD(VHDX)をローカルファイルシステムとする。設定に関しては、Linuxディストリビューションの/etcにあるwsl.confで制御できるため、VHDXファイルのみがあれば、WSLディストリビューションが動作できる。
これにより、エクスポート処理でVHDXファイルへの出力が可能となり、これをそのまま新規ディストリビューションとして登録する「--import-in-place」オプションが追加された。このオプションを使うと、WSLディストリビューションの現在のスナップショットをVHDXファイルで作り、新規ディストリビューションとして登録することができる。このことで同一ディストリビューションを複数インストールすることが可能になった。ただし、指定するディストリビューション名が重複しないように配慮する必要がある。
「--import」でもVHDXファイルを扱えるが、この場合、VHDXファイルはコピーされ、指定されたインストール先ディレクトリにext4.vhdxという固定のファイル名が作られる。このため、複数のWSLディストリビューションをインポートする場合には、個別のディレクトリを指定しなければならない。
また、インポート機能でVHDXファイルを配置するディレクトリも指定できるようになり、管理は楽になった。デフォルトでは、ユーザーフォルダーの下のパッケージ用ディレクトリに置かれ、探すのが面倒だった。しかし、VHDXファイルを指定の場所に配置できるので、他のマシンへの移行も簡単にできる。
なお、ディストリビューション内の特定ファイルのみを別のディトリビューションに移行させたい場合には、tar形式でエクスポートしたあと、WSLディストリビューション内で、tarコマンドを使って特定のファイル、ディレクトリを取り出す。tarコマンドに関しては、オンラインマニュアル(man tar)で使い方を見ることができる。
Windows 10と11で同じWSLが使えるようになったことで、Windows 11にアップグレードできなかったマシンでも、WSLに関しては、同等になった。特にLinuxのGUIアプリケーションを動作させるWSLgが搭載されたことは大きな変化だ。WSLgは、Windows Insider PreviewのDev Channelでは、Windows 10でも動作していた。その後、Windows 11で標準的に利用できるようになったものの、Windows 10のリリース版21H2への対応はなされなかった。それから1年、ようやくWindows 10と11で同じWSLが利用できるようになった。
![](/img/blank.gif)
この連載の記事
-
第437回
PC
Windowsが今更(?)開発者に優しくなろうとしている!? 「Dev Home」は開発者にとって使い物になる? -
第436回
PC
Copilot+PCとともにWindowsのデバイス間連携に大きな変化!? Project ROMEの逆襲? -
第435回
PC
Windows Terminal Preview v1.21では、前回終了時のタブとその表示内容を復元できるように -
第434回
PC
AIの急速な導入がWindowsの予定を変えた!? Windows 12がすぐには出ない可能性 -
第433回
PC
Windows 11の2つのウィジェットを調べる -
第432回
PC
ウェブブラウザが切り開いたWindowsでのタブアプリケーション -
第431回
PC
Windows上でユニコードを「見る」方法 -
第430回
PC
WindowsからWordPadが廃止! RTF(Rich Text Format)はどうなる? -
第429回
PC
Windows Updateの「利用可能になったらすぐに最新の更新プログラムを入手する」はオンにした方がいいか? -
第428回
PC
Google/Bingで使える検索オプション -
第427回
PC
WindowsのPowerShellのプロファイルを設定する - この連載の一覧へ