乗り味も調整できるプリロードの設定
サスペンションのバネはシートポストに内蔵されていて、それをアームで押す仕組みです。
取り付ける前に、まず乗り手の体重に合わせたプリロードの設定が必要です。つまるところサドルに腰掛けた際にサスペンションが沈む量の調整で、「サグ」なんて言ったりもします。
これはシートポスト下のスクリューに印字された1から5までの数字と、取説に載っている体重との対応表を見ながら合わせます。沈み込む量はストローク量の20%、6mmと取説にありますので、それくらいが適正なのでしょう。
ただ、このバネの圧縮量で乗り味を調整できるのも面白いところ。乗車姿勢によってシートポストにかかる荷重も違うでしょうし、乗り手の好みもあるでしょう。取説にも「恐れずに様々な設定を試してみよ」とあります。私はサスが動きすぎるように感じるので、ちょいと硬め、つまり浅めのプリロードに設定しています。
乗車姿勢によってシートポストにかかる荷重も違うでしょうし、乗り手の好みもあるでしょう。私はサスが動きすぎるように感じるので、ちょいと硬め、つまり浅めのプリロードに設定しています。これでふわふわ感を抑えて、フラットに近い乗り心地が得られたと感じています。
シビアな人には向かないサドル高の調整
さらに付属の細いインナースプリングをメインスプリングに追加することで、より硬めの乗り味に変えることもできます。
私も一度試してみましたが、すぐ元に戻しました。乗り手の体重にもよるでしょうから一概には言えませんが、体重75kgの私の場合、ストローク量は減るもののダンピングが足りないせいか、お尻が短い周期でポンポンと跳ねるようになって、かえって乗りにくくなってしまいました。スプリングレートを上げたら減衰率の高いダンパーが必要になるのは自動車の足回りと同じですが、このシートポストサスペンションにダンパーの設定はありません。
これら設定の追い込みにある程度のトライアンドエラーは必要ですが、調整のたびにシートポストを抜かなければならないのが面倒なところ。
さらに言えばシートポストの高さも一発では決まりません。プリロードで沈む分も踏まえて設定する必要があるからですが、一人ではその量を見極めるのは難しい。誰かサスの沈む量を見てくれる人がいればいいのですが。
それに厳密に言えば体重の増減やバックパックの中身次第で、サドル高も変動するはずです。今までリジッドのシートポストをミリ単位で合わせていた人は困惑するでしょう。
私は適当な性格なので、乗り心地さえ良ければよしとしていますが、サスの動きを簡単に測れる方法があったらいいなとは思っています。
ある程度シートポストが出ていないと使えない
さて、ここからが一番の問題です。使える人とそうでない人がいます。
まず適応体重は110kgまで。大抵のスポーツバイクの許容荷重もこのあたりですから、ちょっと超えているくらいならダイエットすればいいんです。でも人間の意思ではなかなか変えられないものがあります。
ずばり言ってそれは足の長さ。よりダメージの低い表現を使うなら、体格とフレームジオメトリの関係です。実際、私はなかなかのギリギリ具合でした。はぁ……(嘆息)。
下げられる限界は、シートチューブ、あるいはシートポストクランプ上端からサドルレールまでの高さで、約80mm。実測値なので多少の誤差はあるでしょう。サドルに腰かけると若干沈むので、実際にはもう少し高くも設定できます。ですが、いま現在お乗りの自転車の設定で、この80mmをクリアしていなければ、導入はギャンブルとお考えください。
私はサドルレールまで90mmで何とかクリア。しかし、この高さではブランドロゴもシートチューブに隠れて見えません。今まで付けていたリフレクタの類も取り付ける場所がないので移設です。
ちなみにブランドロゴを露出させるには、先のサドルレールまでの高さで150mmが必要。私の場合ですと、あと60mmほどサドルを上げるか、逆にシートチューブを削る必要があり、いずれも無理。カッコよく決めたければジャイアントのTCRシリーズのような、強いスローピングフレームが必要です。
もうひとつ厳しいのは自転車が重くなること。キャノンデール純正のシートポストは実測値で211.5gでしたが、REDSHIFTは542.5g。実に331gもの増加になるわけで、ネジ1本単位で軽量化に気を使っている方なら気の遠くなるような数字でしょう。
ただし、以上のような制約、面倒、カッコ悪さ、重量増があったとしても、乗り心地は革命的です。すべて許せます。
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