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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第12回

追いつめられたザッカーバーグ 年末商戦に生き残りかかる

2022年11月17日 16時00分更新

文● 新清士 編集● ASCII

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ハードが売れてもソフトが売れないのが敗因

 メタバース部門は、業績が上がってきているならともかく、投資の割にはリターンが少ないという状況が続いています。ハードとしての「Quest 2」は5月に1500万台に達したと見られ、それなりに売れています。しかし、8月に行なった販売価格の100ドルの値上げの影響が大きいとみられ、売上も前年同期比で半減してしまっています。

 さらに問題はソフトの販売です。

 VR系メディア「Voices of VR」のKent Byeさんは、2019年から21年のVR部門の総収入は約39億ドルにのぼっているのに対し、ソフト売上は3億7000万~4億ドルにとどまっていると推計しています。つまり、全体の売上の中でソフトは10%程度しか販売できていないということになります。

 要するにソフトによるエコシステムが形成できていないんですね。メタは「任天堂型」「ソニー型」などと言われる、ハードは安く売ってソフトで回収するというビジネスモデルを目指していたのですが、実際には成立していなかったということです。

 10月にメタが開催した開発者会議でも、ジョン・D・カーマック(元Oculus CTO。現在はメタのアドバイザー)が、「Questで最も人気のあるアプリはVRChatやRec Roomといった無料アプリで、そこからの収益は皆無です」とコメントしていました。だからQuest 2は値上げされてしまったんだと。

 メタはメタバースという新しい産業を作ろうとしたわけですが、1社のプラットフォーマーが莫大なお金を注ぎ込んでも難しかったんだなと感じます。

 ハードを作って失敗させないように展開するというのは相当なエネルギーが必要です。あと数年続ければQuestがすごく売れるようになるかと言えばそんな未来も見えません。資金が簡単に尽きることはないでしょうが、業績としては相当苦しい状況が続くことは、多くの人が指摘していたとおりでした。

 関係者はメタが今のようにコントロールを強く立場を主張するのではなく、ハッカーを中心にOculusの開発が自由に進められていたらどうなっていたかという話をよくしていますが、どちらにしても簡単ではなかっただろうなと感じます。

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