最近、「予測市場」という新しいウェブサービスの名を頻繁に見かけるようになった。
筆者は、この連載を担当している編集部Mさんからの「予測市場、気になりますね」というメッセージでその存在を知ったのだが、その後ニュースやネット配信の映像などでも目にするようになった。特によく見かけたのは、サッカー・ワールドカップのピッチ脇の看板で、予測市場では最大手のKalshiというウェブサービスだ。
Kalshiのサイトで「私たちについて」を確認すると、「将来の出来事の結果を取引対象とする取引所」と書かれている。「取引対象」とされる出来事はとても幅広い。たとえば、米国のFRB(連邦準備制度理事会)が、政策金利を引き上げるのか、引き下げるのか、据え置くか。あるいは、米共和党や民主党の大統領候補を選ぶ予備選で勝利する候補者はだれか。
検索欄にJapanと入力してみると、日本のプロ野球も「予測」の対象になっている。8月3日の楽天-オリックスの勝敗も予測できるし、シーズンを通じて日本一になるチームも予測できる。ちなみに、8月3日朝の時点では、福岡ソフトバンクホークスが29%の確率で日本一になると予測されている。7月31日に公開された新作映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』が、映画の批評サイト『ロッテン・トマト』で90%以上の評価を受けるかどうかも、予測の対象だ。
日本から見ている限り、「市場」というより森羅万象を賭けの対象とするギャンブルサイトにも見える。実際、米国でもKalshiやPolymarketといった主要な予測市場サイトについて、法的にどのように位置づけるのかについて論争が起きている。
Kalshiの「予測」の仕組みとは
Kalshiは、どのような仕組みで、運営されているのだろうか。
たとえば、ユーザーは「トランプ大統領が演説で、『インフレ』という言葉を述べるか」を予測し、YESまたはNOを選択する。この際、ユーザーAはYESを60セントで「取り引き」し、NOを40セントで取り引きしたいユーザーBとマッチングする。
仮に、ユーザーAが1枚60セントの契約を100枚(60ドル分)購入する場合、プラットフォーム側の手数料を含めて、61.68ドルを支払う。大統領が演説でインフレという言葉を言った場合、ユーザーAは100ドルを受け取り、差額の38.32ドルもうかる。インフレと言わなかった場合、ユーザーAは61.68ドルを失う。
しつこいようだが、筆者には、このプラットフォームは賭け事にしか見えない。ウェブのプラットフォーム上ではギャンブル用語は排除されていて、プラットフォームは「取引所」、「賭ける」は「取り引きする」とか「購入」といった金融に寄せた言葉に置き換えられている。
取引高急増、先物取引所の免許で運営
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