「ロボットフレンドリー」な環境の実現に向け、官民のキープレーヤーが実証の成果と知見を講演
「自動配送ロボのラストワンマイルシリーズ04」レポート
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、特別講座「自動配送ロボのラストワンマイル」シリーズ04を2022年9月9日に開いた。連続講座シリーズの4回目となる今回は、日本ロボット学会(RSJ)が東京大学本郷キャンパス(東京都文京区)で開催した第40回学術講演会(RSJ2022)の一般公開企画のひとつとして実施された。講演では、令和2年度のNEDO実証実験の成果に加え、ロボットを導入しやすい「ロボットフレンドリー(ロボフレ)」な環境実現に向けた取り組みなどが紹介された。
「特別講演の1」として、①経済産業省 製造産業局ロボット政策室、②三菱地所株式会社、③森トラスト株式会社の3者が講演。続いて、④株式会社QBIT Robotics(キュービットロボティクス)が講演し、最後に「特別講演の2」として「自治体における自動配送ロボット利活用について」と題して⑤経済産業省 商務・サービスグループ物流企画室、⑥三菱商事株式会社が講演した。以下、各講演の内容をお届けする。
NEDO ロボット・AI部主査 鶴田壮広氏が講座概要を解説
冒頭では、NEDO ロボット・AI部主査の鶴田壮広氏がこの日のプログラムのポイントを紹介した。自動配送ロボットは、物流拠点や小売店などから住宅や指定地へ配送するラストワンマイルを担う。ドライバー不足解消や買い物弱者対策、ウィズコロナでの非接触型配送サービスとして早期の社会実装が期待されており、政府の「新しい資本主義実現本部」による緊急提言(2021年11月8日)のなかでも自動配送ロボットに言及されている。
2022年4月に低速・小型の自動配送ロボットに関する制度化を含めた「道路交通法の一部を改正する法律」が成立し、2023年4月までに施行される予定だ。また民間では「一般社団法人 ロボットデリバリー協会」が22年2月に発足し、自主的な安全基準の制定や認証の仕組みづくりに着手するなど、官民協調して実用化へ向けた連携を進めている。
NEDOは、2020年から自動配送ロボットの開発事業を推進してきた。2020年度・2021年度の2年間で実施された「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業」では、12事業者・10テーマを採択し、屋外、私有地、屋内で実証を行った。以降も事業は継続しており、2022~2024年度の3年間で実用化、事業化を意識した開発目標を設定し、4つの事業者を採択して事業を推進している。