GR86/BRZ Cup 第4戦は走り慣れた鈴鹿サーキット
読者の皆様こんにちは。GR86/BRZ Cupのプロフェッショナルクラスに参戦しているレーシングドライバーの石坂瑞基(@mizuki_ishizaka)です。今回は、10月29~30日に開催されたGR86/BRZ CUP第4戦鈴鹿サーキットの模様をお届けします。
今回は事前テストに行くことはできませんでしたが、鈴鹿サーキットは十勝ラウンドの前にテストしているので、コースとマシンの雰囲気はその時に確認していますし、私はSRS-F(鈴鹿レーシングスクール・フォーミュラ)出身なので鈴鹿サーキット自体はかなり走りこんでいます。自分の足でも何度も走りました(笑)。なので、鈴鹿には自信がありましたし、何としても結果を残したいという思いで鈴鹿に入ったのです。
今回の鈴鹿戦から大きな変化点がありまして、車両とタイヤが変わりました。車両に関しては、前回の十勝でチームメイトの堤選手が練習走行でクラッシュ。マシンはすぐに修復できるような状態ではなかったため、GRガレージ水戸インターさんのご厚意により車両をレンタルさせていただきました。鈴鹿戦に向けてパーツ移植などの作業があったため、私がこのレンタル車両に乗ることになりました。
ただ、お借りした車両はまだレースはおろかサーキットも未走行で、公道でのナラシ運転が終わったという状態でした。そしてタイヤに関しては、ここまでダンロップを履いてきましたが今回からブリヂストンへとスイッチ。ブリヂストンから新型モデル「POTENZA RE-09D」が発売され、この鈴鹿戦から使用することになったのです。この新型タイヤは非常に良い評判が耳に入ってきており、チームと話し合った結果、変更になりました。
ここまで今年のレースはずっと雨が絡んでいましたが、この週末は晴れの予報。雨の心配は一切必要ない天気でした。練習走行は10月27日から走り始めて、28日の専有走行含め計4回と、いつものレースより少なめ。最初の走行は、まだサーキットでの全開走行の経験がない車両だったので、エンジンは重く、足まわりのゴム類もなじんでおらず、動きが硬く感じました。
実質ナラシのような走行だったので、最初はダンロップの中古タイヤで走り、2回目の走行でついにブリヂストンの新型タイヤを投入です。予選のつもりでアタックしましたが、そのピークグリップの高さに驚くとともに、ダンロップとはタイヤの特性が大きく違うことを感じました。ダンロップのほうがグリップに角があるイメージで、角を使うために思い切って荷重を掛けていきますが、ブリヂストンは急激な荷重変化を好まず、丁寧にグリップを引き出してあげるイメージです。
タイヤの特性が違うのでマシンのセッティングもアジャストする必要がありました。これまでのセッティングにタイヤだけブリヂストンを履くと、非常に足まわりが硬く感じました。丁寧にグリップを引き出してあげなければいけないこともあって、より柔らかい足まわりにしたいところです。
木、金と2日間走るとマシンのナラシも完了に近づき、エンジンの重さや足まわりの硬さもだいぶなくなってきました。しかし、まだ私の走らせ方がタイヤに合わせきれておらず、自らオーバーステアに車を動かしてしまってました。
ここはチームが3台体制で参戦している強みでもありますが、データロガーを共有して私の足りない部分を比較して明らかにすることができます。自分の中では良いイメージを作ることが出来、あとはそれを予選で再現できるかどうかになりました。
今シーズン初のドライコンディションでの予選
予選は今シーズン初めての完全ドライコンディションとなりました。これまではすべて雨が絡んでおり、乾いた路面で1周のみの予選アタックはこれが初めてでした。今回はスーパーフォーミュラとの併催で行なわれたので、路面のラバーとタイヤのマッチングが良いのか悪いのかわかりませんでした。私はマッチしないと考え、15分間の予選の後半、みんながアタックを終える頃にコースインすると決めました。後半に出ていくということは、赤旗で中断しアタックができないまま終了してしまうリスクもありましたが、それを承知で少しでも上の順位で予選を終えたい一心だったのです。
同じ考えで後半まで待った2台の後ろという、好位置からアタックを開始します。セクター1は非常に良い感覚で抜けましたが、その先のデグナーひとつ目の立ち上がりで若干、四輪脱輪気味になりましたがそのままアタック。前日のタイムを大幅に更新して6位で予選を終えました。走りの課題も大分克服できたような感覚のアタックでしたが、気にしていたデグナーがわずかに四脱(四輪脱輪)しておりタイム抹消のペナルティーに……。
ワンアタックしかしていなかったので基準タイムが残らず、残念ながら最後尾からのスタートとなってしまいました。タイム抹消はベストタイムなので、何度かアタックしていれば上から2番目のタイムが使われていました。
最後尾からのスタートだったので
1ポイントでも取る作戦にチェンジ
最後尾からのスタートとなった決勝は、ポイント圏内に入ることが難しいので、気持ちを切り替えて、1ポイントを獲得できるファステスト(レース中で一番速いタイム)を刻もうと思いスタートしました。タイヤのピークグリップが想定される2周目がファステストラップを狙うポイントであり、そこに合わせて全力でアタックしました。しかし、マークした2分27秒929はファステストラップにコンマ2秒足りず……。レースはその後も全力で走り、30位でチェッカーを受けました。
今回のレースは予選でタイム抹消になり、チームには非常に申し訳ないことをしました。しかし、わずかに四脱してしまいましたが、初めての1周アタックの予選で上位陣に匹敵する好タイムをマークできたことは自信に繋がりました。残りは最終戦の岡山のみですが、今回の走りをさらにレベルアップさせて来シーズンに繋がるような走り、結果を残せるよう頑張ります!