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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第52回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 2022年10月8日~10月14日

コロナ以後の情報過多ストレス実態、行政Webサービスに求める改善ポイント、主要SNSの「勝ちと負け」、ほか

2022年10月17日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2022年10月8日~10月14日)は、データ喪失と復旧の実態、情報過多時代のストレス、行政オンラインサービスにユーザーが求める改善点、業務効率化アプリのメリット/デメリット、主要SNSの利用時間に見る「勝ちと負け」のデータを紹介します。

■[セキュリティ]76%がデータ損失を経験、全てを復旧できた企業は32%(Arcserve、10月7日)
・データの損失経験者は76%、そのうち45%はデータを復旧できず
・29%がデータ損失後復旧までかかる時間が24時間以上
・文書化、テスト、更新された災害復旧計画がある企業は24%

 バックアップとデータ損失について、日本を含む11カ国で中小企業のIT意思決定者1121人を対象にした年次調査を実施した。重要なデータ損失の経験がある人は76%、そのうち全部復旧できたのは32%、復旧できなかった/一部復旧できたは45%。また83%が許容できるダウンタイムは「12時間以下」としているが、実際に「12時間以内に復旧できる」企業は52%にとどまり、29%は24時間かかっていると報告している。災害復旧対策(BCP)を含めデータバックアップ対策に取り組む企業は83%だったが、具体的な目標がある企業は23%だった。

76%が深刻なデータを損失した経験があり、そのうち45%は完全に復旧できなかった(出典:Arcserve)

深刻なデータ損失から復旧までに要する時間。「12時間以内に復旧できる」企業は52%(出典:Arcserve)

■[生活][クラウド]「毎日確認する情報源」が過去2年で増加した人は7割、情報を探すことがストレスに(10月7日、オープンテキスト)
・日本人の66%が「毎日確認する情報源がこの2年間で増加」
・39%が「仕事関連の情報量が多くメンタルヘルスに影響」と回答
・特定のファイルや情報を探すのに要する時間は「1時間以上」は45%

 日本を含む世界12カ国で、情報過多が仕事に与える影響を調査し「情報過多時代における実態調査」としてまとめた。日本からは2000人が参加した。日本の調査結果として、毎日使用するアカウント/アプリ/ツールの数として「6~10個」は37.5%、「11~15個」は13%いた。この数は、2020年と比較してそれぞれ13.5ポイント、7ポイントの増加であり、27.3%が「毎日のチェックが大変」と回答している。ファイルや情報を探すのに要する時間は「1時間以上」は45%、そのうち「3時間以上」は7%もおり、40%が「仕事に必要な情報が散在しており探すのが困難」と述べるなど、情報過多がストレスになっていることが浮き彫りになった。

コロナ禍以後の2年間で「情報過多」が進み、メンタルヘルスやストレスへの悪影響を感じる人も多い(出典:オープンテキスト

■[社会][行政]行政オンラインサービス、積極的な層は4割弱、消極的な層は3割弱(セールスフォース・ジャパン/国際大学GLOCOM/サイバーエージェント、10月11日)
・「置き去り層」の2割が行政のオンラインサービスは「わかりにくくて使えなかった」
・使う理由は「デジタル積極層」は「新しいサービスを使うのが好き」が最多
・「反デジタル層」の65%が「デジタルサービスはほとんど使わない」

 セールスフォース・ジャパン、国際大学GLOCOMのレジリエントシティ研究ラボ、サイバーエージェントのデジタルガバメント推進室による共同調査。デジタル化の進展に対する姿勢を「デジタル積極層」「中立層」「置き去り層」「反デジタル層」の4クラスターに分類して調べた。社会のデジタル化への意識分類への要因として「年齢」「行政のオンラインサービスの利用動向」「居住地区」などを挙げている。デジタル化に積極的な層は4割弱、消極的な層は3割弱、30代~50代にかけて積極層が少なくなり消極層が増える、女性は40代~60代にかけて消極層の割合が積極層を上回るなどの傾向を指摘している。調査から「デジタル活用のアプローチは一律ではなく、各層の特徴を捉えた推進が求められる」とまとめている。

オンラインの行政サービスに求める改善ポイントは、デジタル化に積極的な層と“置き去り”層とで異なる(出典:セールスフォース・ジャパン/国際大学GLOCOM/サイバーエージェント

■[生活]残業している人は7割、業務効率化アプリは役に立つが34%が「手間が増えた」(10月11日、monday.com)
・残業時間「1~10時間」は27%、「11~50時間」は36%
・残業理由は「仕事量が多い」「無駄な会議」「チーム内の業務進捗が不透明」
・業務効率化のためのアプリが増加し「手間が増えた」は34%

 「仕事の効率化」についての調査。残業している人は70%、その理由は「仕事量が多い」(一般社員、管理職ともに72%)、「無駄な会議」(一般社員は10%、管理職は24%)などが挙がるが、「自社が業務効率化に取り組んでいる」という人は42%だった。業務効率化に取り組んでいる企業では「無駄な仕事が減った」「管理が楽になった」などのメリットが挙がる一方で、34%が「手間が増えた」、21%が「管理が大変になった」とデメリットも指摘されている。

残業する理由は「仕事量が多い」が最多(出典:monday.com)

業務効率アプリのメリットとしては「管理」面を挙げる人が42%と最多(出典:monday.com)

■[生活][SNS]Twitterの利用は前年比で減少、電子メールは過去10年で送信数が13%増(Domo、10月17日)
・Instagramの写真投稿数は2013年から1700%増、毎分6.6万枚
・Twitter投稿数は2013年版比3倍増、2021年版比では40%マイナス
・Amazonでの買い物に費やす金額は毎分44万3000ドル

 オンラインで生成されるデータについてDomoが作成する年次レポート「Data Never Sleeps」第10版より。2022年、Zoomは毎分10万4000時間分の会議が行われ、Amazonでは毎分44万3000ドルのショッピングが行われていると報告している。主要SNSの利用は、2013年の初版と比べて増加した一方で「勝者」と「敗者」に分かれつつあるトレンドも報告。Instagramは2013年では毎分3600枚の写真が投稿されていたが、今回は6万6000枚。実に1700%増加した。一方でTwitterの投稿数は2013年からは3倍。だが投稿数は2021年の毎分57万5000件から、2022年は34万7000件に減少している。電子メールも過去10年で13%増の微増にとどまっているという。

※お詫びと訂正:本記事の初出時、電子メールが「過去10年で13%減少」としていましたが、「13%増加」の誤りでした。お詫びのうえ訂正いたします。(2022年10月17日 13:20 編集部)

1分間で各サービスがどのぐらい使用されているのかを示す図(出典:Domo)

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