業務を変えるkintoneユーザー事例 第160回
ITがわからなくても使える。感動すると人ってやる気が出る
受け身なユーザーがなぜ意欲的に?災害支援の法則から考えるkintone活用法
2022年10月14日 09時00分更新
7月21日に東京のZepp Divercityで「kintone hive tokyo」が開催された。kintone hiveはkintoneのユーザー事例を共有しあうイベントで、優勝した企業は「kintone AWARD」に進出する。「kintone hive tokyo」では7社が登壇し、今回は4番手、認定特定非営利活動法人 災害人道医療支援会(HuMA)高取剛充氏によるセッション「IT弱者がリードする支援型導入プロセス 受け身のユーザーはなぜ意欲的な参加者になったのか」のレポートを紹介する。
たった1人の頭の中に仕事があるという状況を打破するために
高取氏は中小企業診断士として働くかたわら、HuMAの事務局長としても活動している。HuMAは世界の被災地に医師、看護師などを派遣する非営利組織で、アジアやアフリカ、中東南米など世界各地に医療者を派遣している。正会員は328名で、医師や看護師のほか、救急救命士、理学療法士、薬剤師、保健師など、多くの医療者が参加しているという。
2019年、高取氏がHuMAの採用コンサルタントとして呼ばれ、その後事務局長に就任することになった。しかし、当時3人いた担当の2人が相次いで退職し、残った一人が仕事を回している状態だったそう。
「お手伝いしようと思いましたが、仕事はたった1人の頭の中に全部入っていて、何をどうやるのか、さっぱりわかりませんでした。とにかく忙しいのですが、データはパソコン1台の中にあり、どれが最新なのかもわかりません。これは、業務を見える化して、データを一元化しなければいけない、と思いました」(高取氏)
しかし、HuMAには山岳ガイドから飲食店経営者までさまざまな会員がいるものの、IT人材がいなかった。そこで高取氏はIT弱者でも使えるデータベースを探し始め、kintoneに出会った。初めに作ったアプリはExcelで管理していた既存の名簿ファイルと同じフィールドを並べただけだったが、簡単にクラウドのデータベースアプリを構築したことで、高取氏はとても感動したという。
「ドラッグ&トロップで並べるだけで名簿の形が整ってしまうんです。ITがわからなくても使える、ということを誰かに教えたいと思いました。感動すると人ってやる気が出るんだなと学びました」(高取氏)
そこで仲間3人をkintoneのセミナーに誘ったら、2人が同行、そして、その内のひとりが一緒にやろうと言ってくれたそう。その人はまず、名簿アプリを使いやすく改良してくれた。ポータルに使い方の説明を書き、kintoneにログインしたら全部見られるようにしたのだ。kintoneへのログイン方法がわからないという人には、個別面談で徹底サポートした。
名簿をkintoneアプリ化したことで、仕事量が大きく減ったという。スタッフは3人になっていたが、仕事が多いときでも2人で足りるようになったのだ。
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