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業務を変えるkintoneユーザー事例 第116回

創業122年目の老舗が挑んだ社内業務の大改革

他社事例に学び、ロート製薬流にアレンジしたkintoneの社内浸透ノウハウ

2021年09月08日 10時30分更新

文● 柳谷智宣 編集●大谷イビサ

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 2021年7月8日、東京の新木場STUDIO COASTにて「kintone hive tokyo 2021」が開催された。kintone hive(キントーンハイブ)は、kintoneを業務で活用しているユーザーがノウハウや経験を共有するイベントだ。全国6カ所で開催され、その優勝者がサイボウズの総合イベント「Cybozu Days」で開催される「kintone AWARD」に出場できる。

 登壇したのは5社で、2番目に登壇したのはロート製薬の柴田久也氏。「120年の老舗企業がkintoneに出会って大改革できた話」というテーマでプレゼンしてくれた。

「健康と美」をテーマに走り続ける創業122年目の老舗

 ロート製薬は「健康と美」という人生における2大テーマの領域で商品の開発と販売、サービスの提供を行なっている。医薬品では目薬が主力商品となっており、国内では大きなシェアを持っている。化粧品も主要事業となっており、製薬会社ではあるものの半分以上は化粧品の売上げだ。化粧水や乳液、マスクなど様々な機能を持った商品をラインナップしており、ブランドではスキンケア商品の「肌ラボ」が有名だろう。

ロート製薬の柴田久也氏

目薬や化粧品など馴染みのあるブランドを多数持っている

 同社はビジネス面以外でも注目を浴びることが多い。たとえば、複業をいち早く解禁した企業としても知られる。原則的に、ライバル会社への所属以外であれば、どこに所属してもいいし、個人で活用してもよく、多くの社員が複業にチャレンジをしているという。

 また、年齢や役職に関係なく「さん」付けで呼び合っているうえ、ロートネームというあだ名で呼び合うことも多い。代表取締役会長は山田邦雄氏だが、みんな「くにおさん」と呼ぶそう。そして、柴田氏は会長から「しばちゃん」と呼ばれている。

 そんなフラットな社風だが、実は創業は明治32年。現在122年目の老舗だ。国内単体で1529名、グローバル連結で6619名の従業員を抱えている。

ビジョンとは裏腹にコネクトできてなかった現場

 2019年、同社が創業120周年を迎えるにあたり、「Connect for Well-being」というビジョンを制定した。「心と体がイキイキして、笑顔あふれる毎日を送れる状態を世界のより多くの人に届けたい」というビジョンのため、まず社内のさまざまな事業や仲間同士をコネクトする必要がある、と考えたという。

「このタイミングで、まずわれわれ自身が組織としてもっと強くなっていこうという全社プロジェクトの取り組みが始まりました。全社の課題を洗い出して、それを解決するための施策を立てて実行していくというものです」(柴田氏)

 柴田氏が所属する営業部門でも、商談や店頭で得られる情報を元にした営業活動ができていないという課題があった。マーケティングの戦略立案の参考になっているかがわからず、サプライチェーンマネジメントにも活かしていないという課題も設定した。

 また、情報の流れも統一されていなかった。部署によって日報と週報がばらばらで、レポートも自由記入。そうすると、情報が集まる頻度や精度、質もばらばらになる。情報の受け手としては、目当ての内容を探しにくいし、そもそも書かれていないという状態だったそう。

「当然、他部門からすると営業部門に対し、この商品はいつ何個出荷するの? と気になるわけです。マネジメント層も商談は順調か? と気になります。経営層は全体の売上はどうなんだ? と言います。そうすると、Excelが登場します」(柴田氏)

 しかし、場当たり的な報告のためだけのExcelファイルが乱立した。レポートを受け取る側は「普段報告をしてくれればこのExcelは必要ないのにな」と感じ、書く側は「これ前にも違う人に同じことを聞かれたな」と思っている。そんな状況で無理にExcel運用を続けることで、情報の受取り側も書き手も疲労してしまっていた。

 新ビジョンとは逆に、まったくコネクトできていない状況だったのだ。

情報が点在することで、無駄なExcelが乱立してしまった

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