G-Master Hydro Z690 Mini II/D4をレビュー
12700K&RTX 3080のデュアル水冷ミニタワーPCで高性能がゆえの爆音&設置問題におさらば!
2022年10月05日 11時00分更新
高性能PC、例えばゲーミングPCの悩みの種に、ゲームプレイの妨げになる騒音がある。CPUやビデオカードは性能が高くなるほど発熱が増える。これを放置しておくと、極端に性能が低下したり、熱暴走で動作が不安定になったり、電子部品へのダメージが蓄積され、ついには故障の原因にまでなりかねない。そのため、ヒートシンクとファンを使って十分に冷却する必要がある。
一般的な用途ではそこまで発熱しないこともあり、ファンの回転数は低く、騒音が気になることはほとんどないだろう。しかし、ゲーム中は通常よりも負荷が高くなるため、発熱が増加する。これを冷やすためファンの回転数が上昇し、騒音が大きくなっていくわけだ。
冷却性能の低いクーラーの場合、冷却性能を補うためにファンの回転数はさらに高くなり、掃除機のような轟音になる場合もある。そこまで回転数が高くなっても冷却性能が間に合わなくなると、いよいよCPUやGPUは自動で動作クロックを下げ、発熱を抑えるようになる。
つまり、冷却性能が足りないクーラーだと、スペックの割に実際の性能が低いPCになってしまうのだ。自作PCファンがやたらとCPUクーラーやビデオカードのクーラーにこだわる理由は、ここにある。
もちろん、このこだわりは自作PCファンだけではない。特にBTOパソコンメーカー、サイコムのこだわりは相当なものだ。CPUに簡易水冷クーラーを採用するだけではなく、ビデオカードまで独自に水冷化している。自社で加工を行ってまで、冷却にこだわったPCを作っているのだ。
例えば、デュアル水冷PC「G-Master Hydro」シリーズがある。同社の看板商品とも言えるシリーズで、自作PCファンでもなかなかビデオカードまで水冷化している人は少ないだろう。
今回紹介する「G-Master Hydro Z690 Mini II/D4」は、このシリーズの中でも少々異色のモデルだ。具体的にどこが異色かと言うと、2つの簡易水冷クーラーを内蔵しているにも関わらず、コンパクトなミニタワーPCケースを採用している。
簡易水冷クーラーはラジエーターがあるため、通常のクーラーよりも広いスペースが必要となる。ゆえに、本来はミニタワーPCでは採用しづらいのだが、本機はそれをやってのけているのだ。
G-Master Hydro Z690 Mini II/D4 | ||
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標準構成の主なスペック | 試用機の主なスペック | |
CPU | インテル「Core i7-12700K」(12コア/20スレッド、最大5GHz) | |
CPU クーラー |
Corsair「H60(2018) CW-9060036-WW」(簡易水冷、120mmラジエーター) | Asetek「650LS」(簡易水冷、120mmラジエーター)+Enermax「UCTB12P」(120mmファン) |
マザーボード | ASUS「PRIME Z690M-PLUS D4」(インテルZ690、Micro-ATX) | |
メモリー | 8GB×2、DDR4-3200 <メジャーチップ・8層基板> |
32GB×2、DDR4-3200 <メジャーチップ・8層基板> |
ストレージ | Crucial「P5 Plus CT500P5PSSD8」(500GB M.2 SSD、PCIe 4.0、システムドライブ) | Crucial「P5 Plus CT1000P5PSSD8」(1TB M.2 SSD、PCIe 4.0、システムドライブ) |
M.2 SSD ヒートシンク |
なし | サイコムオリジナル M.2 SSDヒートシンク |
グラフィックス | NVIDIA「GeForce RTX 3070 LHR」(8GB GDDR6X)+Asetek「740GN」(簡易水冷、240mmラジェーター)+ENERMAX「UCTB12」(120mmファン)(サイコムオリジナル水冷仕様) | NVIDIA「GeForce RTX 3080 LHR」(10GB GDDR6X)+Asetek「Hybrid GFX 240 LCS」(簡易水冷、240mmラジェーター)+Noctua「NF-A12x25 ULN」(120mmファン)×2(サイコムオリジナル水冷仕様) |
電源 ユニット |
SilverStone「SST-DA750-G」(750W、80 PLUS GOLD) | SilverStone「SST-ST1000-PTS」(1000W、80 PLUS PLATINUM) |
PCケース | NZXT「Define 7 Mini Black TG Light Tint FD-C-DEF7M-02」 (Micro-ATX、ミドルタワー) |
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ケース オプション |
ARGB発光システム(LEDストリップ1本) | |
OS | Microsoft「Windows 10 Home 64bit」 | |
直販価格 | 35万6340円 | 46万9320円~ |
本機のPCケースはNZXTの「Define 7 Mini」を採用。サイズは205(W)×399(D)×406(H)mmと、一般的なタワーPCケースよりもはるかに省スペースだ。しかしながら、内部のスペースは広く、全長306mmのハイエンドビデオカードも取り付けられる。