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「すごいスポットで写真を撮っているような感覚」画像生成AIで有名になった852話さん

2022年09月15日 12時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)編集●ASCII

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AIはイラストレーターの「技巧」を補える

── 物議を醸したといえば、作者の画風や個性を反映できる「mimic(β)」です。AIが自身の画風をコピーすることはどう感じますか。

 Stable Diffusionでも似た機能がありますよね。ファインチューニングと言って、用意した画像をもとに出力結果に反映させることは可能なんです。mimicが問題になったのは規約面で、倫理的要素、無断転載に関する部分が大きかったと思います。

── そうした機能があれば使ってみたい気持ちはありますか?

 実際にファインチューニングも試してみたんですが、有効活用するには精度が低いんですよね。使いものになるレベルにはまだ数歩足りないかなと。普通に画風を学ばせると崩壊してしまうので、実用視点ではもう数段という感じかなと思います。ただ、いずれそれができあがったら使ってみたいなという気持ちはあります。自分の画風で違う絵が見たいというよりも、新しい機能を使ってみたいという気持ちです。

── もし実用レベルの精度になったら、どういう用途で使いたいですか?

 時短ですね。たとえばイラストを依頼されて、ラフをお送りするときに自分ではなくAIに描いてもらえたら、「こういうものはどうですか」という提案を10点も20点も出せるわけじゃないですか。それを自分で精査することもできるわけですし。そういう使い方としては有用じゃないかなと思います。実際にイラストを描くよりも打ち合わせまでに時間がかかる場合があるので、そこを突破できるのは強みだなと思います。

── とても同感です。ゲームの世界ではすでに背景やテクスチャに素材や自動生成ツールを使って時短をする場面が増えていますが、イラストにも応用が広がりそうです。

 下地部分にすごく有用なんじゃないかと思いますね。生成された画像をそのまま貼っていくとなると、「AIアート」というジャンルが成立することが必要になると思うんです。ただ、今後人間が描いたものとAIが描いたものの境目がなくなったとき、ジャンルとして分ける必要があるのかという話になるかもしれません。「今だけ」ということが多いのが難しいところだなと思っています。何しろMidjourneyが出てから1ヵ月、Stable Diffusionがモデルを公開してから2〜3週間程度しか経ってないわけですしね。

── 話題になるのも精度が上がるのも早すぎると。イラスト制作に画像生成AIを取り入れたことで、自分自身の画風に影響はありましたか?

 うーん、特に感じていないというか……私自身、絵がうまいとは思っていないんです。謙遜というわけではなく、第一線で働けるレベルの絵の技能を持っているわけではないと思っていて。ただ、レタッチの技能があれば、AIの技能をうまく取り入れられるというのは肯定的な意見としてあるなと。「結局AIがあっても絵がうまい人が全部持っていっちゃうじゃん」という意見もあるんですが、目利きができれば(AIが生成した画像を)調整できるというレベルまで来ていると思うんですよね。絵心って、目力(観察力)だけではなく、物理的に手元の技巧を「鍛える」部分があると思うんです。それができない人に目力がないかっていうとそうではないと思っていて、絵を描きたい人が、描く力そのものじゃない部分で戦えるというのはすごくいいんじゃないかなと。

── 絵を描く上での身体的な制約を減らせると。たとえば事故や病気などで筆がうまく握れなくなってしまった人にとっては恩恵になりそうです。

 まさにそれですね。ただ、生成したい絵を言語化(もしくはラフ化)しないといけないので、クオリティの高いものを出そうとすると、モチーフになっているものの名前を知っていないといけないし、ある程度の知識が必要になってくるとは思います。

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