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業務を変えるkintoneユーザー事例 第148回

kintoneは業務改善から指導用プラットフォームへ

オンライン学習塾「となりにコーチ」のとなりにkintone

2022年08月09日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 「業務改善だけではない! 誰でも使えるkintone活用法」というタイトルで、kintone hive osakaの事例セッションラストを飾ったのが、オンライン学習塾「となりにコーチ」の運営する粂原圭太郎氏と反町こころ氏。となりにコーチという名前とはほど遠い状況だった1年前にkintoneを導入し、まずは業務とコミュニケーションを改善。生徒指導のプラットフォームに成長させるまでのストーリーを披露してくれた。

「となりにコーチ」と言えない状況だった1年前

 登壇した粂原圭太郎氏は完全個別オンライン指導塾となりにコーチの代表を務める。長らく続けてきたのは、勉強法を教えることで、最近では「100%!アピールちゃん」という番組で早稲田大学合格を目指すタレントの小倉優子さんに、英語の勉強法を教えているという。ここでは多くの趣味も紹介した。

 もう一人の登壇者は、kintoneアプリを作った反町こころ氏。塾での指導や教育アプリなどで長らく教育業界に関わり、現在はとなりにコーチの運営を担当している。こちらの趣味は、ピアノ、車で、ワールドトリガーが大好きだという。

オンライン学習塾「となりにコーチ」の運営する粂原圭太郎氏

kintoneアプリの作成を手がけた反町こころ氏

 2020年8月に創業された「となりにコーチ」は小学生から既卒生まで幅広く対象とする。最新のアンケートでわかった満足度は、「とても」と「満足」あわせてなんと100%になるという。昨年度は20人くらいの受験生だったが、創業2年にかかわらず、京大、早稲田大を含む難関大学への合格実績を作れた。「自画自賛してしまうくらい、いい成績を出すことができました」という粂原氏がアピールすると、会場からも拍手が沸き起こる。

 そんなとなりにコーチだが、1年前は退塾も多かった。毎月、生徒がどんどん辞めてしまい、新しい生徒もすぐに辞めてしまうという状況だった。退塾の理由はさまざまで、質問に対する先生からの回答が遅かったり、先生がミーティング(=授業)に遅れたり、保護者からコーチ(=指導者)や運営と連絡がつかなかったり、挙句の果てには二重請求のミスも犯していたという。「とてもじゃないが、となりにコーチとは言えない状況でした」と粂原氏は振り返る。

となりにコーチとは言えない事態に

 なぜこうした事態に陥ったのか? 分析すると、情報が多すぎたということになるという。生徒やカリキュラムが書かれたスプレッドシートは150枚以上におよび、指導情報は担当コーチにブラックボックス化。コーチと運営のコミュニケーション不足で、コーチのモチベーションが低かったというのも要因だった。

kintoneで業務改善を実現 コーチと運営のコミュニケーションも増加

 マーケティングやカリキュラム作りをしていた粂原氏は、これではまずいと感じ、150枚以上のスプレッドシートに手を入れようとしたが、実は粂原氏はITが苦手。運営を立ち直すべく、以前いっしょに仕事をしていた反町氏に声をかけ、顧客管理と経理をおねがいすることにした。

 しかし、バックオフィスは火の車だった。反町氏は、「とにかくスプレッドシートが大量にあって、新しい情報がどこにあるのかまったくわからない。問い合わせに関しても、いつ生徒や保護者の方から連絡が来るのかわからないので、24時間365日パソコンに向かっている状態が続いていました」と振り返る。

 そこで反町氏が導入を持ちかけたのがサイボウズのkintoneだ。話を聞いた粂原氏も「僕みたいなITが苦手な人間でも気軽に使えると聞いたので、それならいいんじゃないか」ということで、さっそく導入。生徒の個人情報、請求管理などをアプリ化した。アプリを作った反町氏は、「アプリを作るのは簡単ですが、まだまだ初心者だったのと、情報がいっぱいあるので、どこを抽出するのかが大変でした。でも、これさえあればあとは楽になるという目的があったので、がんばれた気がします」と振り返る。

 コーチと運営のやりとりに関しても、公開スペースと非公開のアプリを作った。その結果、コーチと運営とも交流が生まれ、距離も近づいた。また、授業であるミーティングも録画し、kintoneで共有することで、コーチのスキルも平準化することになったという。一般コーチがリーダーコーチのミーティングを見学するといった取り組みも、自発的に生まれ、コーチ同士の距離も近づいたという。

コーチ同士の距離も近づいた

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