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業務を変えるkintoneユーザー事例 第134回

一生懸命働く職員からの「システムなんか要りません」への答えは?

唐津への移住を支援する唐津Switch kintoneの価値はサステイナビリティの確立だった

2022年06月06日 10時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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 「kintone hive 2022」の第1弾がZepp福岡で開催された。kintone hiveはkintoneのユーザー事例を共有しあうイベントで、優勝した企業は「kintone AWARD」に進出する。4番手は特定非営利活動法人唐津Switch 理事長 浦田潤一氏。「人に寄りすぎた業務による底なし沼からの脱出! その先に見えた“未来”」というテーマでプレゼンしてくれた。

特定非営利活動法人唐津Switch 理事長 浦田潤一氏

唐津の移住を支援する「唐津Switch」 膨大な相談件数に悩み

「私は牛を飼っている農家の3人兄弟の長男です。普段から帰りの遅い両親の代わりに、小学5年生から家族みんなの晩ご飯の当番になりました。お焦げができたり、煮えてなかったりしましたが、お兄ちゃんありがとうと家族が食べてくれたのが、本当にうれしかったです。その時、私は小学生の自分でも頑張れば周りを幸せにできるんだなと思いました」(浦田氏)

 この原体験から、「周りの誰かを幸せにできる活動をしたい」と作ったのがNPO法人唐津Switchだ。唐津Switchは唐津市の人口減少に伴う問題を移住という面から解決するため、理事が集り、現在はスタッフ4名で運営している。

 事業は主に3つ。1つは移住コンシェルジュ事業で、唐津に移住したいが、唐津のことをよく知らない人の疑問に答える業務を行っている。2つ目が空き家対策事業。空き家を持っていても、その空き家にどう向き合えばわからないという人たちに寄り添い、一緒に未来を考えるという。3つ目が移住や就農に特化したシェアハウス事業。スタッフとDIYで作り上げ、現在5室すべてが稼働しているという。

唐津Switchでは移住コンシェルジュを初め、3つの業務を手がけている

 唐津Switchの業務の多くは相談者の話を聞くことで、最初はスタッフがExcelで管理していたそう。しかし、今では年間150組以上の相談があり、1組およそ10回以上の対応が必要になる。スタッフでも何が何だかわからない、という状態になってしまった。そして、その情報はたった1台のPCに入っている。これはまずい、と浦田氏は危機感を覚えた。

 コンシェルジュ事業も空き家対策事業も行政から委託を受けている事業で、業務を進める上では行政との連携が欠かせない。しかし、すべてのやりとりをメールで行なっていたため、関わる部署が増えるほど、やりとりするメールが増え、どんどん忙しくなっていくスパイラルに陥ってしまった。

 さらに委託事業では「誰が」「何時間「何をやったのか」ということを報告する義務がある。以前はその管理をタイムカードと手書きで行なっていたのだ。業務は順調に進んだそうだが、進めば進むほど業務が底なし沼にはまってしまう状況だった。

「唐津Switchにブラック企業の目が見えてきました。どうにかするためにはシステムが必要なんじゃないかと考えましたが、システムは高額で、技術がないと運営できないと思っていました」(浦田氏)

業務が順調に拡大するにつれ、膨大な相談を管理しきれなくなってきた

チーム応援ライセンスを知り、kintone導入へ

 資金も技術者もいないので悩んでいた唐津Switchだったが、福岡県福津市で開催された全国クラウド活用大賞でkintoneの活用事例を知ることになった。プログラムの知識が不要で、Excelがそのまま使えて、ドラッグ&ドロップで直感的にアプリを構築できるというkintoneに興味を持った。そして、さらに調べる中、NPOに廉価に提供しているチーム応援ライセンスを知り、早速応募することにした。

 チーム応援ライセンスとは、サイボウズ製品の利用が財政的に難しい団体が、チームワークを高められるように応援するライセンスのこと。NPO法人もしくは活動目的が非営利であるなどの条件を満たした団体なら、kintoneであれば、スタンダードコース900ユーザーが年額9900円で利用できる。

「採択の電話をいただいたときは、本当にうれしかったです。まずは、移住相談アプリを作りました。私たちスタッフだけでなく、唐津市役所の担当者にもkintoneのアカウントを付与しています。この結果、情報の属人化が解消されました」(浦田氏)

全国クラウド活用大賞のダイワの事例でkintoneを知ることに

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